糖尿病はどんな病気(5)

糖尿病の治療は「疲弊した膵臓をいかに回復させるのか」が糖尿病治療の根本に据えるべきではないかと前回書きましたが、具体的にどの様にしたらよいのでしょうか?

膵臓を疲弊させる最大の原因は「血糖コントロールの不良」です。ですから従来の「血糖降下療法」も十分に意味のある治療なのです。しかし、血糖を下げることを目標としてしまうと膵臓を疲弊させてでもインスリンを分泌させる治療に陥ってしまいがちになります。それは、膵臓からインスリンを(無理矢理)出させるSU剤(スルフォニルウレア剤)が血糖を速やかに下げる大変効果を実感しやすい薬だからだと思います。SU剤が悪い薬という意味ではなく、漫然と使い続けると膵臓の疲弊を進行させてしまう可能性があり、10年ほどで外からインスリンを補充(インシュリン注射)しなければ血糖のコントロールが出来ない病態に追い込まれてしまうかも知れないのです。

膵臓を保護する糖尿病の治療は、簡単にまとめると「インスリンの分泌を誘導しない治療」と言えると思います。一日に食べる総カロリーを減らしたり、運動をしてインスリンの働きやすい体質を目指したり、新しく出てきた「インスリン非分泌系」の糖尿病薬を用いたりすることで、膵臓を労りながら血糖のコントロールを目指す必要があると思います。それでも良好な血糖のコントロールが得られない場合には、SU剤の短期投与や(患者さんの心理的に壁がありますが)インスリンの自己注射を早期に始めることが必要と考えます。

治療に関しては色々な意見がありますので、主治医の先生の意見をよくお聞きください。「ブログに載っていた治療としてください」と主張すると、木に竹を接いだような事態になりかねませんので・・・・・

最後になりますが、糖尿病を膵臓の機能が十分に残っている早期に発見して治療を開始すれば、治療方法の選択を広げるばかりでなく治療成績を劇的に改善することは、異論のないことだと言えると思います。

 

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