月別アーカイブ: 2013年5月

ウオーキングとランニング

週の始めから何となく梅雨ぽい天気が続いていましたが、今日は気持ちいい晴れ空ですね。雨の間の洗濯日和でしょうか?

さて、アメリカから面白い研究結果が報告されましたので紹介いたします。

「ウオーキングとランニングによる冠動脈性心疾患(CHD、心筋梗塞など)の予防効果は、エネルギー消費量が同じ場合、同等であった。」というものです。

ランナー3万人以上とウオーカー1万人以上のデータを解析したところ、運動による消費カロリー量が同じ場合には、約6年間の追跡期間中、高血圧・高脂血症・糖尿病・冠動脈性心疾患のリスクはランニングでもウオーキングでも同じように低下したそうです。また、カロリー消費量が増えるとリスクはより大きく低下していたそうです。

大変面白いエビデンスが出て来たと思います。「生活習慣病改善のため運動をしてください」というと何となくウオーキングでは効果が少ない感じがして、無理してランニングを行って関節痛やひどい筋肉痛になり長続きしないことが良くあります。通常ランニングのカロリー消費はウオーキングの2倍程度ですので、30分のランニングと60分のウオーキングは効果が同じことになります。

個人的には、60分ウオーキングの方が相当楽な気がするのですが・・・・・・皆さんはいかがでしょうか?

いずれにせよ、生活習慣病改善のためには「ヒーヒー」「ハーハー」と息の切れる『運動』は必須ではなく、ご自身の状態にあった運動を、気楽に長続きして行うのが良いと言えるエビデンスなのではないでしょうか?


糖尿病の早期発見−再び3

昼間は夏の刺すような日差しで、このまま鬱陶しい梅雨を通り越していっそ夏になってしまえば良いのにと思いませんか?ところで、インフルエンザB型が流行っているそうです。急な発熱などありましたら、医院へ受診する方が良いかもしれません。

さて、イギリスから発表されたOGTTをしても死亡率が変わらないとの論文の続きですが、前回『じゃ、先生「空腹時血糖が100mg/dlまで上がった段階」で糖尿病治療をしても無駄なのでしょうか?』との疑問について書き残しておりましたので、今回はそのことについて書いてみたいと思います。

私もこの結果に驚いて、何度か論文を読み返しました。残念ながら、早期に糖尿病が見つかったときの治療方法などの情報は無く、診療にあたった医師に任されていたようです。

ここからは私の推測ですが、「血糖を下げることを目的にして、十分に膵臓を休ませる治療がなされていなかった?」のではないでしょうか?一般の医師が陥りがちな弱った膵臓に負担をかけながら血糖を漫然と下げているとると、5年から10年後には膵臓の機能が廃絶した糖尿病になり、非常に治療困難な状態に追い込まれてしまうのです。

膵臓の機能が廃絶してしまうと、高血糖による動脈硬化が進展して「心筋梗塞・脳溢血」になるばかりでなく「低血糖による突然死」のリスクが増大してしまうことは、近年の大規模研究が示したエビデンスから容易に推測されるところです。今回の結果も「膵臓を保護する糖尿病治療」をしていれば、違った結果になったかも知れません。

この論文で使用された薬剤の種類や量が報告されれば、もう少し明確に書けると思いますので今後の論文に注目していきたいと思います。


糖尿病の早期発見−再び2

おかげさまで開院3周年を迎えることができました。足踏みすることなく、地域に根ざした質の高い医療を実現すべく、頑張っていく所存です。健診データも「正常範囲内」で安心せず、気楽に専門医に後相談くださいね。

さて、前回糖尿病のリスクの高い人にOGTT(経口糖負荷試験:糖尿病を精密に見付ける負荷検査)を行った地域でも行わなかった地域でも死亡率に差がなかったとのイギリスの論文について書きいました。

『「じゃOGTTをしても無駄なのでは・・・・・?」と私もビックリしたのですが、論文を取り寄せて詳しく見てみると・・・・・・・・・・・「糖尿病の早期発見」の大切さを再度認識することになりました。』と前回書きましたが、なぜそうなるのでしょうか?

実は「糖尿病のリスクの高い人にOGTTを施行した。」の「糖尿病のリスク」の所に違和感を覚えたのです。はたして論文を読んでみると「空腹時血糖で約100mg/dl、随時血糖で約110mg/dl」の人にOGTTを行ったそうです。(この他にもHbA1cをOGTTをする基準にしていますが・・・・・・早期発見にHbA1cはないですよね!)

つまり、「空腹時血糖が100mg/dlまで上がった段階」で糖尿病を治療しても「糖尿病の早期発見」の効果は薄いといえると思います。通常の空腹時血糖の正常値は109mg/dlまでですので、「正常値だから」と安心していると大変な目に遭う可能性があるのです。より早い段階でのOGTT施行が必要である事を示しているエビデンスと考えられるのではないでしょうか?

『じゃ、先生「空腹時血糖が100mg/dlまで上がった段階」で糖尿病治療をしても無駄なのでしょうか?』との疑問が聞こえてきそうですね。この事は書き出すと長くなりますので次回のブログに回しますね。


糖尿病の早期発見−再び1

朝と昼の寒暖の差が激しい日々が続いております。感冒で病院に来られる方も心なしか増えてる感じがします。連休の疲れもありますので、この週末はゆっくりとすることも大切かも知れませんね。

さて、このブログで以前から糖尿病の早期発見が大切だと耳にタコが出来まくるぐらい書いてきましたが、イギリスから興味あるエビデンスが報告されているのでご紹介いたします。

このイギリスから報告された研究では、「かかりつけ医」制が確立しているイギリスの特長を生かして、区分けした地域を糖尿病の発見・治療に関して以下のように3つに振り分けています。

1.糖尿病のリスクの高い人に積極的にOGTTを行い、糖尿病であれば積極的な治療を行う地域
2.糖尿病のリスクの高い人に積極的にOGTTを行い、糖尿病であれば通常の治療を行う地域
3.特別にOGTTを行わず、従来通りの糖尿病治療を行う地域
  (OGTT(経口糖負荷試験): 糖尿病を精密に見付ける負荷検査)

地域を3つに振り分けた上で、各地域での死亡率を前向きに観察したそうです。

結果は、どうだったと思われますか?

「先生が勧めているOGTTをしているのだから死亡率は 1<2<3じゃないの?」
「いやいや、先生はOGTTが大切なんだと言いたいので 1=2<3では?」

などと考えられる方もおられると思いますが、実は3種類の地域間に死亡率の差はなかったのです!!

「じゃOGTTをしても無駄なのでは・・・・・?」と私もビックリしたのですが、論文を取り寄せて詳しく見てみると・・・・・・・・・・・「糖尿病の早期発見」の大切さを再度認識することになりました。

なぜそうなるのか?詳しい事は長くなりますので、謎解きは次回のブログでお願いします。