日別アーカイブ: 2013年7月5日

検査をしなければ・・・・・(3)

梅雨らしいどんよりとした天気が続きますね。気温はそれ程高くなくても、汗が蒸発しないために効率的に体温を下げることが出来ず、熱中症になってしまうこともありますのでお気を付けください。

さて今回は『(血液)検査では判りません。』とお医者さんが言う場合の状況についてかんがえてみたいと思います。
最初に思い付くのは「(何も症状は無いけど)悪いところがないか全部検査してください。」といわれた場合です。以前からのデータがあれば、比較して検査値が悪くなったところがないか確認できるのですが、検査が初めての場合には異常値が出てもそれが「悪いところ」かどうかが判断できない場合があります。(この辺りの詳しい話は以前のブログ「検査値の正常値と異常値について」をお読みくださいね。)

次に「○○の病気にならないか調べてください。」といわれる場合です。確かに複数の検査異常があればその病気になるリスクは高くなっていくのは事実です。検査異常がある人は○○病になるリスクが正常人の3倍になりますと聞くと恐ろしいと感じますが、仮に検査異常のない人で100人に1人○○病気になるとすると、検査異常がある人は3倍の○○病が発症するので100人に3人ということになります。しかし、「検査が正常の人の病気でない確率」が99%に対して、「検査異常のある人の病気でない確率」は97%となり、病気でない確率はたった2%しか下がっていないのです。検査で病気のリスクは判るのですが、「病気になるかどうか」は判断できないこともあると理解していただけるのではないかと思います。

この様に書いてきましたが、もちろん「症状は無くても検査のみで診断可能」な病気もありますので、「検査では判らない」と早合点せずに、検査は絶対的なものではなく病気によって検査の位置づけも変化するものであり、

「(血液)検査をしなければ判りません。」
「(血液)検査では判りません。」

という言葉は時として同時に正しいこともあり得ると感じていただけると幸いです。

検査の位置づけについては、まだまだ書きたいことがあるのですがまたの機会に譲りたいと思います