カテゴリー別アーカイブ: 認知症

匂いと睡眠と認知症

大阪は、梅雨らしく雨がしとしとと降っています。気温が高くないので、あまり蒸し蒸しはしていないのが救いですね。風邪や胃腸炎が流行っていますので、体調管理にご留意くださいね。

さて、今回は認知症の話です。認知症の初期症状といえば「物忘れ」といわれていますが、高齢になれば大なり小なり記憶力の低下があるのが普通なので早期診断の基準として使いづらいのが現状です。

どの程度の「物忘れ」から病気と判断するのかは難しい問題で、効率的な基準が無いのが現状です。(個人的には、今の基準では診断が遅くなりがちだと思います。)

そこで今注目されているのが、嗅覚(匂い)と睡眠です。

嗅覚の障害は認知症の記憶障害に先立って起こるといわれています。睡眠も日常の睡眠覚醒リズムの乱れが初期の認知症からあるといわれ、75歳以上で夜更かしをする人は認知症になる確率が、夜更かしをしない人の2倍に達するとの報告もあります。

認知症の早期診断には「記憶力・判断力」だけでなく、総合的な判断基準が必要なのでしょうね。

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認知症三人に一人が予防可能?

本当に暑いですね。熱中症での搬送が先週さらに倍増しているようです。水分補給と安静を心がけてくださいね。

さて、このほど英医学誌ランセットに注目すべき研究が掲載されました。認知症の三分の一が予防できるというのです。

論文の筆頭執筆者は、「認知症は人生の後半で診断されるものだが、脳の異変は通常、何年も前から始まっている」と述べており、生活を見直すことで認知症の予防が可能だというのです。

興味深いことに、禁煙や運動・生活習慣の改善など「心臓に良いことは認知症(脳)にも良い」との事なのです!!

認知症の予防可能な要因のリスクの度合い

・中年期の聴力低下 9%

・中等教育の未修了 8%

・喫煙 5%

・うつ 4%

・運動不足 3%

・社会的孤立 2%

・高血圧 2%

・肥満 1%

・2型糖尿病 1%

上記を足し算すると35%になるとの事です。

当院で、心臓(血管)と認知症(脳)に良い事をしませんか?

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睡眠とアルツハイマー

なんだかすっきりしない天気が続いていますが、皆さんは大丈夫ですか?この時期、熱中症などが意外に多いのでよく睡眠をとって養生してくださいね。

さて今回は、睡眠とアルツハイマーの関係につて注目すべき論文が米国神経学会誌に報告されたので、取り上げたいと思います。

その論文では、「睡眠の質が悪いと脳内に老廃物や病変タンパク質が蓄積し、アルツハイマー病を引き起こす原因になる可能性がある」という研究結果が出たそうです。

平均63歳のアルツハイマーの無いヒト101人について、睡眠の質と脊髄液内のアルツハイマーに関連する様々なタンパク質との関連を調べたそうです。

結果として睡眠障害を訴える人ほど、タウ・タンパク質の病変や脳細胞の損傷および炎症の形跡が見られることが判明したとのことです。

夜間の睡眠障害だけでなく、昼間の眠気などもアルツハイマーの初期症状と関連が認められていると報告されています。

昔から言われていることですが、「早寝、早起き」!
健康に王道無しですね。

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睡眠と認知症

最近、日本睡眠学会の学術集会で、睡眠と認知症の関係について面白い報告がなされたのでブログに書いてみたいと思います。

東京医科歯科大学脳統合機能研究センターの認知症研究部門特任教授朝田先生は、30分以内の昼寝週慣があるとアルツハイマー型認知症になりにくく、1時間以上の昼寝だとなりやすくなるとの研究成績を紹介したとのことです。

また、以前よりベンゾジアゼピン系の睡眠薬がアルツハイマー型認知症の発症に関与しているとの報告があるが、脳細胞に対する直接的な影響ではないことを突き止めたそうです。

『脳では多くの神経細胞が使用されないまま存在しており、「予備軍細胞」によって脳の活力低下に対する代償機能が期待できる。』のだそうです。

ですので、長期にわたるベンゾジアゼピン系の睡眠薬投与で「予備軍細胞」が痛んでいると、認知症が発症しやすくなるのです。

御自身の睡眠を見直して見ませんか?

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胃薬と認知症

ような暖かさが続いたと思ったら、朝晩とっても寒いですね。こんな時は体調管理に気をつかいますよね。

さて、今回のブログはある種の胃薬を長期に飲むと、認知症になる可能性が増えるとの報告について書きたいと思います。

高齢者7万人を対象としたドイツの前向きコホート研究で、プロトンポンプ阻害薬(PPI)を定期的に処方された人は処方されなかった人に比べ、認知症になる可能性が1.44倍高いとの結果が判明したとのことです。

この研究ですぐに胃薬(PPI)が認知症を増やしたとは結論付けられないのですが、何らかの関係があることは確かだと思われます。

データを見ていないのではっきりとは言えませんが、
①胃薬(PPI)の投薬が認知症を増やした。
②胃薬(PPI)が投薬されるほど胃の状態が悪い人は認知症になり易い。
③アスピリン潰瘍予防に投薬された胃薬(PPI)が見かけ上(血管性)認知症を増やした。
等色々考えることが出来ます。

今回の報告では、「PPI服用と認知症の関係性について、すでに報告されているマウスにおける研究で、PPIが脳血管関門を通じた脳のアミロイドベータ沈着を増加させることが明らかになっていることから、このことがリスクを有意に高めた原因ではないかと」考察している。(つまり①ばんの考え方・・・・・)

本当のところはどうなのでしょうか?

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