コレステロールの検査値について(6)

桜の花が鮮やかな季節ですが、インフルエンザのB型がまだ出ているようです。全身倦怠感が強い場合や熱が急に出た場合は気をつけられたほうが良いかも知れません。

前回のブログで、LDL/HDL比が2.5を超える人はスタチンなどの薬物療法を受けられた方が良いのではないかと考えていますと書きましたが、少し言い足らなかった部分がありますので、補足しますね。

LDL/HDL比が高くなるのは、LDLコレステロールが高いかHDLコレステロールが低い場合があります。これまでの経験上、特にHDLコレステロールが低く50mg/dlより低い場合薬物治療を行っても十分にLDL/HDL比が改善しないことが多い印象を受けます。

薬物でHDLコレステロールの値は上昇するのですが、投薬前の値が低いと改善する程度も低くなるのです。感覚的には、状態の悪い人(この場合HDLコレステロールの低い人)ほど薬の効果は高そうに感じるのですがそうではないのです。(例えば投薬によりHDLコレステロールの値が20%改善するとすれば、HDLコレステロールが40mg/dlの人は48mg/dlになるだけですが、50mg/dlの人は60mg/dlまで改善する理屈になります。)

LDL/HDL比が高くても、HDLコレステロールの値が高い場合は投薬によるLDLコレステロールの低下とHDLコレステロールの上昇により、LDL/HDL比は改善しやすいのでが、HDLコレステロールの値が低い場合にはHDLコレステロール上昇の程度が低いため、LDLコレステロールは低下してもLDL/HDL比の改善が十分に得られないことがあります。

ではHDLコレステロールが低い場合に動脈硬化のリスクを下げることは無理なのでしょうか?実は、HDLコレステロールが低い人の場合、運動によりHDLコレステロールが上昇しやすい印象があります。(例えば運動によりHDLコレステロールが10mg/dl増えるとすると、40mg/dlの人は25%増加して50mg/dlになりますし50mg/dlの方は20%増加して60mg/dlになります。改善の程度はHDLコレステロールの低い人の方が良いことになります。)

上記の(例えば・・・・・)は説明のための例ですので必ずしも正確ではありませんが、運動と薬物治療によりHDLコレステロールの低い人でも動脈硬化のリスクを下げることが出来るのは間違いない事実だと思います。

 

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