新しい抗生物質

本当に寒いと思っていたのですが、週末にかけてさらに寒くなるそうです。「ダメよ!・・・」とでもいいたい気持ちですね。

さて、前回は「耐性菌」について書いたのですが、タイムリーに関係する記事が出ていたので、紹介します。

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『MRSA:1分で99.99%殺菌 新しい抗生物質発見』
毎日新聞  2014年12月09日

ほとんどの抗菌薬が効かないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を殺菌する効果のある新しい抗生物質を発見したと、浜本洋・東京大助教(微生物学)らの研究チームが8日付の米科学誌ネイチャー・ケミカルバイオロジー電子版に発表した。MRSAは院内感染が問題になっており、新薬開発が期待される。

ライソシンEの殺菌力は強く、既存の抗菌薬が投与後約30分経過してようやくMRSAを殺菌し始めるのに対し、1分で99.99%を殺菌できた。また、菌の細胞膜のみを破壊し、マウス実験では生体への悪影響がないことも分かった。
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このライソシンEと名付けられた強力な抗生物質、さぞやハイテクの技術で開発されているのではないかと、お考えの方も多いと思いますが、実は・・・・・・

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研究チームは約2年7カ月かけ、各地で採取した土壌中にいる約1万4000種類の細菌を調査。沖縄県の土から見つかった細菌が、MRSAを殺す抗生物質を作り出すことを発見し、ライソシンEと名付けた。
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もの凄くアナログな努力で発見されているのです。

MRSAは通常は常在菌として、健常人の鼻腔などに密かに住み着いているのですが、免疫力がおちると突然に増殖して、既存の抗生物質が効かないため肺炎や敗血症を引き起こすことのある厄介な細菌です。このMRSAを1分で殺菌するのはすごいですね。

臨床で使われるにはまだ10年ほどかかると思いますが、本当に待ち遠しいですね・・・・・・・・でも今までの経験からいうとライソシンEにも耐性菌という話になるのでしょうか?今から心配です。

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