初診の方に、「これまでの健診とかで糖尿病やコレステロールの検査値は大丈夫ですか?」とお聞きすると、「問題なく正常範囲に入っています。」と答えられる事があります。正常範囲から外れているのは紛れもなく問題なのですが、正常範囲内に収まっていれば大丈夫なのでしょうか?
本ブログをお読みいただいている方なら「耳にタコ」が出来るぐらいになっていると思いますが「糖尿病の早期発見には空腹時検査だけでは不十分」なのです。(詳しくは以前のブログを参照ください。)今回は糖尿病ではなく、検査のコレステロール値について書きたいと思います。
健診などの検査結果を見ていただきますと、コレステロールの検査値が2個から3個印字されていることにお気づきになると思います。総コレステロール(Tcho)、HDLコレステロール(HDL)、LDLコレステロール(LDL)の3個なのです。総コレステロールは文字通りコレステロールの総量を表します。HDLコレステロールは高密度(ハイデンシティー)のコレステロールの意味であり、一般に善玉コレステロールと言われています。LDLコレステロールは低密度(ローデンシティー)のコレステロールで、悪玉コレステロールと言われるものになります。
この3つの検査値の関係は直感的には「Tcho = HDL + LDL」で悪玉コレステロールと善玉コレステロールを足したものが総コレステロールと思うのですが実際はそうなっていないのです。実は総コレステロールは善玉コレステロールと悪玉コレステロールの足したものに中性脂肪(TG:トリグリセリド)の5分の1を足したものになっているのです。つまり「Tcho = HDL + LDL + TGの1/5」になっているのです。ですから総コレステロールが同じ値であっても、善玉・悪玉コレステロールや中性脂肪の比率は色々な値を取り得ることが解ると思います。
最近はテレビのコマーシャルでも善玉・悪玉コレステロールの比率(LDL/HDL比)が大切だと言われていますがどの様な考えに基づいているのかを、本ブログで数回にわたって出来るだけ簡単に説明したいと思っていますので、よろしくお願いいたします。