月別アーカイブ: 2012年4月

睡眠時無呼吸症候群ってどんな病気?(1)

このブログでは生活習慣病について書いてきましたが、今回からしばらく「睡眠時無呼吸症候群」について書いてみたいと思います。

「睡眠時無呼吸症候群」はスリープ・アプネア・シンドローム(略してSAS「サス」)の日本語訳ですが、文字通り睡眠中に無呼吸になる病態です。どれ程の無呼吸かと言えば、10秒以上続く無呼吸が睡眠1時間あたり5回以上(平均)起こり、これにより日中の眠気などの症状が出てくればSAS(睡眠時無呼吸症候群)ということになります。日中に、疲労感がとれない、身体が重く感じられる、頭がズキズキ痛む、集中力や意欲が持続しないなどに加えて、「いびきをかく」人はSAS(睡眠時無呼吸症候群)の可能性があります。

この病態がやっかいなのは、症状が眠気や疲労感などの体調不良や加齢によるものと勘違いされやすいものであることと、眠っているときに無呼吸が現れるために本人自身が気付けないことにあります。

当医院で検査を受けてSAS(睡眠時無呼吸症候群)と診断された方のほとんどは、ご家族に「寝ているときに呼吸が止まっているよ!」と言われた事がきっかけになっていることからも、本人には気付けないこの病態の特徴が現れていると思います。

日中に、疲労感がとれない、身体が重く感じられる、頭がズキズキ痛む、集中力や意欲が持続しないなど症状がある方や、家族に「寝ているときに呼吸が止まっているよ!」と言われる方は、早い時期に検査をうけられる事をおすすめします。適切な診断と治療を行えば、熟睡した朝の爽快感が戻ることもありますので、年のせいや疲れのせいと早合点せずにご相談いただけると幸いです。


コレステロールの検査値について(6)

桜の花が鮮やかな季節ですが、インフルエンザのB型がまだ出ているようです。全身倦怠感が強い場合や熱が急に出た場合は気をつけられたほうが良いかも知れません。

前回のブログで、LDL/HDL比が2.5を超える人はスタチンなどの薬物療法を受けられた方が良いのではないかと考えていますと書きましたが、少し言い足らなかった部分がありますので、補足しますね。

LDL/HDL比が高くなるのは、LDLコレステロールが高いかHDLコレステロールが低い場合があります。これまでの経験上、特にHDLコレステロールが低く50mg/dlより低い場合薬物治療を行っても十分にLDL/HDL比が改善しないことが多い印象を受けます。

薬物でHDLコレステロールの値は上昇するのですが、投薬前の値が低いと改善する程度も低くなるのです。感覚的には、状態の悪い人(この場合HDLコレステロールの低い人)ほど薬の効果は高そうに感じるのですがそうではないのです。(例えば投薬によりHDLコレステロールの値が20%改善するとすれば、HDLコレステロールが40mg/dlの人は48mg/dlになるだけですが、50mg/dlの人は60mg/dlまで改善する理屈になります。)

LDL/HDL比が高くても、HDLコレステロールの値が高い場合は投薬によるLDLコレステロールの低下とHDLコレステロールの上昇により、LDL/HDL比は改善しやすいのでが、HDLコレステロールの値が低い場合にはHDLコレステロール上昇の程度が低いため、LDLコレステロールは低下してもLDL/HDL比の改善が十分に得られないことがあります。

ではHDLコレステロールが低い場合に動脈硬化のリスクを下げることは無理なのでしょうか?実は、HDLコレステロールが低い人の場合、運動によりHDLコレステロールが上昇しやすい印象があります。(例えば運動によりHDLコレステロールが10mg/dl増えるとすると、40mg/dlの人は25%増加して50mg/dlになりますし50mg/dlの方は20%増加して60mg/dlになります。改善の程度はHDLコレステロールの低い人の方が良いことになります。)

上記の(例えば・・・・・)は説明のための例ですので必ずしも正確ではありませんが、運動と薬物治療によりHDLコレステロールの低い人でも動脈硬化のリスクを下げることが出来るのは間違いない事実だと思います。

 

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コレステロールの検査値について(5)

「善玉・悪玉コレステロールの比率(LDL/HDL)」の実際の値をどの様に考えるのかを書きたいと思います。

 血管の中に内視鏡を入れて通常は見ることの出来ない血管の壁(実は血管の内皮など)を見ることが出来る「血管内視鏡」という検査があります。この検査で、血管壁へのコレステロールのたまり方などを観察することが出来ます。あれ?という声が聞こえてきそうですね。血管の中を覗いても、血液が透明でないので壁は見えないのでは・・・・・・?その通りでなのです。断続的に生理的食塩水を流して、一瞬見える血管の壁を観察していくのです。(この様に決して簡単な検査ではなく、大変な労力とリスクを伴いますので、きむ循環器内科医院でお願いしますと言わないでくださいね。)

 

この血管内視鏡を使って、血管の中がLDL/HDL比によってどのように変化するかを見られた先生の報告があります。

LDL/HDL比 が1.0以下 血管の内壁は赤ちゃんの肌のようにツルツル

LDL/HDL比 が1.5超  血管壁にコレステステロールの輪

LDL/HDL比 が2.0超  コレステロールの塊が血管全体にこびりつく

LDL/HDL比 が2.5超  コレステロールの塊がいつ破裂するか解らない状態

 

動脈硬化を進行させるその他のリスクの事もあり、このままみなさんに当てはまるかは解りませんが、厳しい値ですね。LDL/HDL比は、一般の方で「2.0未満」、動脈硬化が進んでいる方やリスクの高い人は「1.5未満」を目指すことが望ましいと日本大学心臓血管外科の秦先生がいわれています。(少し厳しいような気がしますが・・・・・・・・・・・・)

明確な根拠(エビデンス)が示されているわけではないのですが、個人的には運動や食餌に気をつけても LDL/HDL比が2.5を超える人は(適応があれば)スタチンなどの薬物療法を受けられた方が良いのではないかと考えています。

 

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