錯覚と生活習慣病(3):予防薬と治療薬

錯覚と生活習慣病のブログで説明しきれなかった部分の補足をします。

前回、生活習慣病の予防には、生活習慣病の原因となるメカニズムの困った面を押さえ込む事が大切であり、「くすり」を飲むから重症という分けではないと書きましたが、「よくわからない」とのご意見をいただきました。

確かに、一般に多くの病気で「重症」になれば「くすり」の量と数が増えていくと考えられています。これは直感的に理解しやすいですし、多くの場合には正しいのは明らかです。しかし、この直感が正しいのは、「くすり」の中でも「治療」を目的とした「治療のためのくすり」に関してなのです。

実は、「くすり」を使う目的には大きく分けて2つの方向性があるのです。一つ目は、先ほど書きました「治療」を目的とした「治療のためのくすり」としての使い方であり、もう一つは「予防」を目的とした「予防のためのくすり」としての使い方です。

たとえば、「心不全」のくすりで心臓の働き(心機能)が悪くなるのを予防するために「ベータ遮断薬」を使うのですが、心機能がすでに悪い人は「ベータ遮断薬」を十分に飲めないために、予防効果が十分に発揮されないことがあります。つまり、重症であればあるほど「予防のためのくすり」は少なくなることさえあるのです。

高血圧などの生活習慣病の「くすり」は心不全のくすりほど極端ではありませんが、「血管の老化(動脈硬化)」が「検査異常の程度」と「異常のあった期間」によって重症化していくことを考えれば、「予防のためのくすり」としての生活習慣病薬を早く飲むことによって、「動脈硬化」が重症になることを防ぐことが出来るのです。

生活習慣病の「くすり」を飲む必要のある方は、生活習慣病の原因となるメカニズムの困った面が出やすいだけであり、「動脈硬化」が重症であるから服薬が必要なわけではないのです。「くすり」を飲む飲まないにかかわらず「検査異常」を放置しておくと「血管の老化」は密かに進行していくのです。

 

定期的に病院に通院したり、薬を服用することは確かに大変ですが、10年後・20年後の健康を目指して「血管の老化(動脈硬化)」を予防しませんか?

 

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