月別アーカイブ: 2013年11月

精密加工技術と健康管理

今日は大阪で初雪が観測されたそうです。11月中に初雪が降るのは24年ぶりのことだそうで、今朝は冷え込むと思ったことも外れではなかったようです。

さて、以前からこのブログでダイエットなどの健康管理に関して書いてきましたが、特に「ポッキーを1日1本余計に食べると10年で5Kg多重が増える!!」などは、なかなか腑に落ちないようです。あなたも「(努力をして)大きく生活習慣を変えないと健康管理は出来ない。」と思っておられませんか?

実は最近、金属で出来た独楽を買ったのですが、これがなかなか良くできていて上手に手で回すと5分以上も回っているのです。精密金属加工の会社が技術力を結集して、作り上げた独楽であり、その精度は100分の1ミリに達するそうです。「そこまで細かく調整するのだから、5分も回っているんだ。」と御納得いただけると思います。

100分の1ミリが独楽の回転に大きな影響を与えるように、生活習慣の小さな改善が健康管理に大きな影響を与えると思われませんか?

このブログを読まれて、

「(努力をして)細かく生活習慣を調整しないと健康管理は出来ない。」

という言葉に御納得いただければ良いのですが・・・・・


また風邪の季節ですね

気温が寒くなり、空気が乾燥してくると「風邪」が流行ってきますね。当院でも「風邪」で受診される患者さんが増えています。

今回の風邪の特徴としては、喉の痛みや鼻水の症状で始まり、2−3日後に軽い熱感や発熱があり、その後ひどい咳が残る方が居られるようです。そのような方のお話を聞いていると、鼻の奥や喉の奥が「イガイガ・ムズムズ」して咳や鼻水が連続して出るとのことです。中には、頭痛や耳痛が強く難儀することもあるみたいです。

どうやら、喉(扁桃)から始まった炎症が、気管や副鼻腔に広がって上記のような症状を出すのが今回の風邪のようです。抗炎症剤や咳止めを服用していただくのですが、一旦こじらせるとなかなか治らないようです。「風邪かな?」と思ったら早めの対処が良いみたいです。

服薬とともに、部屋の温度や湿度の管理をキチンと管理して、十分に休息を取ることが症状の改善に必要です。

お気を付けくださいね。


運転士と星新一と医療

子供のころ、阪急電車の沿線に住んでいたのですが電車の先頭に陣取って、運転士さんの様子を良く眺めたものです。単にハンドルを握って「操縦」しているだけではなく、信号や標識の度に「確認よーし」と指さしている姿が格好良く見えたものです。大人になって知ったのですが、指さし確認は単なるパフォーマンスではなく、人間の思い込みを是正する、安全運転のための基本的な所作であるとのことです。

人間の思い込みと言えば、昔読んだ星新一さんのショートショートに記憶に残る作品がありました。簡単に内容を纏めると、お酒を飲み過ぎて肝臓を患った人が「禁酒」をするために当代随一の自己暗示の先生に教えを受けて禁酒に成功するのですが、あるときお酒を飲んだ自己暗示を自分にかけてみたら、お酒を飲まないのに飲んだ時の様に気分が良くなったのです。そこで彼は毎日お酒を飲んだ自己暗示をかけて、実際にはお酒を飲まないことにしたそうです。

数年後、お酒を一滴も飲んでいないのに彼の肝臓は肝硬変になってしまったのです。それは、当代随一の自己暗示の先生の教わったので、自己暗示が実際に飲酒をしたのと同じ効果を体に及ぼしていたとの落ちだったと思います。人間の思い込みに対する鋭い皮肉を含んだ面白い作品でした。

医療の現場でも医療従事者の思い込みで、医療事故が起きることは新聞などでご存じだと思います。
実は危険な思い込みは患者さんにもあります。「運動をがんばるから」「お酒を控えるから」「痩せたら大丈夫」と御自身で判断するのは悪いことではないのですが、定期的な検査で「確認」することが大切であることは、このブログを以前から読んでいただいている方は納得していただけると思います。

「頑張っているのだから良くなっているはずだ!」は自己暗示に過ぎないかもしれません。

.


異常と原因

朝晩はメッキリ寒くなってきましたが、週明けの雨の後は最低気温が1桁まで下がるそうですので、週末は暖房の動作確認やコートなどの用意をしておかなくてはと思っています。

当院ではBGMにクラシックを流しているのですが、時々「シャー」とノイズの入ることがあります。週末などの時間を利用して原因を調べるのですが、不規則にノイズが出るため原因が一向に解らず「モヤモヤ」した気分から抜け出せないでいました。

電源を差し替えたり、線をつなぎ替えたり、挙げ句の果てにマニアックにもコンピュータシステムのパラメータを変更したり、挙げ句の果てにコンピュータや電子機器と相性の悪いスタッフ(その人が使うと何故か電子機器がおかしくなる人は職場に一人は居るものですが・・・)が何か影響を及ぼしているに違いないと非科学的な説明をうそぶいて笑い飛ばしてみたりしています。

本当に異常の原因がわからないことはストレスの溜まるものです。

他病院を受診されて検査をしたけれど「何も悪いところはない。」と言われたのに症状が取れず、不安を持って当院を受診される患者さんが居られます。そんな時ストレスと不安を軽減するために、医師が言う「何も悪いところはない。」という言葉は、多くの場合「治療することによって確実に症状を改善させることの出来る異常を見付けることが出来ない。」という意味であると説明させていただいています。そのようにご理解いただいた上で、症状の出る状況や血圧や体調など自分なりに記録していただき、その記録と症状の時間的経過から原因を一緒に突き止めて行くのが良いのではないかと思っています。(もちろん真の原因はわからないこともありますが、症状との折り合いを付けるのにも記録は大変役立つものです。)


睡眠呼吸障害

先日天王寺医師会のスモールミーティングで座長の大任を任されました。講演者の佐田先生とは国立循環器病センター時代に一緒に働いたこともあり、私が選ばれたようなのです。前日から少し緊張気味でしたが、先生方の協力もあり何とかこなせたのではないかと胸を撫で下ろしました。

今回の演題は「循環器疾患と睡眠呼吸障害」でしたが大変分かり易く、今後の診療に生かしていこうと前向きになれる内容でした。

「睡眠呼吸障害」とは聞き慣れない言葉だと思いますが、飛行機や列車での居眠り事件で一躍有名になった「睡眠時無呼吸症候群」と一般的には同じであると考えて、大きな間違いはないと思います。

実は「睡眠時無呼吸症候群」が「循環器疾患のリスク」を押し上げていることが知られています。

高血圧症        1.42〜2.89倍のリスク
狭心症・心筋梗塞   1.2〜6.9倍のリスク
不整脈        1.74〜4.02倍のリスク
大動脈解離      約70%の患者さんに睡眠呼吸障害
糖尿病        2.3倍のリスク

特に大動脈解離は夜間に発症することが多く、「睡眠時無呼吸症候群」が動脈硬化の原因となるばかりでなく大動脈解離発症の引き金になっている(無呼吸で血圧が上昇し大動脈が裂ける)可能性があるとのことです。

また、「睡眠時無呼吸症候群」の方は、治療をしても循環器疾患が治りにくい傾向があるそうです。薬を飲んでも、数値が安定しない方は「睡眠時無呼吸症候群」の関与を疑う必要があるみたいです。

当院では「睡眠時無呼吸症候群」を検査する機器による診断を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

 

.