月別アーカイブ: 2013年1月

エビデンスとは?(1)

最近「エビデンス・ベイスド・メディシン(EBM)」などと「エビデンス」という言葉が一般の新聞にも使われ出していますが、お耳にされた事はありますでしょうか?「エビデンス」は「証拠・根拠」という意味ですが、最初に聴いた時には変な感じを受けたものです。そればかりか聞き慣れた今でも「エビデンス」にピッタリ来る日本語を思い付かないのが現状です。

そこで、今回から「エビデンスとは?」との題でブログを書いてみたいと思います。

今回は最初ですので、「エビデンス」の言葉が持つイメージを感じてもらうために、「エビデンスのレベル」について説明したいと思います。

冬といえば「ミカン」ですので(何といってもミカンです。)、ミカンを題材にしてみますね。

『今食べようとしている「ミカン」が美味しいはずだ』と判断する場合のエビデンスを「エビデンスのレベル」の高い順(信頼性の高い順)に並べてみます。(想像しながら読んでくださいね。)

1.同じミカンの他の房(ふさ)を自分が食べて美味しかった。(美味しかった房をもう一度食べる事は出来ないので・・・・・)

2.同じミカンの他の房を家族が食べて美味しいと言った。(家族の嗜好は似通っている事が多いので・・・・・)

3.同じミカンの他の房を知り合いが食べて美味しいと言った。(食べかけを分けてもらった?)

4.同じミカンの他の房を店の人が食べて美味しいと言った。(食べかけを売られた?)

・・・・・・・・・・(中略)

11.同じ箱に入ったミカンを自分が食べて美味しかった。
12.同じ箱に入ったミカンを家族が食べて美味しいと言った。

・・・・・・・・・・(中略)

21.以前に同じ店で買った同じ種類のミカンを食べて美味しかった。
31.以前に違う店で買った同じ種類のミカンを食べて美味しかった。

・・・・・・・・・・(中略)

1000. 店の人が「このミカンは美味しいよ!」と言った。
                     (注:数字は便宜的なものです。)

結局の所、『今食べようとしている「ミカン」が美味しいはずだ』との判断の信頼性がより高くなる証拠・根拠が、「エビデンスのレベル」の高い物になるのです。もちろんこの順番や内容は絶対的なものではないので、皆さんの中にはもっとスッキリとした、エビデンスのレベル分けを出来る方も居れると思います。

もし、お時間がありましたら皆さんなりの「エビデンスのレベル」を考えてみてくださいね。
 


ハードディスクと医療

寒い日が続いていて、冬本番という感じになってきました。学校が再開すると同時にインフルエンザが流行しているようです。残念ながら今回のインフルエンザは、予防接種をしていても感染する方も見受けられます。「おかしいな」と思ったら早めに受診されることをお勧めします。

さて、連休明けに医院に来てみると病院システムのハードディスクにエラーが起こっていました。一昔前なら、データ復旧のために右往左往して診療も手につかない状態になっていたことでしょう。今回私は新しいハードディスクを急いで買いに走るでもなく、インターネットで悠然と割引率の良いショップから新しいハードディスクを購入しました。

一昔前はハードディスクは高価な割りに壊れやすいもので、壊れるとデータを取り戻すことが出来ない場合も結構あったのです。今ではハードディスクが安く買える時代で、個人でも複数の大容量ハードディスクを気楽に購入できるようになったため、データを複数のハードディスクに記録して、使いながらバックアップが取れるように出来ます。(これをRAID(レイド)システムと呼びます。)

ハードディスクが壊れても使い続けることが出来る上に、新しいハードディスクに取り替えると自動的に修復してくれる優れものです。このRAIDシステムが、今回余裕があった理由です。

「一度使い始めるとRAIDシステムはやめられない(止めると昔に逆戻りで不安だ!)」と強く感じた事も、御納得いただけたのではないでしょうか?

ハードディスクを取り替えながら、生活習慣病の薬はハードディスクのRAIDシステムの役割に近いのではないかと思いました。生活習慣病で使われる予防薬は、検査異常を補正する事によって心筋梗塞や脳卒中などの決定的な異常を回避したり、発症しても重症化し難くする安心ための手段なのです。

「生活習慣病の薬を飲み始めると一生やめられない(だから飲みたくない。)」

と考えられ受診を敬遠される方が少なくないようですが、薬を飲まない事は保護の効かないハードディスクを使い続ける事と同じだと考えていただけると幸いです。


手あれ・アカギレ(5)

今日から、通常のブログ再開です。新たな気持ちで一年間頑張りますので、何卒よろしくお願いいたします。昨年から「手荒れ・アカギレ」について書いていますが、今朝鏡餅を見てみると乾燥であちこちひび割れしていて「痛そうだなぁ」と思ってしまいました。

今回は、市販されているハンドクリーム等に使われる成分について大まかに説明したいと思います。

ビタミン類:手荒れ予防〜進行期の広い範囲で使える。血行を改善すると同時に保湿や油分を補給する効果がある。

尿素系:手荒れ初期に使用する。角質化した箇所を軟らかくするのに使われる。

痒み止め:手荒れ初期〜進行期に使われる。皮膚炎や湿疹などによる痒みを抑える。(医薬品)

保湿剤:手荒れ予防〜手荒れ期に使われる。乾燥によるかさつきを抑え、水分や油分の補給する効果がある。(医薬部外品)

この他にも、アルコール等の殺菌成分や感染を起こしたときに使われる抗生物質、強度のアレルギー症状を抑えるステロイド系薬剤などがあるのですが、これらの薬剤は使用のタイミングや適応を間違えると大きなトラブルの原因になりますので、医師や薬剤師に相談しながら使うのが使うのが安全です。

また、上記の主な成分の中にも色々な種類がありますので、自分に合った物を見付けるのは大変だと思いますが、チャレンジしてみてください。

最後になりますが冬に手荒れのひどい方で、部屋の加湿が不十分な場合には、加湿を十分することにより症状が改善する事もあります。部屋の加湿はご家族の風邪の予防にもなりますので、一度ご検討なさってはいかがでしょうか?