日別アーカイブ: 2016年5月27日

iPS 細胞移植見送り

何だか蒸し暑く感じるこの頃ですね。咳や喉の痛みで受診される方が増えておりますので、お気をつけ下さいね。

さて、今回は少し残念な話です。

実際にiPS細胞を人に移植する臨床研究が、目の難病患者が対象に行われています。「加齢黄斑変性」と呼ぶ高齢者に多い疾患の患者自身の細胞からiPS細胞を作り、さらにシート状の網膜色素上皮細胞に育てたうえで患者の目に移植するのです。

何故「加齢黄斑変性」が最初のiPS研究に選ばれたかというと、

1.対象が高齢者であり、遺伝子異常を次世代に引き継ぐリスクが少ない。
2.網膜なので移植したiPS細胞の状態を観察することが容易である。

等の理由が挙げられています。

さて今回二例目のiPS細胞移植が予定されていたのですが、iPS細胞の遺伝子を解析したところ、「がん化に関わるとされる遺伝子変異が複数」と「遺伝情報の片方が欠ける変化」が見つかったのです。そのため二例目のiPS細胞移植は延期となり、今後の対応について専門家が意見交換してるとのことです。

難病治療などに新しい可能性を開くiPS細胞ですが、実際に臨床の現場で使えるようになるまでは、まだまだ時間がかかりそうですね。

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