月別アーカイブ: 2012年5月

睡眠時無呼吸症候群ってどんな病気?(4)

これまで「睡眠時無呼吸症候群」について、メカニズムを含めて書いてきました。本人が眠っている時のことでもあり、「検査を受けてみよう!!」と思い立つことが難しいため、有効な手が打てないことは理解いただけたと思います。

昨日、天王寺区医師会のスモールミーティングに参加してきました。「不眠治療」に関する勉強会だったのですが、その中で「睡眠時無呼吸症候群」が大きく取り上げられていました。専門の先生も治療は簡単だが、検査を受けてもらうことが難しいとの事でした。

なかなか検査を受けてもらえない理由としては、「睡眠時無呼吸症候群」が昼間に眠気が来る単独の病気だと思われてることがあると思います。今後のブログで書いていこうと思っていますが、実は「睡眠時無呼吸症候群」は生活習慣病のリスク要因になっていることが知られているのです。

生活習慣や服薬をきちんとしても検査値改善が十分でなかったりする場合には「睡眠時無呼吸症候群」でないことを確認するために検査を受けた方が良いのです。また、「睡眠時無呼吸症候群」は生活習慣病のリスク要因ですので、生活習慣病から起こってくる、心筋梗塞・脳血管障害等の病気になった方はやはり、「睡眠時無呼吸症候群」でないことを確認する必要があります。

一般に血液検査は「○○病でない」ことを確認するために定期的に行うものであることは広く受け入れられているのですが、その他の検査に関しては「○○病である」という診断のために行うものだとの認識が根強いようです。「睡眠時無呼吸症候群」の検査に関しては、器械が良くなったこともあり簡単に行えますし、「睡眠時無呼吸症候群でない」と明らかになれば心筋梗塞・脳血管障害や生活習慣病の治療に大きく役立ちますので、血液検査と同様に「○○病でない」ことを確認するためにする検査であると考えていただければと思います。

 

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睡眠時無呼吸症候群ってどんな病気?(3)

昨日2012年のWHO「世界保健統計」が発表されましたが、驚くことに世界の25歳以上の人口の4分の一以上が高血圧なのだそうです。世界平均よりはやや少なめになっていますが、日本でも男性26・4%、女性16・7%が高血圧の範疇に入っているそうです。定期的に病院や医院に通院している方がそれほど多いとは思えないので、多くの方が気になりながらも後回しにされているのでしょう。以前のブログでも書きましたが、高血圧は「未病」の状態と考えられるので、「治療をすると言うより養生する」感覚で気楽に通院いただけるにはどうすれば良いのかと頭をひねっています。

さて、前置きが長くなりましたが「睡眠時無呼吸症候群」の起こるメカニズムについて書きたいと思います。

実は「睡眠時無呼吸症候群」は原因から大きく2種類に分かれます。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群

   睡眠中の筋弛緩により舌根部や軟口蓋が下がり気道を閉塞することが主な原因である。

中枢性睡眠時無呼吸症候群

   脳血管障害・重症心不全などによる呼吸中枢の障害で呼吸運動が消失するのが原因である。

   (*注 閉塞性と中枢性の合わさった混合性もあります。)

多くの場合が閉塞性睡眠時無呼吸症候群です。

いわゆる「いびき」は睡眠時に気道が狭くなることで起こるのですが、さらに狭くなってついに閉塞してしまうと「無呼吸」になってしまうのです。肥満があると閉塞を起こして無呼吸になる確率が3倍になるとの報告もありますので、肥満も一つの原因ということになります。

睡眠時無呼吸症候群の説明で「いびき・肥満」が強調されるのも、その原因から考えると十分に頷けるものだと思います。

 

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睡眠時無呼吸症候群ってどんな病気?(2)

連休を挟んで3週ぶりのブログです。みなさんはどのようなゴールデンウィークでしたか?全国的にあまり天気に恵まれなかったようですね。

前回からの続きで「睡眠時無呼吸症候群」(略してSAS「サス」)について書いていきたいと思います。

「睡眠時無呼吸症候群」は文字通り睡眠中に無呼吸になる病態と前回書きましたが、睡眠中に無呼吸になると何が起こるのでしょうか?「無呼吸」を平たく言えば「窒息」しているわけですから、本人は気付かなくても半分起こされている状態(半覚醒状態)になっていると考えられます。一晩に何回も起こされているようなものなので、十分に睡眠が取れないのは容易に想像出来ると思います。

さらに、「無呼吸」になるのは深い眠りに入るときなので一晩中「深い眠りに入る」←→「窒息・半覚醒」を繰り返すこととなり、質の良い深い眠りの時間が激減してしまうのです。ですから、十分な睡眠時間を確保していても「疲労感がとれない、身体が重く感じられる、頭がズキズキ痛む、集中力や意欲が持続しない」などの慢性的な寝不足の症状が現れてくるのです。

単に疲れが溜まっていると思い込むことが多いので、病気であることに気付かず苦労されるケースも多々あります。一般職の方はもとより自動車の運転や工作機械を扱う方々で、少しでも思い当たる節のある場合は、検査を受けられることを勧めます。小さな器械を腕に付けて寝るだけの簡単な検査ですのでお気軽にご相談ください。

次回は、「睡眠時無呼吸症候群」の起こるメカニズムについて書いていきたいと思います。

 

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