ダイエットは万能ではない?(1)

さて今回は、シカゴで行われた「アメリカ糖尿病学会(ADA)2013年学術集会」で発表された、「生活習慣の改善が糖尿病予防や心血管イベント抑制に及ぼす影響」を検討した研究の興味ある結果について書いてみたいと思います。

今回のADAでは「MOVE!」という研究と「Look AHEAD」という2つの生活習慣の改善(主にダイエット)に関する研究結果の報告がありました。どちらの研究でも、減量によって糖尿病の発症や糖尿病の合併症である網膜症や腎症は、減少することが示されました。

以前からいわれているとおり、ダイエットにより糖尿病を改善できる事は間違いないと思います。しかし、「ダイエット」だけしていれば大丈夫なのでしょうか?

じつは糖尿病の合併症には、比較的長い期間糖尿病であった人に発症する網膜症や腎症と糖尿病の前の段階(耐糖能異常(IGT))の時からリスクが増える心血管障害があることが知られています。今回の発表では、ダイエットをしても「心筋梗塞などの心血管イベント」を減らすことが出来なかったと報告されています。

ダイエットによって、糖尿病は良くなっているのにリスクが減らない合併症があることは、直感的には理解しにくいと思います。なぜその様になるのか明らかなことは判りませんが、どの様に考えられるのかについて次回から考えてみたいと思います。






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