月別アーカイブ: 2011年12月

健康と病気の狭間:未病(3)

クリスマスも終わり、もう来年の足音が大きくなってきました。来年もブログを含め引き続きよろしくお願いいたします。

さて、前回の続きですが・・・・・・・・「そもそも、生活習慣病の原因と言われる塩分・喫煙・カロリー過多・ストレス等は、多くの人で見た場合に『悪い』のであって、その人にとって『悪い』かどうかは判らないのです。」の説明をさせていただきます。

実は現在の医学は、一人一人のリスク(悪くなる原因)を見つけ出すことが出来ないため、集団で見つけたリスクを個人にあてはめているのです。集団で見た場合タバコは動脈硬化のリスクなのですが、タバコを吸っていても100歳まで何ともない方もおらます。この方にとってはタバコは大きなリスクになっていないと考えられるのです。現代の医学では、この方の何がタバコの害を打ち消しているのか解らないので、「タバコ」は悪いですよと一般論で言わざるを得ないのです。

生活習慣病と言われた場合に「悪い」と言われていることを全部やめようとしてしまい、長続きしない事が多々ありますので、ご自身にとってどの方法が数値異常を効率的に改善できるか見極める必要があるのです。努力をしたが数値異常が改善しないのは、「努力が足らない」のではなくてそもそも「リスク」でないもの(改善しなくて良いもの)に対して努力しているだけなのかもしれないのです。

検査値異常の改善は「くすり」にまかせて、努力を「体質改善」に使っていただいた方が効率が良いこともありますので、かかりつけの先生にご相談いただけると良いかもしれません。

 

最後になりますしたが、来年も皆様にとって良いお年でありますように・・・・・・。

 

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健康と病気の狭間:未病(2)

高血圧などの生活習慣病で、薬の服用を勧めるとよく「何が悪かったのでしょうか?」と質問される事があります。本当に何気ない質問なのですが、何時もどの様にお答えしようか一瞬言葉に詰まった後に、「そもそも・・・・・・」と長い説明を始める事が常です。これまでのブログをお読みいただいている方は、どの様な話になるかお解りだと思いますので、簡単にまとめてみます。(詳しくお知りになりたい方は、過去のブログを参照ください。)

はじめに「そもそも、生活習慣病はいわゆる病気ではないのです。」前回のブログの内容と重なりますが、生活習慣病は動脈硬化という本当の病気になってしまう前の「未病」の状態なのです。「何かが悪かったわけではなく、悪くならないように予防(養生)をしている」のです。

次に「そもそも、生活習慣病は生きていくのに必要なシステムの困った面が出やすいだけなのです。」例えば海外のジーンズを買って裾上げをした場合、ビックリするぐらいの生地が切り取られていることに愕然とすることがあります。私の足の長さ(体質)がジーンズの裾の長さ(環境)にあっていないだけで、何かが悪かったわけではないのです。自分の体質に環境を合わせれば(ジーンズの場合は裾を上げれば)良いのです。生活習慣病で環境を体質に合わせる方法には、生活習慣の改善や「くすり」があることは以前のブログで書かせていただきました。

最後に「そもそも、生活習慣病の原因と言われる塩分・喫煙・カロリー過多・ストレス等は、多くの人で見た場合に『悪い』のであって、その人にとって『悪い』かどうかは判らないのです。」大変説明が難しいので、次回のブログで詳しく書きますね。

(長いので次回に続きます。)

 

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健康と病気の狭間:未病(1)

一般的に「私は、健康だから病院に通っていない。」という内容の会話がごく自然に話されています。確かに、何年も病院にご無沙汰されている方も多いのではないでしょうか?また、風邪をひいたときぐらいかなぁ?との声も聞こえてきそうです。

では、「病気でない = 健康」なのでしょうか? この質問に、漢方薬のコマーシャルで近年よく使われている「未病(みびょう)」というフレーズを思い出した方も少なくないのではないでしょうか?この「未病」は東洋医学の専売特許のように連呼されていて、症状は出ていないけど放置しておくと病気になってしまう「病気と健康の間の状態」を表しているのだそうです。

あれ?と思われた方もおられると思いますが、この「未病」の考え方はまさに「生活習慣病」の考え方と多くの部分を共有しています。高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、痛いとか痒いなどの症状はないのですが、放置しておくと「動脈硬化→心筋梗塞、脳溢血、腎不全」等の本当の病気になってしまうのです。ですから「生活習慣病」は「未病」の状態と言えるのではないでしょうか?

「未病」の状態は「病気」ではないので「治療」ではなく「養生」が必要なように、心筋梗塞などには「治療」が必要ですが、未病である「生活習慣病」には「予防(養生)」が必要なのです。

 

「私は、健康だらか病院に通っていない。でも、医院で未病(生活習慣病)の養生(予防)をしているだ。」と自信を持って言っていただけるようになるには?と日々頭を捻っています。

 

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天王寺区医師会誌への投稿

毎年、新規開業の先生が医師会誌に投稿されているとのことで投稿させていただきました。今回は、内容の一部をブログに載せてみます。

 

はじめに

 天王寺区勝山で開院して1年半が過ぎました。この間、医師会の先生方やスタッフの方々には、数え切れないほどのご助力をいただき大変感謝しております。今後ともご指導・ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。

 さて、この原稿を書く機会をいただきあれこれ悩んだのですが、文才の無い身の悲しさか、開業の苦労話や不安な気持ちを全く文章にすることが出来ないことに気付いて「困ったものを引き受けてしまった!」と顔面が蒼白になってしまいました。「文章がスラスラ出てくる。」と題打ったノウハウ本を読んでも、ありもしない才能が開花するわけでもなく、時間ばかりが過ぎていき、ついに事務局からは催促の電話が・・・・・・内容はなんでも結構ですとのお言葉を額面通りに受け取って、医学研究に応用したデータマイニング手法について書いたエッセイを発表させていただきたいと思います。

(お堅い文章なので中略)

あとがき

 論文調の読み難い文章を最後までお読みいただきありがとうございました。国循を退職後もエビデンスの創出活動を続けており、現在「特定非営利活動法人Evidence創出者倶楽部」の理事長を務めております。本NPO法人はエビデンス創出活動の一環として、オープンソースの医療情報システムの開発や、医療情報発信サイト「医師から医師へ伝えたいこと」など、手探りながら他にあまり無い活動を展開しております。

 「医師から医師へ伝えたいこと」では、循環器・糖尿病分野の著名な先生方の1時間程度の講演を無編集で閲覧できると同時に、スライドをクリックすることによりそのスライドの講演内容を再生できる面白いシステムを採用しております。(申し込みは必要ですが無料です。)

 よろしければNPOのホームページ(http://www.evfc.jp)を覗いていただけると幸いです。

 

「医師から医師へ伝えたいこと」は所々の事情から医師限定なのですが、将来的には「医師から国民へ伝えたいこと」のサイトを立ち上げて、今ブログで書いているような内容をスライドを使って、自分の声で解説できるようにしたいと密かに目論んでおります。

 

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