糖尿病はどんな病気(4)

前回までに、糖尿病の原因が「インスリンの働きが悪くなる」ことにあり、その根本に「インスリンの分泌が減る」ことと「インスリンが働き難い体質になる」ことがあるところまで説明しましたが、血糖降下療法でも同じように考えているのなら、何も変わらないじゃないかと思われる方も多いのではないでしょうか?血糖降下療法の考え方に従って、血糖のコントロールを強力にすると突然死する人が増えてしまうのは仕方がないことなのでしょうか?

私は仕方がないとは思わないのですが、ここからは専門家でも意見の分かれるところですので少し割り引いて読んでいただけるとありがたいです。このブログを読んでいただいている方でしたら既にお気づきだと思いますが、私は「そもそも論」(原点に立ち返って考える方法)が好きなのす。今回も「そもそも論」で説明しますね。

そもそも、肥満で運動をしない「インスリンが働き難い体質」の方が必ずしも糖尿病にならいのは、膵臓が頑張ってインスリンを出しているからに他ならないはずです。(単純化すれば「インスリンが働き難い体質」になってもそれを上回る「インスリン」を分泌できれば問題ないはずなのです。(実際は無理ですが・・・))ですから「インスリンの分泌が減る」事と「インスリンが働き難い体質になる」ことは血糖降下療法の視点からは同列ですが、私の考えでは糖尿病の原因を考えた場合には同列ではなく「インスリンの分泌が減る」事がより重要であると位置づけられるのです。

実は、膵臓にインスリンを分泌させ続けるとインスリンを作っている膵β細胞が減ってしまい、インスリンの分泌量が減るだけでなく、インスリンの分泌や分泌停止の反応が緩慢になり、必要なときにインスリンが出せないだけでなく、インスリンが必要なくなってもダラダラと分泌し続けることが知られています。このため、糖尿病で疲弊した膵臓は急速に血糖をコントロールする能力を失ってしまうのです。

膵臓が疲弊して血糖をコントロールする能力を失うために糖尿病が重症化するなるだけでなく、薬剤で無理矢理血糖を下げた場合には低血糖を起こしやすくなり突然死を増やす原因となっているはずなのです。この考え方から、糖尿病の治療は「疲弊した膵臓をいかに回復させるのか」が糖尿病治療の根本に据えるべきではないかと思っております。

 

次回は、膵臓を保護する糖尿病治療について私の考えを書きますね。

 

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