月別アーカイブ: 2013年6月

検査をしなければ・・・・・(2)

「(血液)検査をしなければ判りません。」
「(血液)検査では判りません。」

医師はよくこの二つの「一見矛盾した事」を言うのですが、医師にとっての検査の位置づけと考え方はどのようになっているのでしょうか?(全ての医師ではなくあくまで私見ですが・・・・・)

今回はまず『(血液)検査をしなければ判りません。』とお医者さんが言う場合の状況について考えてみます。

想定される状況は、「○○の様な症状があるのですが、どこか悪いのでしょうか?」と聞かれた場合です。日常生活に支障が出ていると思うのですが、その症状が「色々な病因(病気の原因)によって引き起こされるもの」だったり「病気の場合にもその症状が出ますが、体調の変動だけでも出てくるもの」であった場合には『(血液)検査をしなければ判りません。』となります。

検査をして異常が見つかれば、症状の基になっている病因が推測することが可能になり、症状の改善に一歩近づきます。また、検査異常がなければ「悪いところがない」訳ではないのですが、早急に手当てしなければならない命に関わる異常がある可能性は低いと判断できると思います。(もちろん適切な検査をしていればですが・・・・)

多くの方は『「検査」をすれば自動的に病因となる悪いところが判るんでしょ?』と考えておられますが、実際はそう簡単ではありません。「適切な検査」をするためには、症状の出やすい状況や頻度・症状の強弱など患者さんからの情報が大変ありがたい助けとなります。患者さんから十分な聞き取りを出来ずに行った検査ではその症状と関係ない異常を見付けてしまい、治療をしても一向に症状が改善しない状況に陥る危険性すらあるのです。

「(血液)検査をしなければ判りません。」は「検査をすれば判る」という意味ではなく、検査結果を見てみなければこれ以上の診断・判断を進める材料がないとの意味なのです。

次回は「(血液)検査では判りません。」と言う時について考えてみたいと思います。


検査をしなければ・・・・・(1)

今年は空梅雨ではないだろうかと心配した矢先に、台風に刺激された梅雨前線で大阪は3日間も雨が降り続けています。洗濯物のこともあるので、そろそろ天気も回復してもらいたいものですね。

さて皆様は病院に行かれて、医者からこんな事を言われた経験はありませんか?

「(血液)検査をしなければ判りません。」(①)

大きく頷かれる方も多いと思います。しかし、一方こんな事も言われた経験のある方も多いのではないでしょうか?

「(血液)検査では判りません。」(②)

同じ医者にかかっても①の様に言われたり、はたまた②の様に言われたりして「言うことがころころ変わって、このお医者さんは大丈夫だろうか?」と思われたことがあるかもしれません。

この心配は「検査」に対するとらえ方が、一般の方と診断を下す医師では違うことに原因があるのですが、一見すると矛盾している①と②の発言が両方とも理にかなっていることを納得していただくには丁寧な説明が必要だと思います。

一般に「『検査異常 = 病気』、『検査正常 = 健康』」と捉えて、検査をすれば悪いところが分かるものだと理解されておられると思います。しかし実際はそんなに単純には行かないないことは、以前からこのブログを読んでおられる方には受け入れ易いのではないでしょうか?(興味がありましたら、以前のブログ「検査の正常値と異常値について」などをご参照ください。)

では、医師はどの様に考えているのでしょうか? 続きは、次回のブログで・・・・・・・


ステイプラー(ホッチキス)を買いました

梅雨入りしたはずなのに、近畿では雨も降らず真夏のような暑さですね。この時期の体調管理は難しいですが、十分な睡眠と水分補給をして、熱中症にお気を付けくださいね。(風邪や帯状疱疹の方の受診が増えているように思います。疲れから、免疫力が低下してるのかも知れません。)

先日、書類を綴じるのにステイプラーを使用したのですが、書類が厚すぎるせいか針がクネクネと情けなく曲がってしまい一向に作業が進まない事がありました。綴じたい書類は20枚ぐらいのものだったので、パウチで穴を開けてひもで綴じるかなどと考えあぐねておりました。大型のステイプラーを使えばよいのですが、場所を取る上に、ちょっと薄い書類を留めると余った針の先が裏から表に書類を突き破って出てくるので使える状況も限られるので医院での購入を見送っていたのです。

使用する頻度は少ないのですが、今後も必要になることがあるに違いないと意を決して大型のステイプラー(机の上に置いてレバーで「ガシャン」とするやつ)をネットで探し始めました。

ところが何ということでしょう・・・・(ビフォアー アンド アフター 風に)

ハンディタイプのステイプラーで40枚まで綴じれるタイプが新発売になっていました。しかも、針の綴じ方がフラットタイプなので2枚から40枚まで針を交換することなく綺麗に綴じることが出来るとのことでした。

早速購入して届いたステイプラーを使って、件の書類を「ガシャリ」としてみると、いとも簡単に綴じれてしまい自然と笑いが込み上げてきました。(その後、子供のように余計なものまで綴じ込んでしまったのはいうまでもありません。)

16世紀には原型となる物があったといわれるステイプラーですが、使う人のニーズを先取りして未だに進化を続けている現実に、我々の医学界ももっと努力が必要なのではないのだろうかと手の中の小さな器械を見つめました。


体重増加

梅雨に入ったのに、大阪は全く雨が降らないですね。また昨年のように、なかなか降らないけど降ればゲリラ豪雨というのは勘弁してほしいものですね。

さて、昨日は梅田で研究講演会があったので、午後の休診を利用して参加してきました。高脂血症や糖尿病に関連するものだったのですが、宮崎大学の先生が「体重増加」について面白い話をされておられましたので、ご紹介したいと思います。

『現在の食餌・運動習慣に加えて毎日「コアラのマーチ1個(1箱ではない)」または「ポッキー1本」または「小梅ちゃん1個」を食べるようにすると、10年後には体重が平均で5kg増えます。』
と仰っておられました。

「本当でしょうか?」との声が聞こえてきそうですが、実験研究に基づくエビデンスから出て来たデータだと思いますので、個人差はあるにしろ正しいと思われます。もしそうであるとすれば、毎日ほんのちょっとだけ食べるものを減らせば体重増加を簡単に抑えることができることになります。

我慢のいる努力は効果がないと(数字に表れないと)、長続きするものではありません。「でもコアラのマーチ1個分ぐらいなら・・・・・・」と思われた方、このエビデンスを信じて年単位でちょっとした努力をしてみてはいかがでしょうか?