カテゴリー別アーカイブ: 感染症

セミの羽で細菌を串刺し!

また大型の台風が向かってきていますね。毎回「最大級の注意を!」と言われると、狼少年のように思ってしまいますね。

さて、関西大学の研究チームが、クマゼミの羽にある微小な突起を再現することで、抗菌作用を発揮する材料を作り出すことに成功したとの記事が出ていました。

クマゼミの羽には200ナノメートルの突起が1マイクロメートルあたり30〜40個規則正しく並んでいて、水を弾いたり光の反射を抑えて羽を透明に見せたりすることが知られているそうです。

羽に細菌が付着すると、この突起が生け花の剣山のように突き刺さり、細胞膜を破壊することにより細菌を死滅させるのです。実験では24時間後の大腸菌の生存率は1%を大きく下回ったとのことです。(99%以上除菌!)

薬剤や金属を使わないので、耐性菌やアレルギーの問題もなく殺菌できるのは素晴らしいですね。

製造コストの問題など解決しなければならない課題がまだまだあるそうですが、市場に出てくるのが楽しみですね。

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消毒の父

当医院は明日11日からお盆の連休ですが、皆さんはどのような予定をされていますか?これまでの経験を過信せずに、外出時には水分補給にペットボトルを携帯したり、帽子を忘れないようにしてくださいね。

さて、現在では子供でも知っている「消毒」の重要性ですが、19世紀に病原菌が発見されるまでは当時の医師すらも「消毒」の有用性を理解していなかったそうです。

消毒の父として知られるのはハンガリー人産婦人科医のイグナーツ・ゼンメルワイス(Ignac Semmelweis)です。彼はウィーンの病院に勤務している時に、医学生の臨床実習を行う病棟と助産婦の実習を行う病棟で、お産後の敗血症での死亡率が極端に違うことに気付き疑問に思ったそうです。

当時の医学生は遺体の検視を終えると、そのままお産の介助に入っていたことと、同僚が検視後に妊婦と同じ敗血症で亡くなったことから、遺体には目に見えない「致命的な粒子」があると考えれば疑問が氷解すると思い至ったのです。(病原菌が発見される数十年も前の話です。)

そこで、お産の介助に入る前に厳重な「消毒」を義務付けたところ、敗血症での死亡を根絶することに成功したとのことです。

これだけ素晴らしい発見をしたのでゼンメルワイス医師は賞賛されたに違いないと思いますよね。しかし豈図らんや、妊婦死亡の原因が自分たちにあると真実を突きつけられた同僚の産婦人科医師たちからひどい反発を受け、業績を認められることなく失意のうちに47歳で亡くなってしまうのです。

今年はゼンメルワイス生誕200周年だそうです。「現象から問題を見つけ原因を探り出す」科学者の基本が当時の医学界には受け入れられなかった事は悲劇ですが、現在「消毒」は医療の根幹をなしています。

「消毒の父」、その先見の明恐るべしですね。

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麻疹(はしか)

沖縄県を中心に、外国から持ち込まれたと思われる麻疹(はしか)が急増しているとのことです。茨城県内でも発症が確認されており、大流行の可能性もあり厚生労働省が注意を呼びかけています。

麻疹は感染力が強く、マスクや手洗いなどのウィルス一般の予防策では不十分と言われています。予防接種が確実な予防策なのですが・・・・・・ちょっと問題があります。

麻疹の予防接種は2回行えば99%予防できるのですが、1972年10月1日~1990年4月1日に生まれた人、つまりH30年現在28歳~45歳の人は、接種が1回だけの場合があるのです。1回だけの摂取だと、5%程度の人で抗体価が十分に上昇せず麻疹に感染する可能性が残るのです。

予防接種の回数を確認するには、自分の母子手帳を見ればいいのですが、かなり以前のことであり、母子手帳で確認できないことも多い様です。

2回摂取されているのかわからない場合は、今から3回目を摂取しても大きな問題はなく、抗体価の上昇も期待できる様です。(ちなみに麻疹の予防接種は当院で5500円です。)

外国人観光客が増加している今日この頃、麻疹の備えは大丈夫ですか?

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感染性胃腸炎

本格的な寒さが到来したのか、東京都心でも雪が積もったそうです。大阪市内も、花壇などにうっすらと雪化粧が見られました。

さて、感染性胃腸炎が猛威を振るっているようです。大阪市内の小学校でも学級閉鎖が出たり、家族そろって胃腸炎になってしまったりしています。

時々胃腸炎で来られた方が「ロタですか?」「ノロですか?」とお聞きになることがあります。感染性の胃腸炎に変わりがないのに何故?と思っていたのですが、家族にうつすのを心配されての質問だったのです。

確かにロタウィルスやノロウィルスは乳幼児や高齢者が感染すると症状が重くなることがありますが、手洗いなどを徹底する感染性胃腸炎の一般的な予防策以上に効率的な方法は無いのが現状です。

また治療法も一般的な感染性胃腸炎と変わりが無いので、「ロタだろうか?ノロだろうか?」と思い悩むより、下痢の状態やしっかりと水分が取れているかを診ることが大切です。

これからインフルエンザの流行時期でもありますので、手洗い・うがいを励行してくださいね。

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紅茶の成分でノロウイルス消毒

台風一過、秋晴れですね。気温が急に下がって北海道では雪が降るそうです。涼しくなるのは良いのですが、急な気温の変化は疲れますね。

感染力が強く、子供や高齢者の感染が問題となっているノロウィルスですが、静岡県が紅茶に含まれるポリフェノールの一種「テアフラビン類」にノロウィルスを効率的に消毒する作用があることを発表しました。

これまでノロウイルスには次亜塩素酸等の強い消毒薬を使う必要があったのですが、紅茶の成分を基にした消毒薬が出来ると安全に使えるかもしれません。

そういえば以前、消毒用アルコールにマスタードから抽出された成分を加えてノロウィルスの消毒に効果的だという商品を見かけたことを思い出しました。

どれ位の濃度で効くのか解らないので、「紅茶を飲んでノロ予防」とはいかないと思いますが、冷めた紅茶でうがいするのも良いかもしれません。

以前からぬるい緑茶でうがいするのは良いですよと言っていたのですが、今回の紅茶ポリフェノールは茶葉を発酵させないと出来ないとの事なので少し残念です。

紅茶にマスタード、薬ではありませんが食品もあながち捨てたものではありませんね。

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コインと釣り針と麻疹(はしか)

昨晩から今朝に掛けては、肌寒いぐらいの気候ですね。秋雨前線の影響で、梅雨のように蒸し暑い日々が続いていたのでありがたい限りです。ただ、急な気温変化は風邪引きの原因にもなりますのでお気を付け下さい。

最初に、沖縄で古代ローマ帝国の銅貨が見付かったそうです。現在のように交通が発達していない時代に、ローマからどの様にコインが沖縄に来たのか、不思議な感じがしますね。想像するに、シルクロードを通って中国から沖縄に来たのではないでしょうか?

次も沖縄の話ですが、2万3千年前の釣り針が発見されたとのことです。「山幸彦と海幸彦」の話にも釣り針が出て来ますので昔から使われていたことには驚かないのですが、世界各地で同じ様な釣り針が見付かっていると聞きビックリしました。(これまでの世界最古の釣り針は、東ティモールの同じく貝製の釣り針(2万3000~1万6000年前))

我々が想像するより遥か昔から、情報や物が世界中を往来しているのでしょうね。

さて、世界中を往来して困るもののひとつが、「麻疹(はしか)」ではないでしょうか?関西空港で集団発生があり、ワクチンが足らなくなる騒動は記憶に新しいのですが、一方で世界保健機関(WHO)は今月27日、南北米大陸が世界初の麻疹(はしか)根絶地域となったと宣言しています。

南北米大陸では、麻疹の頻度が減ってもワクチンの予防接種を地道に続けてきた結果、今回の宣言に繋がったのです。専門家らは、ウイルスが外から持ち込まれた場合には限定的に感染が広がることはあるため根絶に成功したとはいえ、予防接種を怠ってもよいということではないと警告しています。

今回の麻疹騒動が収まっても、予防接種の事を忘れないでくださいね。

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人の鼻腔から新抗生物質?!

ペニシリンが青カビから発見されて以来、抗生物質を見つけるには土壌などにいる微生物を調べるものと考えられてきました。しかし「灯台もと暗し」と言いましょうか、ごく身近にというより我々の体の中に新しい抗生物質の候補が見付かったのです。

ドイツのグループは、病気の原因となる黄色ブドウ球菌は約3割の人が常在菌として鼻腔などに持っているそうですが、残り7割の人には存在していない事に注目して、研究を行ったそうです。

研究グループは、「スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(S.lugdunensis)」が、黄色ブドウ球菌と闘う抗生物質を生成することを発見し、この化合物を「ルグドゥニン(Lugdunin)」命名したそうです。

人間の鼻腔にいる細菌が、病原性の細菌を抑制していたのです。

気軽に抗生物質を使うと、この様な常在菌が乱されて病原性を持つ薬剤耐性菌が増えやすい状況が生まれてくるかもしれません。

今後、人間から見付かった抗生物質が使われる時代が来るかも・・・・・・・・・・

 

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「ウナギ」と「恵方巻き」と「抗生物質」

暑い日が続いていますが、昨晩は少し過ごしやすかったです。さて、来週の土曜日は土用の丑の日ですので、うなぎ屋さんに「長い」行列が出来ることでしょう。(本日は「大暑」にあたるそうです。)

土用の丑の日にどうしてウナギを食べるようになったかと言えば、諸説ありますが平賀源内(江戸時代の発明家)が発案したとの説が有力です。

夏の時期にウナギの売り上げが減ると相談された平賀源内が、「丑の日にちなんで、“う”から始まる食べ物を食べると夏負けしない」との当時の風習を上手に取り入れてウナギの宣伝を勧めたそうです。見るからに栄養のありそうなウナギと以前からある風習が上手に結びついて、「土用の丑の日にはウナギを食べる」との習慣が広がったそうです。

次に、節分にその年の「恵方」の方角を向いて食べると縁起がよいといわれる「恵方巻き」ですが、大手コンビニチェーンの影響からか、近年関西地区から全国に広がりを見せています。

元々は豆まきとセットになって「春」の節分(立春の前日)の行事だったのですが、先日コンビニで「夏の恵方巻き」(?)を宣伝していました。確かに節分は年四回(立春・立夏・立秋・立冬の前日)ありますので、「節分には恵方巻き」との強固なイメージから、年に4回売ろうとする商魂をみて微笑んででしまいました。

実は強固に結びついたイメージは良くないことも起こすこともあります。「風邪の治療」と「抗生物質」は強く結びついていて、処方する方も貰う方も当然のようになっていることがあります。

抗生物質は細菌に効果はありますが、大半の風邪の原因であるウィルスには効かないのです。効かないだけなら良いのですが、以前から書いているように抗生物質が効かない「耐性菌」の問題があるのです。

先日、愛知県で呼吸器内科に入院、通院中の患者11人から、複数の抗生物質が効かない新型耐性菌「カルバペネム耐性腸内細菌科細菌」(CRE)を検出したとの発表がなされました。

11人全員が症状もないとのことですが、病気や手術をした際に耐性菌が暴れ出すと命の危険に晒されてしまうのです。強固なイメージから来る抗生物質の乱用が主な原因と考えられています。

本当に恐ろしいですね。

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ジカ熱対策

リオオリンピックの開催が目前ですが、開催国ブラジルで流行している「ジカ熱」が話題に上ることが多いですね。感染すると脳症の危険があったり、妊婦が感染すると「小頭症」の子供が生まれる確率が高くなったりするとのことです。

「日本脳炎」と同じで、ウイルスを持った蚊に刺されることによりジカ熱に感染するのです。このジカ熱を何とかしようと色々な方面から対策が取られているようです。

欧州の研究チームが、ジカ熱ウイルスを攻撃する抗体を2種類発見したとの報告をしたようです。
この抗体は、ジカ熱ウイルスと近縁のデング熱ウイルスに有効に作用するそうです。この抗体を研究すれば「ジカ熱・デング熱」のワクチンが作れるかもしれないのですが、実用化には時間がかかるようです。

今回研究したデング熱抗体の中には、ジカ熱ウイルスを爆発的に増やしてしまうものも多くあり、メカニズムの研究が必要とのことです。

ジカ熱対策については、全く異なる分野からのアプローチも為されているようです。

コンピュータのオペレーティングシステム(OS)大手の「マイクロソフト」が、なんと蚊取り機を作ってジカ熱対策をしているというのです。

詳細はネットでググっていただければ書いてあると思うのですが、蚊をおびき寄せた後赤外線を照射して蚊の種類を判別し問題となる「蚊」だけを捕らえることができるそうです。その時の気温や湿度を同時に記録し、「蚊」の発生を抑える研究に役立てるそうです。このハイテク蚊取り機はマイクロソフトが作っただけあって、コンピュータが搭載されているそうです。(「Intel in It.(インテル入っている)」かどうかは知りませんが・・・・・・)

日本の医療にも色々な業種からのアプローチがあれば面白いのになぁと思ってしまいました。

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おたふく風邪の流行

急に寒くなり、風邪や胃腸炎、インフルエンザが流行っているようです。マスクの着用や手洗いうがいをして、予防に努めましょう。

さて、今年に入っておたふく風邪(流行性耳下腺炎)が全国的に流行しているようです。4年半ぶりのことになるのだそうですが、佐賀県、宮崎県、石川県での患者数が多いようです。

子供の場合発熱とともに耳下腺が腫れ、通常1~2週間で治るのですが、まれに無菌性髄膜炎や脳炎などを引き起こすことがあり注意が必要です。大人が感染すると深刻な症状を起こすことがありますので、子供の頃に罹っていない人はお気を付け下さい。

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