コレステロールの検査値について(5)

「善玉・悪玉コレステロールの比率(LDL/HDL)」の実際の値をどの様に考えるのかを書きたいと思います。

 血管の中に内視鏡を入れて通常は見ることの出来ない血管の壁(実は血管の内皮など)を見ることが出来る「血管内視鏡」という検査があります。この検査で、血管壁へのコレステロールのたまり方などを観察することが出来ます。あれ?という声が聞こえてきそうですね。血管の中を覗いても、血液が透明でないので壁は見えないのでは・・・・・・?その通りでなのです。断続的に生理的食塩水を流して、一瞬見える血管の壁を観察していくのです。(この様に決して簡単な検査ではなく、大変な労力とリスクを伴いますので、きむ循環器内科医院でお願いしますと言わないでくださいね。)

 

この血管内視鏡を使って、血管の中がLDL/HDL比によってどのように変化するかを見られた先生の報告があります。

LDL/HDL比 が1.0以下 血管の内壁は赤ちゃんの肌のようにツルツル

LDL/HDL比 が1.5超  血管壁にコレステステロールの輪

LDL/HDL比 が2.0超  コレステロールの塊が血管全体にこびりつく

LDL/HDL比 が2.5超  コレステロールの塊がいつ破裂するか解らない状態

 

動脈硬化を進行させるその他のリスクの事もあり、このままみなさんに当てはまるかは解りませんが、厳しい値ですね。LDL/HDL比は、一般の方で「2.0未満」、動脈硬化が進んでいる方やリスクの高い人は「1.5未満」を目指すことが望ましいと日本大学心臓血管外科の秦先生がいわれています。(少し厳しいような気がしますが・・・・・・・・・・・・)

明確な根拠(エビデンス)が示されているわけではないのですが、個人的には運動や食餌に気をつけても LDL/HDL比が2.5を超える人は(適応があれば)スタチンなどの薬物療法を受けられた方が良いのではないかと考えています。

 

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