月別アーカイブ: 2013年7月

ダイエットは万能ではない?(2)

8月前だというのに暑い日が続いております。熱中症や夏ばてに気を付けて体調管理をしていただければと思います。

さて前回からの続きですが、「糖尿病は良くなっているのにリスクが減らない合併症があること」をどの様に考えればよいのでしょうか?

今までのブログを読んでいただいている方はうすうす気がついておられると思いますが、「糖尿病は良くなっているのに・・・」の部分に落とし穴があると考えられるのです。この部分を「血糖値は良くなっているのに・・・」と書き換えるとよく解ると思いますが、「血糖値の改善 = 糖尿病の改善」と考えると、この落とし穴に落ちてしまって、「心筋梗塞などの心血管イベント」のリスクが減らない事実に対して「どうしてそうなるのだろう????」となってしまうのです。

以前にも書きましたが、糖尿病は「膵臓が(相対的・絶対的に)インスリンを十分に出せない」状態が本態であり、ダイエットだけでは血糖値は改善したとしても、疲弊した膵臓を正常に戻すところまで出来ていないと考えると、今回の心血管イベントのリスクが減らなかったのことも理解しやすいのではないでしょうか?

それでも「血糖値は良くなっているのに・・・」と違和感を感じられる方もおられると思いますので、次回は「血糖値と膵臓の疲弊の関係」についてどんな事が起こっているのか、書いてみたいと思います。


ダイエットは万能ではない?(1)

さて今回は、シカゴで行われた「アメリカ糖尿病学会(ADA)2013年学術集会」で発表された、「生活習慣の改善が糖尿病予防や心血管イベント抑制に及ぼす影響」を検討した研究の興味ある結果について書いてみたいと思います。

今回のADAでは「MOVE!」という研究と「Look AHEAD」という2つの生活習慣の改善(主にダイエット)に関する研究結果の報告がありました。どちらの研究でも、減量によって糖尿病の発症や糖尿病の合併症である網膜症や腎症は、減少することが示されました。

以前からいわれているとおり、ダイエットにより糖尿病を改善できる事は間違いないと思います。しかし、「ダイエット」だけしていれば大丈夫なのでしょうか?

じつは糖尿病の合併症には、比較的長い期間糖尿病であった人に発症する網膜症や腎症と糖尿病の前の段階(耐糖能異常(IGT))の時からリスクが増える心血管障害があることが知られています。今回の発表では、ダイエットをしても「心筋梗塞などの心血管イベント」を減らすことが出来なかったと報告されています。

ダイエットによって、糖尿病は良くなっているのにリスクが減らない合併症があることは、直感的には理解しにくいと思います。なぜその様になるのか明らかなことは判りませんが、どの様に考えられるのかについて次回から考えてみたいと思います。


音楽を聴きに来られませんか?

梅雨明けから突然の暑さで、寝不足になっておられないでしょうか?私は少し寝不足気味です。(昼間は空調の効いた医院にいるから余計に暑く感じるのかもしれません。)

全国的にも熱中症で搬送される方が増えてきているようです。十分な睡眠と、水分・塩分の補給を心がけてくださいね。(熱中症に関しては「ドクターインタビュー」に詳しく載っていますので、興味のある方はお読みくださいね。http://www.ddmap.jp/interview/naika/20110701_1/    http://www.ddmap.jp/interview/naika/20110701_2/

今回は医学の話を離れて、「きむ循環器内科医院」で流れている音楽について書きたいと思います。
きむ循環器内科医院では、開院当初から待合室でクラシックを流しています。電源に始まり、スピーカーやケーブルなどにも(値段は高くないのですが)こだわったので、内装工事の方にはお手間を取らせてしまいましたが、受診されたピアノの先生から「実際のピアノの音が聞こえる。」との感想いただきました。

開院後も思い描く音楽を目指して色々と試行錯誤していたのですが、音楽のデジタルデータを音に変換するDAC(ディジタル アナログ コンバータ)を変えたところ、思い描いていた音に驚くほど近い音が出るようになりました。患者さんのおられない時に待合室で座っていると、音楽に聴き入ってつい「ウトウト」としてしまいます。(前日の寝不足のせいかもしれませんが・・・・・・)

昼の休診時間(12:30〜4:00)は閉めておりますが、「暑いけど、クーラーを入れるのは・・・」と思われている方、涼を取りがてら医院の方へ音楽を聴きに来られませんか?診察が必要なくても「音楽を聴きに来ました。」と言っていただけると大丈夫ですよ。お気軽にお越しください。

(もちろん音楽だけでなく、本人・ご家族の健診結果の相談も大歓迎です。)


検査をしなければ・・・・・(3)

梅雨らしいどんよりとした天気が続きますね。気温はそれ程高くなくても、汗が蒸発しないために効率的に体温を下げることが出来ず、熱中症になってしまうこともありますのでお気を付けください。

さて今回は『(血液)検査では判りません。』とお医者さんが言う場合の状況についてかんがえてみたいと思います。
最初に思い付くのは「(何も症状は無いけど)悪いところがないか全部検査してください。」といわれた場合です。以前からのデータがあれば、比較して検査値が悪くなったところがないか確認できるのですが、検査が初めての場合には異常値が出てもそれが「悪いところ」かどうかが判断できない場合があります。(この辺りの詳しい話は以前のブログ「検査値の正常値と異常値について」をお読みくださいね。)

次に「○○の病気にならないか調べてください。」といわれる場合です。確かに複数の検査異常があればその病気になるリスクは高くなっていくのは事実です。検査異常がある人は○○病になるリスクが正常人の3倍になりますと聞くと恐ろしいと感じますが、仮に検査異常のない人で100人に1人○○病気になるとすると、検査異常がある人は3倍の○○病が発症するので100人に3人ということになります。しかし、「検査が正常の人の病気でない確率」が99%に対して、「検査異常のある人の病気でない確率」は97%となり、病気でない確率はたった2%しか下がっていないのです。検査で病気のリスクは判るのですが、「病気になるかどうか」は判断できないこともあると理解していただけるのではないかと思います。

この様に書いてきましたが、もちろん「症状は無くても検査のみで診断可能」な病気もありますので、「検査では判らない」と早合点せずに、検査は絶対的なものではなく病気によって検査の位置づけも変化するものであり、

「(血液)検査をしなければ判りません。」
「(血液)検査では判りません。」

という言葉は時として同時に正しいこともあり得ると感じていただけると幸いです。

検査の位置づけについては、まだまだ書きたいことがあるのですがまたの機会に譲りたいと思います