月別アーカイブ: 2012年12月

手荒れ・アカギレ(4)

今年も「あっ」と言う間に過ぎて、あと数日で大晦日ですね。今年一年、私の拙い文章にお付き合いいただいた方々に御礼を申し上げるとともに、来年も良い年であるように願います。よろしければ来年も、本ブログをよろしくお願いいたします。

さて、今回からは手荒れ・アカギレの治療について書いていきたいと思います。

手荒れ・アカギレの原因から考えると治療の原則は、皮脂膜を保護することにより皮膚の水分が外に逃げるのを防ぐ事に尽きると言えます。これが簡単に達成できるようであれば、誰も手荒れ・アカギレで苦労することはないですよね。

「頻回の水仕事」「もともと皮脂の分泌が少ない」などの様々な要因で皮脂膜が無くなってしまっているので、何が一番影響をしている要因なのか見極めることが大切になります。手荒れ・アカギレの治療のために多種多様の薬剤やハンドクリーム等が市販されていますが、ご自身の手荒れ・アカギレに一番影響をしている要因に効果のある成分を含んでいる物を選択していく必要があると思います。

市販されている全ての物を評価することは難しいので、次回からのブログで主な成分別に効能等を説明していきたいと思います。

ところで、手荒れ・アカギレに一番影響をしている要因をどの様に見付ければいいのでしょうか?洗剤を変えてみたり、旅行に行って水仕事をしないときの変化を観察したり、手袋をしてみたり、見付けるべき要因を想定しながら、ひとつずつ試していくしか仕方が無いのが現状なのです。万人に効く魔法の方法は無いと思っていただけると良いのではないでしょうか?自分のためのレシピを見付けてみませんか?

今年は今回のブログで最終となります。通常のブログは来年、1月11日からの開始となります。


手荒れ・アカギレ(3)

前回まで書いてきた手荒れ・アカギレの原因を踏まえて、今回から手荒れアカギレの治療について書こうと思っていたのですが、意外に「洗いものをするとき手袋をしているのに、手荒れが改善しない。」と言われる方が多いので、今回は手袋による手荒れ・アカギレの予防について書きたいと思います。

手荒れの主な原因は、人間の皮膚から分泌される皮脂と水分が混じり合い乳化して出来た皮脂膜が色々な原因で無くなってしまう事でしたね。簡単に言えば、皮膚のバリアが無くなり、水が外に逃げていくイメージで間違いないと思います。

余談ですが、地球には分厚い大気のバリアがあるので豊富な水が地表に残っていますが、地球よりかなり小さな月は重力が小さいため「分厚い大気のバリア」を作れなかったため、外に水が逃げて行ってしまい、ご存じように表面が砂漠のようになっています。(何だかお肌と似ていますね。)

話を元に戻して、手荒れ・アカギレの原因から考えると皮脂膜を守るために洗いものなどをする場合、手袋を使用するのは予防として正しいのです。ではどうして、手袋をしても手荒れが改善しない人がたくさんいるのでしょうか?

多くの洗いもの用の手袋はゴムで出来ているのですが、ゴムは古くなると硬化しかぶれやすくなるのです。しかも、元々手荒れがあるとさらにかぶれやすい状態になっているのは簡単に想像がつきますよね。最初は手のひら側だけだった手荒れが、手袋をしてから手の甲などに広がって来たら、ゴムのかぶれを考える必要があります。

安全なのはディスポのポリエステルの手袋で、
破れるたびに使い捨てどんどん新しいものを使用する方法があります。
最近ではドラッグストアーなどで安価に購入できるので、心当たりのある方は試してみられると良いかもしれません。

手荒れにかぶれ・・・・・・働いている人の手は大変ですね。
 


手荒れ・アカギレ(2)

12月も半ばにさしかかり、色々な意味で「師(先生)」と名前の付く人は走り回っていますね。

前回から手荒れ・アカギレについて書いていますが、今回は何故手荒れ・アカギレになるのかについて書いてみたいと思います。

人間の皮膚は、皮脂腺と呼ばれる分泌腺から皮脂と呼ばれる油分を分泌しています。この分泌された皮脂と皮膚の水分が混じり合い乳化してクリーム状となり、皮脂膜となって外界と皮膚のバリアを作っています。このバリアを形成する皮脂膜が色々な原因で無くなってしまうと、その下にある皮膚の角質層の水分が蒸発してしまい、乾燥してしなやかさを失い、かさかさになるのです。

特に、頻回の水仕事により回復しかけた皮脂膜が再び除去されてしまったり、強力な洗剤で油分が完全に洗い流されてしまうと、皮膚の水分が外へと失われるのです。
このようにして、水分を失い柔軟性が無くなった皮膚は、乾燥状態から落屑、角質の硬化、亀裂、紅斑、痒みといっ た症状がでてくるのです。

冬など寒くなってくると、水仕事にお湯を使いますが実は水よりお湯の方が油分を取り去る作用が強いので(夏でも油物の後片付けはお湯の方が効率的ですよね。)、手荒れ・アカギレを促進してしまうのです。また、手袋をせずに強力な洗剤で洗い物をすると、お皿の油は「キュキュ」と落ちるのは良いのですが、手の脂まで落ちてしまい「キュキュ」と油ぎれになっているかも知れませんよ。

次回は、今回の原因を踏まえて手荒れ・アカギレの治療について書きたいと思います。


手荒れ・アカギレ(1)

メッキリ寒くなってきましたね。乾燥もひどいようで、今朝医院の湿度計を見てみると湿度が20%近いところまで下がっていました。慌てて加湿器を動かしたのですが、なかなか加湿器の針は動いてくれませんね。

さて、冬になると水仕事をされるお母さん方を中心に手荒れ・アカギレがひどいとの話を聞きます。かく言う私も大学で研究をしているときには、実験が終わる度に実験器具の洗浄をしていましたので、冬になると手の乾燥がひどくなり、アカギレになったものです。何かに擦れたりした拍子に、痛みが走るので大変不快なものです。そこで、今回から数回にわたって、手荒れ・アカギレについて書いてみたいと思います。

まず初回は、クリームやローションの使用法で使われる言葉の説明をしたいと思います。
「一日数回適量を患部に塗擦する」とか「一日数回適量を患部に塗布する」等と薬に書かれているのを見たことがあると思います。多くの方がどちらの場合も「一日に数回塗ればいいのね!」と理解されていると思いますが、厳密には少し意味合いが違うのです。

「塗擦」の場合には「擦りこむように塗る」ことを指しています。皮膚を傷めないよう、やさしく擦りこみながら塗ることで十分な効果を発揮する薬剤(クリームや軟膏など)であることを意味しています。一方「塗布」の場合は「のせるように塗る」ことを意味していて擦りこむ必要はないのです。(抗生物質のゲル等)

もしお持ちのクリームや軟膏がありましたら、使用方法を書いた紙や外箱を見直してみてくださいね