錯覚と生活習慣病(4):まとめ(「くすり」は万能薬じゃない)

「くすり」を飲む目的について前回書きましたが、「薬を飲むと一生飲み続けなければならないでしょ?」といわれる方が結構多いので服薬の必要性について強調して書いております。決して「くすり」を飲めば全て解決するとの意味ではありませんのでよろしくお願いいたします。

多くの方が「くすり」は最終手段で最強だと思われているのではないでしょうか?抗生物質などは、感染症に対して絶対的な効果を発揮するために、「くすり」全般にこのようなイメージがついているのでしょう。また、急性期の治療においては病気が良くなるに従い、薬品の入った注射器や点滴が外れて行き、全部外れると退院になるので、「くすりを飲んでいない = 健康」と直感的に理解しやすいのでしょう。

生活習慣病の「予防」を目的とした服薬は、決して最強ではなくあくまで「予防」のためのツールなのです。いくら「くすり」を飲んでも血圧の下がらなかった人が、「減塩」をしたら血圧が正常になったり、5Kg痩せたら空腹時血糖が正常化したなど、よくある話なのです。逆に、涙ぐましい努力で健康的な生活を心がけたが良くならず、「くすり」を飲んだら1週間で正常化した例もたくさんあります。

生活習慣病の「予防」において、「くすり」は運動や食餌療法等の生活習慣の改善と同等の一つの手段であり、どの手段が最も有効であるかは個々人により違っているのです。ただ他の手段と比べて「くすり」は効果の出現が早いため、早期にリスクを減らせる利点を持っているのです。

「錯覚と生活習慣病」のブログのまとめとして知っていただきたいのは、生活習慣病の効果的な「予防」は「くすり」を飲む飲まないに関係なく、自分の検査値を正常化する最良の方法を選ぶことなのです。無理な努力は長続きせずリバウンドなどの原因になりますので、「くすり」を飲まないことを目標にするのでなく検査異常を正常化することに力を注いでいただけると良いのではないかと考えます。

 

.






DDまっぷ ドクターブログ 一覧