医院内の掲示物に使うために、似顔絵を描くソフトを入手して診療の合間に自分の似顔絵を作成しています。簡単にかけると思っていたのですが、自分でよく似ていると思っていてもスタッフから「全然先生らしくない。」と言われてしまったりしてなかなか難しいものです。
くだんの似顔絵ソフトは、顔の輪郭や髪型などの各パーツを福笑いのように置いていくことにより似顔絵を作るのですが、微妙な位置調節(マウスのワンクリック)で本人に見えたり見えなかったりするので不思議なものです。
人それぞれ注目するポイントが違うため「似ている」「似ていない」の意見が分かれることが多いのですが、それぞれの意見を容れながら修正していくと多くの人に「似ている」といわれるようになる場合と「これ誰?全然似ていない」となってしまう場合があります。
医学における病名もこれに似た状況があるのをご存じですか?「病名って決まっているものじゃないですか?」との声が聞こえてきそうですが、西洋医学と東洋医学でいわゆる「病名」が全く違うことを思い起こしていただけると少し違和感が薄れると思います。
また、このブログでも良く登場する「高血圧」や「高脂血症」はたまた「糖尿病」などの病名には親しみがあると思いますが、これらは「血圧が高い」・「血中の脂質が高い」・「尿に糖が出ている」(以前のブログ「糖尿病はどんな病気?」参照)という病気の一つの状態(病態)を取り出して付けられているのです。最近これらの病気をまとめて表すために「生活習慣病」や「メタボリックシンドローム」といった原因に着目した病名が登場してきたことともご存じのことと思います。
医学界では毎年のように新しい病態理解のための病名が栄枯盛衰を繰り広げています。頭のレントゲン写真を撮ると「もやもや」した陰が写るため「もやもや病」と日本で名付けられた病気は、原因は脳血管の異常だったにもかかわらず「脳血管異常症」ではなく国際的にも「もやもや病(Moyamoya disease)」と呼ばれて一般に定着しています。
似顔絵と病名、どの特徴を捕らえて多くの人の賛同を得るのか奥が深いですね。