月別アーカイブ: 2015年6月

赤ワイン1杯で

九州では記録的な大雨が続いているようですね。関西も今日から明日にかけて、強い雨が降るようです。お気を付け下さい。

さて、以前に「一杯のコーヒーから・・・・」とのブログを書いたのですが、今回は赤ワインの話です。

血糖コントロール良好の2型糖尿病の方に、夕食時に①赤ワイン②白ワイン③ミネラルウォーターのいずれかを2年間摂取してもらい、心血管・代謝マーカーへの影響を検討した、前向きランダム化試験の結果が「第22回欧州肥満学会(ECO)」で発表されました。

結果は、赤・白ワインはいずれもミネラルウォーターに比べて僅かに糖代謝を改善。また、赤ワインを摂取した人では脂質のプロファイルも改善したとのことです。

赤・白ワインの糖代謝改善効果は、アルコール分解が速い遺伝子(いわゆる酒豪の遺伝子)を持つ人より、アルコール分解が遅い遺伝子(いわゆる下戸の遺伝子)を持つ人の方がすぐれており、アルコールの分解能力と血糖コントロールに何らかの関係が示唆されるとの事です。

赤ワインの脂質プロファイル改善効果は、赤ワインに含まれるアルコール以外の何らかの成分が関与している可能性があるとの見解が出されたそうです。

ポリフェノールやタンニンなど健康によいと従来から思われている成分が効いているのでしょうか?それとも未知の成分が・・・・・・?

一つのことが解ると、次々と疑問がわいてきて興味は尽きないものですね。

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トランス脂肪酸

最近雨の日が多く、気分も冴えないことが多いですが、梅雨ですから仕方ないですかね。

今回は、アメリカで規制が強化された「トランス脂肪酸」のことについて書こうと思います。

「脂肪酸」と言えば、「飽和脂肪酸」「不飽和脂肪酸」という名称が人口に膾炙していると思います。一般に「飽和脂肪酸」より「不飽和脂肪酸」の方が体によいと言われています。オリーブオイルのオレイン酸や、青魚に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)などは「不飽和脂肪酸」の代表格と言えます。

実は、今回話題となっている「トランス脂肪酸」は「飽和脂肪酸」ではなく「不飽和脂肪酸」の一種であるのです。「不飽和脂肪酸」は体に良いのではないの?」との声が聞こえてきそうですね。

何故そうなるのかは「トランス(型)脂肪酸」の「トランス」の意味を理解する必要があります。「トランス」とは、「横切る」との意味で、炭素の「不飽和結合(二重結合)」を挟んで脂肪酸の鎖が「反対側」にあるという意味なのです。体によいとされる「不飽和脂肪酸は」、脂肪酸の鎖が炭素の二重結合を挟んで「同じ側」にあり、「シス型」と呼ばれます。

同じ「不飽和脂肪酸」でも、かかる形の違いが「良い」のか「悪い」のかに影響を与えているのです。
悪いと言われている「飽和脂肪酸」でも、繋がっている炭素の数でコレステロール値に対す影響が違うので、「不飽和脂肪酸」でも「トランス(型)脂肪酸」は悪いというのは理解しやすいですよね。

「今後はトランス脂肪酸は取らんす! シス脂肪酸は・・・・・・・・(思い付かない!)」親父ギャグまで不調ですね。梅雨のせいかしらん。

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IP電話とPOS(レジ)システムと薬剤

6月に入ってやっぱり梅雨の季節。じめじめして汗が引きませんね。

今朝、コーヒーを飲みながらブラウザーを眺めていると、「IP電話の乗っ取りで高額請求」との記事を見てびっくりしました。紛失した携帯電話を悪用されて、高額の請求が来る事があるとは聞いていたのですが、IP電話の乗っ取り・・・・・・・・・?と頭を傾げてしまいました。

今使っているIP電話は大丈夫かと心配になり、慌てて記事を読んでみますと、「ある通信機器会社で・・・・」とありましたので、単なるIP電話ではなく、外部から電話やFAXが出来る高機能タイプでセキュリティーを破られてしまったのだと分かり、少し安心しました。

それにしても電話が乗っ取られるというのは、直感的に理解がし難いものです。

よく似た話で、以前スーパーなどのPOS(レジ)システムがウィルス感染をおこして、カード情報などが漏れるケースがあったそうです。レジが乗っ取られるのも不思議な感じがします。昔の機械式のレジであればそんなことはあり得ないのですが・・・・・・・

要は「IP電話」も「ウィルス感染を起こしたレジ」も「電話」や「レジ」と考えてているのが問題で、本質は「電話」や「レジ」の役割を果たす「コンピュータ」と認識すべきだったのです。

医療でも同じ様な認識のズレがあります。例えば、風邪で咳止めを処方する際に「便秘は大丈夫ですか?」とお聞きすると怪訝な顔をされることがあります。(実はある種の咳止めは、消化管の動きを止めるので便秘になるのです。)

「咳止め」は「咳も止める薬品」と認識する必要があるのです。咳止め以外の薬剤でも、基本的に特定の「症状にだけ」効果のある薬剤は無いのです。

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新興感染症の名称

最近のニュースで良く耳にする「中東呼吸器症症候群(MERS)」ですが、5月6日に出された世界保健機構(WHO)の指針からすると、良い病名ではないとのことです。

新興感染症の疾患名によって特定の国や民族などの印象が損なわれたり、経済活動に悪影響が及んだりすることを問題視しているようです。

最近はインターネット等の普及により一旦使用された病名がそのまま「事実上の標準(デファクトスタンダード)」となってしまうことが多く、後からの訂正は困難を極める状況になっているそうです。

WHOの指針によると新興感染症の病名に、「都市・国・地域・大陸の名前」「人物の名前」「動物や植物の種類」「文化・住民・産業・職業に関する物」「恐怖心を煽るもの」を使うべきではないとしています。

先ほどの「中東呼吸器症症候群(MERS)」や「鳥インフルエンザ」、「豚インフルエンザ」などは、最近の不適切な病名にあたるのでしょう。

この基準からすると、日本脳炎・スペインかぜ・コンゴ出血熱・在郷軍人病・麻痺性貝毒、等々おなじみの病気が不適切になってしまいますね。

昔らか「名は体を表す」と言いますが、急いで付けた病名に関しては必ずしもそうではないのかもしれません。

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