たかが肩こりされど肩こり(4)

暑い夏を迎え撃つ、熱い夏祭りが各地で行われているようですね。医院の近所でも楽車(だんじり)の軽快なリズムと屋根の上の若者が踊る龍、そしてハッピ姿の笑顔の子供達が縦横無尽に闊歩しています。大阪では、天神祭・PL花火と夏の風物詩が続きます。

今回は心筋梗塞・狭心症が原因の肩こりについて書きたいと思います。
最初にご注意いただきたいのは、これまでブログに書いてきたような普通の「肩こり」はほとんどの場合、「心筋梗塞・狭心症」では無いということです。「心筋梗塞・狭心症」の症状として一番多いのは胸痛なのですが、人によっては歯の痛みや左肩・左腕の痺れや痛みに代表される「放散痛」が主な自覚症状の場合があるのです。
この左肩に現れる放散痛を「肩や腕が抜けるような感じ」や「今まで経験したことのない肩こり」として感じられる方がいるようです。短い時間で肩こりの強弱が変化したり、肘の方までこりを感じたり、階段を上ると強くなるなど、通常の肩こりと違う場合には注意が必要になります。
この様に書くと「私の肩こりは大丈夫だろうか?」と疑心暗鬼になり、よく考えると何か普通の肩こりと違うと感じられる方もおられると思います。その場合はどうすれば良いのでしょうか?一番大切なことは、ご自身が「心筋梗塞・狭心症」になるリスクの高いタイプなのかリスクが低いタイプなのかしっておくことなのです。
「心筋梗塞・狭心症」になるリスクの高いタイプの方が、今まで感じたことの無いような「普通でない肩こり」を自覚した場合には、すぐに近医で心電図をとってもらう必要があります。「心筋梗塞・狭心症」になるリスクが高いか低いかは「心筋梗塞・狭心症」の原因が「動脈硬化」であると考えれば、これまでのブログをお読みいただいている方は、「生活習慣病などの検査異常があるか無いかで判断できるのだな!」と「ピン!」と来たことと思います。

「肩こり→心筋梗塞・狭心症」と直結してしまうと、視聴者の不安を煽るテレビの「なんちゃって医学」と変わらなくなってしまいますが、自分のリスクが高いのか低いのか知った上で、典型的でない症状などの知識を整理・活用することは大切であると思います。
リスクを知ることは大病予防の第一歩です。採血の針を刺されるのが嫌な方は、リスクを知って血圧のコントロールをするだけでも効果はあると思いますよ。是非、大病予防の第一歩を踏み出してください。

 

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