メロンと椎茸と医療

お盆休みに海に行ってきました。まだ日焼けした肩の辺りに心地よい余韻が残っています。楽しい思い出をくれた海ですが、そこはメロンの生産で有名な地域でもあります。大都会に運ばれる前のメロンが安い値段で所狭しと並んでいる光景は、ある意味圧巻です。
そんなメロンなのですが、昔食べたメロンと比べて何だか物足りなさを感じてしまいます。「今みたいにおいしいものが溢れていなかった時代だから」とか「時間の波に洗われて、記憶が美化されているんだろう」と自分の中で整理していたのです。
ところが、あるとき食べた小ぶりのメロンが舌触りや香り高さが私の記憶にあるメロンそのものだったのです。メロンに付いていたタグの記述に「原種系」の文字がありました。聞くところによると、原種系のメロンは大きくならないために商品価値が低く、最近はほとんど作られないとのことです。

その話を聞いたとき、以前新聞で読んだ椎茸の話を思い出しました。早速ネットで調べてみると下記の記述を見付けました。
幻の椎茸“黒”(204号)は、現在、少数で結成される熊本県菊池市の「原木椎茸こだわり会」の夫婦しか生産することのできない椎茸です。その名の通り幻の椎茸と呼ばれています。
 この「幻の椎茸」は春にしか収穫できない貴重な品種です。日本産椎茸の発祥的品種であり、最も椎茸の原種に近いといわれております。通常の椎茸に比べ色が黒く、椎茸が持っている本来の味と豊かな香り、そして歯ごたえの良さが大きな特徴です。
 昭和17年、純粋培養種駒法の発明者、故森喜作氏が最初に送り出し、その後生産しにくい等の理由から一時は歴史の彼方に消えたものの、『昔食べたあの香り高い、歯ごたえのある美味しい椎茸を食べたい』との消費者の声をきっかけに、栽培されることのなくなった原種椎茸を7農家の情熱で実を結び、平成13年に見事復活しました。

メロンにしろ椎茸にしろ経済的な理由で、食品の根本である本来の味や香りを知らない間に切り捨ててしまってきたのだと思います。医療の世界に同じことが起きないように、堅く立って堪え忍ぶ事が今の医師に求められているように思います。






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