錯覚と生活習慣病(2)

前回に引き続き、「錯覚と生活習慣病」について書いていきますね。

では、サッカーのオフサイド判定で誤審の原因となる錯覚にどの様に対処していけばいいのでしょうか?審判の方々に、オフサイドの起きる状況を繰り返し再現して判定してもらい、スローモーションカメラで実際にオフサイドであったか確認・学習することで少しでも誤審を減らそうと努力しておられるそうです。

これは、人間の脳に組み込まれた「動いている物が実際より先に進んで認識する」錯覚を無くすことは出来ないので、反則に見える場合どの程度なら反則ではないかを学習して修正しようとしているのです。人により錯覚の程度は異なっているため、「1メートル以内と感じたらOK」などの統一的な基準作りは出来ないのです。

一方、生活習慣病の原因となるメカニズムについても同じ事が言えます。このメカニズムは「遺伝子」に関係していて、錯覚と同様に取り除くことが出来ません。ですから、生活習慣病の原因となるメカニズムの困った面を押さえ込む事が大切になります。

人によっては生活環境を見直すことで困った面がでなくなりますが、それだけで押さえ込めない場合は「くすり」の服用が必要になります。「くすり」の服用が必要な人は、生活習慣病の原因となるメカニズムの困った面が出やすいだけで、決して「(いわゆる)健康」な状態から遠くにいる訳ではないのです。ただ、生活習慣病が突き詰めると「血管の老化を進める病気」であることを考えると、服薬が必要であってもなくても、「検査異常」を放置すると本当に「健康」な状態から遠ざかってしまうのです。

高血圧などの生活習慣病の重症度は、くすりを飲む飲まないに関係ないく「検査異常の程度」と「異常のあった期間」が大きく関わることを知っていただくとが大切だと思います。

 

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