月別アーカイブ: 2011年9月

検査値の正常値と異常値について(5): 血圧の測定

祭日を挿んだので2週間のご無沙汰となりました。前回は、専門家でも勘違いしやすい内容でしたので話が込み入っており十分説明できているか心配です。

さて、今回は血圧の測定について書いてみたいと思います。

「血圧の測定をしたら毎回数値が変動するけど、どれが正しい血圧ですか?」と質問されることがあります。普通、検査の値が一定しない場合には、「正しい値との誤差(ずれ)」が大きいと考えがちです。ですから日頃、血液検査など短い時間での変動が少ない検査値を見ているので、血圧の測定値に違和感を覚えるのも自然でしょう。

血圧の測定に関していえば、測定エラーや機械の故障などが無ければ「測定したすべての値」が「正しい血圧」になります。(ある程度の誤差(ずれ)はありますが・・・・・・)

血圧は、運動や感情の変化により容易に変化するように出来ています。想像しにくいかもしれませんが、一拍(心臓が収縮する度)ずつ血圧が変動する場合も日常的にあるぐらいです。

「そのように言われても、血圧手帳にどの値を書いたらいいのか迷ってしまいます。」と思う方もおられるのではないでしょうか?

私の場合、「折角計っていただいたのですから全て書いてください。」とお願いしています。(あまり瀕回に測定すると、内出血して青赤くなりますので気をつけてくださいね。)書く場所が限られて全てがかけない場合には、家庭血圧の測定は高血圧のコントロール目的のことが大半なので、「一番低い値を書いてください。」とお願いするようにしています。(なぜ一番低い値なのかについては、高血圧についてのブログで機会があれば説明する予定です。)

血圧測定や血液検査の結果については毎回の評価も必要ですが、その人にとっての正常・異常は「検査値の流れ」の中で考える必要があることを知っていただければ幸いです。

 

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すこやかフロンティア講座

前回まで検査値の話を書いてきましたが、少し難しいとのご意見があるようなのでどの様に進めていくか考えております。(文才が無いので難しいですね・・・・・・・・)

連休明けの9月20日に、天王寺区保健福祉センターの地域保健活動の一つである「すこやかフロンティア講座」の講義をすることになっています。色々とお話したいことが取りとめも無く広がってしまい、纏めるのに四苦八苦しております。

準備に追われて、ブログを書き直す時間が無く検査の話は次回から再開したいと思います。

もし、楽しみにされていた方が居られましたら、ご容赦の程よろしくお願いいたします。

講義の件についてはまた改めて、報告いたします。


検査値の正常値と異常値について(4): 検査の陽性について

  今回は、検査の陽性の判定について書いてみたいと思います。

インフルエンザの抗原検査(鼻の中に細長い棒を突っ込まれた後、5分ぐらい待たされるあれです)を受けられた経験のある方も多いのではないでしょうか?昔に比べると、簡単で短期間に判定できるようになったものです。

それでは、この検査で「陽性」と判断された場合、実際にインフルエンザである可能性はどれ位あるのでしょうか?手元の資料を見てみますと、時間はかかるけれども信頼のおける「ウィルス分離培養」との比較で「陽性一致率:89.3%」「陰性一致率:94.1%」と記述されています。

この数字をご覧になって、「陽性」に出た場合のインフルエンザである確率は「9割ぐらいだな」と考えられた方が多いのではないでしょうか?症状などからインフルエンザである可能性が高い場合、この直観的な考え方は「正解」となります。

ここまで読まれて、「常識じゃないの・・・・?!」と気分を害されておられるかもしれませんが、もう少しお付き合いください。

次に、同じ検査をインフルエンザを見付けるために、症状のない1万人に行ったとします。症状がないのでインフルエンザにかかっている人が1%しかいないとすると・・・・・・。

 

真の陽性者:1万人 ×  1% × 89.3%     = 893

偽の陽性者:1万人 × 99% × (100 – 94.1)%= 584

 

この場合、検査で「陽性」になった人のインフルエンザである可能性は、60%にまで低下してしまうのです。

細かい数字は置いておくとしても、検査を行った状況により検査結果の解釈は大きく変わってしまうのです。つまり検査で「陽性」に出たとしても、その病気にかかる可能性が極端に少ない人の場合(症状が無いなど)、病気である可能性はそれほど高くないのです。

スクリーニング(一次)検査で陽性になった場合でも、精密検査では多くの人が「問題ない」となる理由の一つに、この事が関係しています。

 

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検査値の正常値と異常値について(3): 情報とは何か?

 検査値の正常と異常値についてブログを書いているのですが、専門的な内容をわかりやすく書く文才が私にはないので、難航しております。そこで今回は、少し視点を変えて「情報」について考えていることを書きたいと思います。

「情報とは何か?」と改めて考聞かれると、なかなか答えにくい物であることが分かります。今取り上げている検査値も当然「情報」であることを考えると、日常生活で、目にする情報の大半は記号(数字や文字)によって表されているので、捕らえにくい物と思われる方は少ないかもしれません。

記号化された情報は一見明確で曖昧さが無いものと見えるのですが、昔らか「行間を読む」など記号化されるに当たって「切り捨てられたもの」がある事が知られています。このところを忘れて情報を取り扱うと、ちょっと困ったことになります。(マスコミやインターネットの世界では、元の状況を無視して、症状だけで「あなたはこの病気かもしれない・・・・・・」という危険な「情報」があふれていますよね。)

「情報」を評価する場合(検査値や自覚症状も「情報」です。)、巷にあふれている(記号化された)「情報」に振り回され無いように、その「情報」が記号化される時にどの様な「前提条件」であったのか、その「前提条件」が自分に当てはまるのかを十分に吟味する必要があるのです。 

閑話休題。

次回は専門的な内容を分かりやすく書けるか心配です。

 

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