心筋梗塞は「治る病気?」それとも「治らない病気?」

40年ほど前まで「心筋梗塞」は、半分以上の人が亡くなる病気として恐れられていました。しかし近年は、循環器分野での医療技術の発展により大半の方が命を救われるようになっています。

実際に「心筋梗塞になったけど、カテーテルをして治してもらったよ!!」と話している知り合いを、幾人か思い出すことができるのではないですか?命を救われることは大変すばらしい事ですが、「心筋梗塞になっても『治して』もらえるから大丈夫!」と早合点してしまう落とし穴が、そこには潜んでいるのです。

実は心筋梗塞は「治らない病気」なのです。胸の痛みや息苦しさは、迅速な治療により改善しますが、心筋梗塞は本来「心臓の筋肉が壊死する病気」ですので、死んでしまった心筋は再生されないからです。

「カテーテルで血管を広げたけど、その後心臓に全く問題ないと言われた。」という方もおられるでしょう。幸いにも「心筋梗塞」ではなく「狭心症」の段階で適切な治療を受けられたのだと思います。その場合でも、「狭心症」の原因となった「動脈硬化」は「治る」事なく残存しているのです。

このように考えると、心筋梗塞で亡くなる方を劇的に少なくしたすばらしい治療法であるカテーテルですが、「治す」というより「直す」に近いのかもしれませんね。

月並みですが、循環器医師としてはやはり予防が一番だとの確信しており、「ちょっと血圧の高い方」や「検診でちょっとした検査異常のある方」など、いわゆる「病気」とはいえないような方々を診療できればとの想いを日々募らせています。

 

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