月別アーカイブ: 2017年5月

「知能遺伝子」

暑くなったり寒くなったりなんだか落ち着かない気候で、風邪で受診される方が増えています。

さてオランダ・神経ゲノミクス認知研究センター(Center for Neurogenomics and Cognitive Research)の研究者、ダニエル・ポスツマ(Danielle Posthuma)氏によると、欧州の7万8千人の遺伝子データと知能指数テストの結果から、人間の知能に関係する52個の遺伝子を特定したとのことです。

今回のIQ上昇に関連する遺伝子の多くは、神経細胞の発生や「シナプス」と呼ばれる神経情報の伝達経路の形成など、脳内における細胞発生の制御に関与するものだったそうです。

昔からよく言われる「あの子は頭の出来が違うから・・・」という言葉を裏付けるような今回の結果ですが、「遺伝子による頭の出来」がIQ上昇に及ぼす影響はたった20%程度と見積もられるそうです。

やはり「能力 = 才能 × 努力」とはよく言ったものですね。(才能(遺伝子)だけではダメなのです)

「いいもの持っているのに・・・」と残念に思われないようにしたいものですね。

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Netflixと遠隔医療

当医院の向かい前にあったコインパーキングが閉鎖になるようで、機器の撤去で騒がしい朝になっています。

さて、カンヌ映画祭がNetflixが動画配信している作品を来年から、審査対象としないことを決定したのとのことです。理由としては、フランスの映画館で上映されていないからだというのです。

声明を見てみると、審査委員長ペドロ・アルモドバル監督は「映画とはあくまでも大画面でみるものである」との信念がみて取れます。

同時に監督は「そう言うからといって、私が新しいテクノロジーや、それに伴う可能性を受け入れないとか、歓迎しないとかそういう意味ではありません」とも述べています。

その上で「ただし自分が生きている間は、新世代が気づいていない一点のために闘い続ける。つまり大画面が視聴者を夢中にさせる、その力のために」と自分の信念を主張しています。

便利さのために切り捨てられようとしている、これまで愛し育んできた映画の良さを守り伝えたい気持ちには共感を禁じえません。

昨今、遠隔医療が話題になっていますが、患者さんと真摯に向き合う診療の基本が安易に切り捨てられないか心配です。

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緩い坂道のすごい効果

ここ数日間、日中は汗ばむような天気で本格的な夏に向けた前哨戦のようですね。

さて、興味ある研究発表がなされました。

(以下引用)

東京医科歯科大学の藤原武男教授らのグループは、愛知県知多半島に住む高齢者約8900人のデータをもとに、地域の坂道と住人の糖尿病リスクの関連を調べた。その結果、自宅近くにある坂道の平均傾斜が1.48度上がると、比較的症状が重い糖尿病になるリスクは18%低下することが分かった。

(ここまで)

そんなに緩い坂道で、糖尿病の重症化が18%も抑えられるのは、直感に反しますよね。沢山の「???」が外れない方は以前のブログ「体重増加」をお読みいただけると良いかもしれません。

実は我々人類の直感は瞬時の判断に優れているのですが、積みかさなりや統計的な判断は不得意なのです。(トラを前にして、襲われる確率は・・・・・と考えても生存には不利になるだけですよね。自然界では単純にすぐ逃げるほうが良いのです。)

ですので「チリも積もれば山となる」とか「門前の小僧習わぬお経を読む」などの言葉が直感に反しているので面白く(不思議に)感じるのでしょうね。

皆さんはどのように思われますか?

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