糖尿病で脳の構造が変化する?!

昨日は久しぶりにまとまった雨が降りました。でもまだまだ平年に比べて雨が少ないそうです。夏の水不足は困るので、少なくとも大阪の水瓶である琵琶湖には降ってもらいたいものです。

さて、ニューヨーク(ロイターヘルス)に衝撃的なニュースが出ていました。それは、

「糖尿病で脳の構造が変化する?!」

というものです。

Ⅰ型糖尿病で安定した血糖コントロールが出来ている36人(18歳〜65歳)に対して、脳容量を測定するためにMRIを施行したとのことです。

糖尿病性末梢神経障害(DPN)のある人は同年代の健常人と比べて、脳の辺縁系の白質といわれる部分が小さかったそうです。詳しく見ると一次体性感覚皮質、縁上回、帯状皮質の体積が特に減っていると報告されています。

これまで、糖尿病性末梢神経障害(DPN)は文字通り末梢神経の問題(手の痺れや、疼痛など)だと考えられてきたのですが、中枢の神経の集合体である脳にも変化が及んでいる可能性が示されたのです。もしかすると、この脳の変化が行動や心理に影響を与えるかもしれないのです。

今後、「糖尿病のどの段階で脳の変化が始まるのか?」「糖尿病を治療することにより予防可能なのか?」「Ⅰ型糖尿病だけでなく一般的なⅡ型糖尿病でも脳の変化が見られるのか?」など明らかにするべき疑問点は山積みです。

糖尿病が動脈硬化を引き起こして、脳梗塞や脳出血の原因になることは広く知られていますが、糖尿病が引き起こす脳構造の変化に関する知見は、現在ほとんどありません。(よくよく考えてみると、糖尿病性末梢神経障害(DPN)で末梢神経が障害されているのなら、神経の集まりである脳が影響を受けるのもそれ程驚くことでは無いのかもしれません。)

痛くも痒くも無いからと「糖尿病」を放置しておくと、脳の構造まで変化してしまうかもしれないのです。やはり「症状のない病気」は恐ろしいですね。

 

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