月別アーカイブ: 2014年4月

尿糖で糖尿病改善?

最近、一日の寒暖の差が大きいため、風邪や胃腸炎が猛威を振るっています。こまめな衣類の調節で、体調を崩さないようにお気をつけください。

スーグラ、デベルザ、アプルウェイ・・・・何の薬の名前か判りますか?

ニュースでご存じの方もおられると思いますが、新しい糖尿病治療薬なのです。

これらの薬は「選択的SGLT2阻害薬」と呼ばれ、これまでの糖尿病治療薬にない特徴を持っています。その特徴とは「尿糖を出す(糖尿にする)ことによって糖尿病を改善する」というものです。

初めて聞いた方は「??????」と頭を捻っていると思いますが、皆さんはどう思われますか?

種明かしをすると、腎臓で尿に出て来たグルコースを再吸収しているSGLT2を阻害することによって、尿中に糖が出ていく状態(糖尿)を作り出すことにより、血糖値を下げようというものなのです。

通常血糖が300mg/dlを超えてくると尿糖になるのですが、これらの薬を服用することにより、より低い血糖値でも尿中に糖が出ていく状態(糖尿)になり、血糖の上昇が抑えられるのです。

通常、尿糖は糖尿病にとって悪い物(血糖が上がっている証拠)なのですが、これらの薬を飲んで糖尿病を治療するには尿糖が出なければ始まらないのです。何だかややこしいですね。

日常診療でも、病態や治療によって検査値や症状の持つ意味は大きく変わり、上記のように持つ意味が全く逆になってしまうこともあルのです。検査値や症状ばかりに囚われずに、ご自身の病態や治療を意識してみると新しい発見があるかもしれませんよ。

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便移植

このブログの表題を見られて「誤変換」ではないだろうかと、思われた方は多いのではないでしょうか?

しかし、今回のブログは「便(うんち)の移植」について書きたいと思います。

英国立臨床評価研究所(NICE)は慢性の腹痛や下痢の原因となる再発性のクロストリジウム-ディフィシル感染に対して「便移植」を推奨するとの記事を読みました。

最初は「便移植って・・・・・?」と思いましたが、コアラやウサギが子供に自分の便を食べさせることや、シロアリが腸内細菌と共生していることなどを思い出して・・・・・「腸内細菌叢(さいきんそう)だ!」と思わず膝を叩いてしまいました。

病原性や薬剤耐性を持つ病原体はとても「強力」なイメージがあるのですが、必ずしもそうではないと以前のブログで書きましたが、この例も当てはまるのではないでしょうか?

抗生剤治療を長期に続けたりしているとクロストリジウム-ディフィシルによる慢性の腹痛や下痢になるのですが、正常人から取り出した「便(腸内細菌)」を移植することによりクロストリジウム-ディフィシルを押さえ込めるというのです。

普通の腸内細菌より病気を起こすクロストリジウム-ディフィシルの方が「弱い」と思えないでしょうか?

イギリスではこれから「便移植」が進んで行くのでしょうけれども、日本でも進んで行くのかしらんと想像していたら、以前視たCMを思い出しました。

「人には 人の 乳酸菌!」

これって、部分的な「便移植」なのでしょうか?

 

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新しい高血圧ガイドライン(JSH2014)

新入学の時期だというのに、朝晩の冷え込みはなかなか緩まないですね。今朝も医院に来たら気温が低く、暖房を入れる羽目になりました・・・・・困ったものです。

さて最近、幾人かの患者さんに「血圧の基準が上がりましたね。」と診察中に言われる機会がありました。「JSH2014」の新しい高血圧ガイドラインについて、ニュース報道をご覧になって興味を持たれたのだと思います。ご自身の病気について興味を持っていただけることは、大変ありがたいことです。

ただ、「高血圧の基準値が緩和された」側面ばかりが強調され、「これまでの高血圧の基準が厳しすぎたので、私の高い血圧もそれ程気にしなくても良いよね。」と間違った認識が広がってしまうのが心配です。よくよくガイドラインを読んでみると、血圧の基準値が緩和されたのではなく、血圧の管理基準(降圧目標値)についての変更なのです。

この変更には、当院で「診察室での血圧は参考値」と以前から言って来た考えと同様の「診察室血圧」より「家庭血圧」の重視という考え方が反映されています。「診察室血圧」は報道されたように緩和されましたが、実は基本的な「家庭血圧」の基準値は135/85mmHg以下と全く変化なく、後期高齢者など「家庭血圧」の降圧目標値が緩和されたグループでは必ず「○○○/○○mmHg」(目安)となっています。

つまり、「動脈硬化などの個々人の病態により、降圧目標が大きく変わるため一律に基準値を定めることが出来ませんよ」という意味が「(目安)」に含まれているのです。

ガイドライン自体が本来的に「(目安)」なのですが、ひとたび基準が出来てしまうと一人歩きしだすのは世の常ですね。世の中のスピード感に翻弄され、物事の本質に立ち入らない風潮が混乱にさらなる拍車をかけているような気がします。(困ったものです。)

今回の新しい高血圧ガイドラインの本当の変更点は、「診察室血圧」の降圧目標値は緩和されたものの、「『家庭血圧』を記録しないと高血圧の管理は始まりません。」という内容なのです。(高血圧専門の先生方は厳しいですね。)

皆さんも、この機会に「家庭血圧」を記録してみませんか?

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ウィンドウズXP

やっと桜の季節がやって来ました。激しい雨が全国的に降るようなので散ってしまわないか心配ですねぇ。

突然ですが、ウィンドウズXPのサポート期限が今月の9日までなのに伴い、病院内のウィンドウズXPの入れ替えを行っています。当院では、ウィンドウズの台数はそれ程多くないのですが、データの移動や自動入力になっているパスワードの再設定など、細々とした手間がかかります。

今回ブログをアップするのが遅れたのもそのためなのですが、調子よく動いていた新しいウィンドウズが突然インターネットに繋がらなくなったのです。色々と試してみたのですが、一向に良くなる気配がなく、仕方なく以前のウィンドウズXPを立ち上げて原因を探っておりました。

結局、インターネットとコンピュータを繋ぐネットワークカードのドライバーソフトウエアとネットワーク機器の間で、上手くデータが流れていないことを発見して対処することが出来ました。

以前の報道で、特に大阪では新しいウィンドウズへの移行が全く進んでいないとのことでありました。(商人の町ですので「勿体ない」精神の表れでしょうか?)当院の小規模なシステムでも、これだけ苦労したのですから、会社などでは気が遠くなるような手間がかかるはずです。大阪は大丈夫だろうか・・・・・・

2001年から長きに渡り活躍した「ウィンドウズXP」、ご苦労様でした。

 

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