漢方薬の副作用

一般的に漢方薬は効き目は通常のお薬には劣るが、安全で副作用がないと考えられています。しかし、漢方薬も「証」をきちんと合わせれば、劇的に効くことも多いのです。また、甘草などを含む漢方薬の長期服用で電解質異常などの副作用があることは広く知られています。

今回は、漢方薬の長期服用が「腸間膜静脈硬化症」という病気の発症に関係しているかもしれないという、話題です。

「腸間膜静脈硬化症」は、希な病気で厚生労働省の難治性疾患に指定されています。腸間膜静脈の線維性肥厚・石灰化によって、下痢や腸閉塞、腹部膨満感などの消化器症状が現れるとのことです。

これまで、原因は明らかでなかったのですが、今回JR大阪鉄道病院の先生が、漢方薬の服用との関係を調べたところ、生薬の山梔子(サンシシ)を含む漢方薬が浮かび上がってきたのです。

聞き取り調査で少なくとも「腸間膜静脈硬化症」の81%の人が、山梔子(サンシシ)を含む漢方薬を長期に服用していました。さらに、漢方薬を服用を中止することにより症状が改善したとのことです。

山梔子(サンシシ)を含む漢方薬を長期に服用している人が多くないと考えられること、「腸間膜静脈硬化症」は希な病気であること、患者さんの実に8割以上が漢方薬を服用していたことを考え合わせると、山梔子(サンシシ)はこの病気の原因としてかなりあやしいと言わざるをえませんね。

もちろん、山梔子(サンシシ)を含む漢方薬を長期に飲んでも、副作用の出ない人が大半ですが、調子が悪い時には、「もしかして漢方薬のせい?」と疑ってみることも大切ではないでしょうか?

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