糖尿病はどんな病気(3)

糖尿病の認識が変わると治療はどうなっていくのかについて何回かに分けて、私の考えを書きたいと思います。以前にも書きましたが、この辺の話は専門家でも未だに意見の分かれるところであり、私の意見が場合により必ずしも当てはまらない糖尿病の病態があることを頭に置いてお読みくださいね。

前回、糖尿病で「おしっこに糖が出るまで」を風が吹けば桶屋が儲かる風に書きましたが、最初のきっかけは何だったでしょうか? 覚えておられますか? 

そうです、

「インスリンの働きが悪くなる。(インスリンの分泌量が減ったりインスリンが働き難い体質になる。)」

ですね。

 

ここで、インスリンの働きが悪くなる原因が、「インスリンの分泌量が減る」と「インスリンが働き難い体質になる」の2つあることに注目された方もおられると思います。実は、原因が2つあるのだから治療にも2つの方向性が当然あるのです。

一つ目は、インスリンを増やしてやる治療です。体内のインスリンを増やすためには、インスリンを分泌する膵臓からたくさん出るようにするか、体の外からインスリンを補充する必要があります。膵臓のβ細胞に働きかけてインスリンの分泌を促すお薬として、スルフォニルウレア剤(SU剤)が血糖降下療法に広く用いられています。外からインスリンを補充する方法は、みなさんもよくご存じのインスリンの注射があります。

二つ目は、インスリンが働きやすくする治療です。インスリンを働き難くする原因は色々ありますが、高血糖・肥満が代表として挙げることができます。高血糖がインスリンの働きを悪くしてさらに高血糖の原因となるため、雪だるま式に悪くなり肥満が拍車をかけることが容易に想像できるでしょう。この悪化環境から抜け出すには、カロリーの摂取を控えたり、ゆっくりと食餌を取ったり、運動したりする必要があるのです。最近では、インスリンの感受性を改善する薬剤も使われています。

ここまで読まれて、糖尿病をよくご存じの方は「何も変わっていないじゃないか!」と思われることでしょう。実は、血糖降下療法の基本的な考えた方も糖尿病の原因は「インスリンの働きが悪くなる」事だと認識され、様々な薬が使われていたのです。

 

(長くなりますので次回に続きます。)

 

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