カテゴリー別アーカイブ: 心筋梗塞・動脈硬化

心臓発作のリスクが8倍!

昨日から12月ですが、どの様にお過ごしですか?先週からひき続き、咳風邪や胃腸炎で来院される方が多くおられます。インフルエンザの予防接種は「普通の風邪」や「胃腸炎」に対して予防効果はありませんので、うがい手洗いが大切です。

さて、イギリスで心臓発作を起こした1727人のデータを解析した論文が発表されました。その論文によると、「50歳未満」の喫煙者は同年代の非喫煙者に比べて、心臓発作を起こすリスクが何と「8倍!」もあるというのです。

年齢が上がれば、喫煙者と非喫煙者の心臓発作の差は縮小傾向にあるのですが、66歳以上でも3倍と高い数値だと報告されています。

さらに喫煙者が心臓発作に見舞われた年齢は、元喫煙者や非喫煙者に比べて平均で10歳も若かったとのことです。

サウスヨークシャーの50歳未満の喫煙率は25%程度とのことですが、心筋梗塞を起こした人では75%を喫煙者が占めていたと研究論文に記載されています。

「その喫煙、あなたと家族の未来を蝕んでいませんか?」来年の禁煙標語に応募してみましょうかねぇ・・・


サウナで長生き?

もう2月も終わりですが、寒い日が続きますね。今回は、寒さの厳しいフィンランドからの話題です。

北国のフィンランドでは、良好な健康状態とくつろぎをもたらすと考えられ サウナ通いは広く行われています。これまでの研究で、サウナの入浴は血行改善との関係があると発表されてきましたが、今回、東フィンランド大学の発表では、同国の中高年(40−60歳)の男性2315人を対象とした調査で、サウナ通いと突然死の減少に関係が認められたとのことです。(追跡期間の中央値は21年ですので、信憑性は高いかも・・・・・)

内容を簡単に表にまとめると

回数          突然死         心疾患       心臓死         全死亡
週1回         —                —             —              —
週2-3回    23%減少    23%減少    27%減少    24%減少
週4-7回    63%減少    48%減少    50%減少  50%減少
(各群週1回の群と比較しての増減)

となり、すごい効果です。また、サウナ室に19分以上継続してはいる人は、11分以下の人に比べて、より改善効果が高かったとのことです。

この結果から推測すると、サウナ通いと寿命に関係があるのは確かなようです。

「じゃ今日からスポーツジムに入会して毎日サウナに入るぞ!!」と思われた方、

「チョット待って! チョット待って! お兄さん」

(今回の研究は男性が対象で女性に効果があるか分かりませんので、「お兄さん」と書いております。)

エビデンスの考え方からすると、今回の結果では「サウナに入ったから寿命が延びた」のか「サウナに頻回入れるだけの体力を持った人が長生き」なのかは判らないのです。

でも「サウナ通いに寿命延長効果の可能性」魅力的ですよね・・・・・・・・・・・・・

 

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黄砂と心筋梗塞

今回のブログの表題を見て、「また『黄砂』と『心筋梗塞』にどんな隠れた関係を先生は、披露してくれるのだろう・・・」と期待された方も多いと思います。残念ながら今回は「黄砂に曝露すると4日遅れで心筋梗塞が1.3倍に増加した。」という報告の話で、何の捻りもありません。(あしからずご了承ください。)

いずれにせよ「黄砂に曝露すると4日遅れで心筋梗塞が1.3倍に増加した。」という報告は、西日本に住む我々にとって注目に値すると思います。

この報告は、済生会福岡総合病院・地域医療機能推進機構九州病院・聖マリア病院・新古賀病院が参加して2003年4月〜2010年12月に、発症から24時間以内に入院した心筋梗塞症例連続3,068人のデータを解析した物だそうです。

対象の約8年間で黄砂は3月〜5月に合計75日観測されたとのことです。その他の大気汚染物質と比べ、特に入院の4日前の黄砂が心筋梗塞の発症と強く関連していることが判りました。

この報告を知って「これでは黄砂の日にはオチオチ外出もしていられない。」と思われた方がおられるかもしれませんが、ご安心ください。それは、「心筋梗塞」の素因のない方が「黄砂」に曝露しても心筋梗塞にはならないと考えられるからです。

「黄砂」による「心筋梗塞」の発症はまさに『最後の一押し』であって、何もない人をいきなり「心筋梗塞」へ陥れる程の影響は無いのです。

「症状もないし、心臓が悪いといわれたこともないし一安心!」と胸を何故下ろしている方、大丈夫ですか?心筋梗塞を起こす方の50%が、発症前は「何もない」と思っているのです。

「黄砂」ごときにやられてしまわないように、御自身の健康チェックをしませんか?

 

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「高血圧と言われました」

10月も終わりに近づき、めっきり寒くなってきました。今朝のニュースで国立循環器病研究センターの集計によると、冬の心筋梗塞発症は夏の1.6倍多いとの発表があったそうです。冬は血圧も上がりやすく、動脈硬化の進んだ血管の破綻が多いのではとの循環器医の予想が裏付けられたデータですね。

ところで検診などで「血圧が高いですね。」と言われた経験のある方も多いのではないでしょうか?そんなとき「血圧測定して血圧が高かったのだから自分は高血圧だ」と認識される方が案外多いようです。その裏側には「高血圧 = 血圧が上がる」との考えが広く、深く浸透している事が伺えます。

何回か前のブログに書きましたが、「高血圧を血圧が上がる病気」だと考えると測るたびに変動する血圧をどう理解するのか混乱してしまう原因になります。変動する血圧をどう考えるのか、受診された方によく質問されるのですが、次のようにお答えします。

 

「高血圧は血圧が上がる病気ではなく、血圧が下がらない病気だと理解してください。」

 

緊張した時や運動した時の一時的な血圧の上昇は、それほど大きな問題にならないと考えていいのです。血圧が上がって悪いのでしたら、スポーツ選手は全員が高血圧になってしまいます。(ハンマー投げややり投げなどの投擲競技の選手の赤らんだ必死の形相をスローモーションで見ると、瞬間的に200mmHgを超える血圧になっているのではないかと思えます。)

高血圧は血圧が上がるから「血液ドロドロ」(?)になるのではなく、安静にしていても血圧が下がらず、血管が安静(自己修復)に出来ずに血管の老化(動脈硬化)が進む病気なのです。水撒きに使うホースの元栓を開け放して圧力をかけ続けると、一部が圧力で引き延ばされてヘビのお腹のようになる姿を想像していただけるとわかりやすいかもしれません。

家庭血圧の記録で全部を書けなければ、一番低い血圧を書いてくださいとお願いしているのは「高血圧は血圧が下がらない病気」との考えからなのです。

 

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心筋梗塞は「治る病気?」それとも「治らない病気?」

40年ほど前まで「心筋梗塞」は、半分以上の人が亡くなる病気として恐れられていました。しかし近年は、循環器分野での医療技術の発展により大半の方が命を救われるようになっています。

実際に「心筋梗塞になったけど、カテーテルをして治してもらったよ!!」と話している知り合いを、幾人か思い出すことができるのではないですか?命を救われることは大変すばらしい事ですが、「心筋梗塞になっても『治して』もらえるから大丈夫!」と早合点してしまう落とし穴が、そこには潜んでいるのです。

実は心筋梗塞は「治らない病気」なのです。胸の痛みや息苦しさは、迅速な治療により改善しますが、心筋梗塞は本来「心臓の筋肉が壊死する病気」ですので、死んでしまった心筋は再生されないからです。

「カテーテルで血管を広げたけど、その後心臓に全く問題ないと言われた。」という方もおられるでしょう。幸いにも「心筋梗塞」ではなく「狭心症」の段階で適切な治療を受けられたのだと思います。その場合でも、「狭心症」の原因となった「動脈硬化」は「治る」事なく残存しているのです。

このように考えると、心筋梗塞で亡くなる方を劇的に少なくしたすばらしい治療法であるカテーテルですが、「治す」というより「直す」に近いのかもしれませんね。

月並みですが、循環器医師としてはやはり予防が一番だとの確信しており、「ちょっと血圧の高い方」や「検診でちょっとした検査異常のある方」など、いわゆる「病気」とはいえないような方々を診療できればとの想いを日々募らせています。

 

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