月別アーカイブ: 2015年5月

一夫多妻で冠動脈疾患リスクが4倍超に

5月だというのに、真夏のような暑さですね。まだ、湿度が低いのが救いですが・・・・・

以前から独身男性に比べ、既婚男性は健康状態が良好で寿命も長いとのエビデンスがあります。では、妻が複数いればさらに健康になるのでしょうか?

こんな疑問に答える前向き観察研究が、一夫多妻制のあるサウジアラビアとアラブ首長国連邦で実施されたそうです。

複数の妻がいる男性では妻が一人の男性に比べて、冠動脈疾患のリスクが4倍超高いことが明なになりました。さらに冠動脈疾患のリスクは妻の人数が増える毎に上昇していたのです。

この研究を行った先生は、複数の妻の住居を確保し、生活を維持するための経済的負担や精神面での負担、全ての妻たちを公平かつ平等に扱わなければならないことから生じるストレスなどがあるのではないかと指摘しています。

過ぎたるは及ばざるが如し・・・・でしょうかね。

.


「一杯のコーヒーから・・・・♪」

9万人超の日本人を対象とした前向きコホート研究で、コーヒーを1日3-4杯飲む人は、ほとんど飲まない人より、死亡リスクが24%低下することが報告されました。

かなりインパクトのある研究だと思います。重要な点としては、

1.対象が9万人超と大規模である。
2.対象が日本人である。
3.前向きコホート研究である。

などがあげられると思います。

人数が多いので、確率的な変動で結果が振れにくい上に、日本人のデータであるので皆さんにも効果がある可能性が高くなるのです。その上、前向き(コホート)研究であるので、後ろ向き研究で良くある、「コーヒーを飲んだから長生きした」または「コーヒーを飲み続けられた人が長生きした」(コーヒーを飲み続けられない人は早期に死んでしまう?!)のか判断が出来ない事態が回避されているのです。

死亡原因別に見ると、心疾患による死亡リスクは36%、脳血管疾患による死亡リスクは43%、呼吸器疾患による死亡リスクは40%低下していたとのことです。ただ残念なことに、癌による死亡リスクは変化が無かったようです。

「一杯のコーヒーから・・・・♪」健康になれるかもしれませんね。


髪の毛で・・・・

近畿でも「真夏日」の言葉をチラホラ聞くようになってきました。この時期にも熱中症は結構あるようですので、お気をつけ下さい。

さて今回は、警察のDNAや麻薬の捜査に髪の毛が使われれている事はドラマなどで以前からよく見ていたのですが、医学の世界でも髪の毛が活躍するかもしれないとの話です。

理化学研究所脳科学総合センター分子精神科学教室から、頭皮の毛根細胞における遺伝子の発現を計測することによって、初期の精神疾患を見分けることが出来るとの報告が行われました。

病気の症状などが顕著化する前に体内で変化をする物質を「バイオマーカー」といって、早期診断に有用なツールとして活躍しています。これまで、非侵襲的(脳細胞を取ってくるなど大がかりでなく)で簡便な精神疾患診断バイオマーカーの発見が待ち望まれていたのです。

今回は、髪の毛の根元にある毛根細胞での遺伝子発現を調べる手法が、有用であるかもしれないとの報告だったのですが、調べてみるとこれまで脳細胞でしか発現していないと考えられていた遺伝子が、実は毛根でも発現している事が判明したとのことです。

毛根細胞が脳細胞での遺伝子発現の状況を反映していれば、脳内の状況を髪の毛一本で知ることが出来るかもしれないと言うのです。

もしそうなら認知症やうつ病など現代社会の問題となっている病気を、髪の毛一本で診断・予防出来る日がくるかもしれません。

 

.


プログラミングと医療

お気づきの方もおられると思いますが、最近ブログの更新時間が遅くなっています。金曜日の午前中に来られる患者さんも増えてきたので、「午前中にゆったりとコーヒーを味わいながら・・・」と優雅には行かなくなってきました。

さて、最近年甲斐もなくコンピュータのプログラミングをしております。色々な事情で、自分で作らなければならなくなったのですが、その辺は取りあえず置いておくとしましょう。

大学を卒業してから、表計算ソフトのマクロ程度なら作ることもあったのですが、本格的なプログラミングとなると四半世紀ぶりになるかもしれません。(四世紀ではなく四半世紀なので25年ぶりです!)

昔と比べるとコンピュータも進化しており、驚くような機能が簡単にプログラミングできる事には隔世の感がありました。以前はメモリーも少なく・・・・・と書き出すと自分が年を重ねた現実を突きつけられるので、ここは敢えて違う方向で進めていきたいと思います。

最近のプログラミングは、以前と比べて制約が少なく出来ることが飛躍的に増えているのですが、どんなオプションがあるのかを調べるのに多くの時間が費やされてしまう印象です。数ある選択肢の中から、ピッタリのものを見付けた時の完成度は、以前のプログラミングの比ではありません。

では、今のプログラミングの方が楽しいかと聞かれると、私には即答できそうにありません。色々なオプションを調べ尽くして最適のものを見付けても、あくまでそのプログラミングに使用したツールの中の話であり、その知識を他に応用することが難しいのです。

同じ時間を使っても以前のプログラミングでは、物理的なコンピュータの構造を深く理解するのに時間を使っていたので、自分の成長を実感し易かったように思います。

今のプログラミングが効率的あるとすれば、昔のプログラミングには手作りした実感がありました。両方の良いとこ取りを出来るプログラミングスタイルは無いものでしょうか?

医療の世界でも副作用の少ない強力な薬が登場しており、病態を十分に理解しなくても対応できるようになっています。改めてツールに頼り切るのではなく、自らが治療したと実感できる医療を目指すように自分を戒めました。

.


大人の感冒症状に要注意!

寒暖の差が広がり、風邪で受診される大人の方が増えています。多くの方は普通の風邪なのですが、中に子供がよくかかることで知られている、溶連菌感染症やリンゴ病に大人が罹患していることもあり注意が必要です。

溶連菌感染症になると、のどの痛み、発熱、イチゴ舌(舌に発疹が出てイチゴのようになる)、全身倦怠感、嘔吐、手足に発疹が出たり、発熱や発疹が治まってから手足の皮がむけたりすることがあります。大人がかかると、症状が強く出ることもあり、注意が必要です。

一般の風邪とは異なり、溶連菌感染症では1週間から10日間の抗生物質の投薬がなされます。自覚症状がなくなったからいって抗生物質を飲むのをやめてしまうと、リウマチ熱や急性糸球体腎炎といった合併症になる恐れがあります。

リンゴ病はパルボウィルス感染症で、子どもでは初めにリンゴのような赤いほほになることから名付けられました。大人の場合頬の赤みは目立ちませんが、体にレース様の赤い斑点がでて、手首や指、膝や腰の痛みが強くなり、ひどいと手の指が曲がりにくくなったり、階段の昇降にも不自由を感じることもあります。

リンゴ病のいろいろな症状は長いと3,4週間も良くなったり、悪くなったりすることがあるため、他の悪い病気と心配される方が多いようですが、時間はかかっても自然に治癒するので心配は要らないようです。

溶連菌感染症もリンゴ病も大流行の兆しがあるようです。お子さんが罹患している方はうつる可能性がありますので、おかしいなぁと思ったら是非受診して下さいね。

 

.