カテゴリー別アーカイブ: 医療系

ミニトマトと巨峰に要注意・・・こんにゃくゼリーだけではありません

昨日私は7人の孫のうち6人目の、1歳半の男の子を亡くしそうな目に遭いました。

夕方私がいつもの金麦を飲みながら、その孫のおもりをしていた時でした。孫はタッパーに一杯入ったミニトマトを時々口にほおばりに来ては、一人で機嫌よくその辺で遊んでおりました。

ところがある時突然泣き出して、私の方へ走って来ました。見ますと既にヒュウヒュウと苦しそうな息をしているではありませんか。

瞬間でトマト詰まりと判断した私は慌てて孫の口の中に指を突っ込んで出そうとしましたが、出てくるどころか、指で押されたトマトはどんどん奥へ入って行きます。しかも孫が泣く度に胸の空気は外へ出て行ってしまい、息を吸い込もうとするとトマトがまるで弁のように塞がってしまい、全然息が吸い込めなくなってしまいました。胸の中にはもう泣くだけの空気さえ残っていません。見る見る内に顔色が変わって行き、しまいにはとうとうチアノーゼで紫になってしまい、声も出ず息も全くしていません。

素人の人ならそこで119番するのでしょうが、救急隊が到着したころには完全に息を引き取ってしまっています。そこで私は咄嗟に孫を逆さに抱き上げ背中を強く叩きました。しかしトマトは出て来ません。ついに私は孫の胸の骨を折るつもりで力いっぱい胸部を瞬間的に締め上げました。すると吐物と一緒にトマトがポンと出てきました。

一命を取り留めた孫はしばらく指をくわえて、シュンとしていましたが、ママが帰宅したころにはもうニコニコとしておりました。

トマトとか大きい葡萄などは、皮が硬く少々の力では破れたり変形してくれません。ある意味マンナンゼリーより危険です。明日からは子供にそれらを与えるときは包丁で半分に切ってあげようと切に思いました。皆さん是非この救急小児科医の体験を覚えておいて下さい。また周囲のお母さん方にも周知してあげて下さい。

私の孫は幸いにも医者の育爺を持っていた為、あの世に行かなくて済んだという体験談でした。


子供のハナ、耳鼻科へ行く?小児科へ行く?

お子さんが鼻水を出している場合、耳鼻科に駆けつけるお母さん方が多いようです。しかし耳鼻科は大きく分けて外科系に属していますし、毎日耳鼻科に通って鼻水を吸ってもらっても、根本的な解決にはなりません。しかも子供は一般的に言って外科系のドクターを怖がり、医者嫌いになってしまう事が多いものです。処方にしても外科系の医師の、小児に対しての薬は、咳・鼻・熱の成分が一定の割合で入った総合感冒薬が多く、小児科医が一人ずつのお子さんの症状に合わせて、別々の割合と体格を考えて手作りで処方するお薬とは、的確性において可なりの違いがあることが多いものです。

何ヶ月も、あるいは半年でも一年でも耳鼻科に通って、あまり病状の改善を見ず、しかも医者嫌いな子供にしてしまうよりも、ハナや、ましてセキが出ればさっさと小児科に行って適切な治療を受けましょう。

090206


看護師さん or 看護婦さん?

「では、看護師に服を脱ぐのを手伝わせますから」と、いきなりお医者さんに告げら れ たら貴方はどう感じますか?私なら「待てよ、ひょっとしたら野郎が俺の着替えをさせるのかよ」と思うでしょう。男性の私でも抵抗を感じますし、そこには癒 しも安心も感じません。ましてや、もしも貴方が女性だったら脱衣の介助など絶対に男性にはして欲しくないでしょう。「私に付いて来るのは男性か女性かハッ キリさせといてよ」と思われるでしょう。

 「看護師」という表現の中には、性別は一切含まれていないのです。それが届出など の書類なら、いたしかたない場合もあるでしょう。しかし、医療の現場では、性別は絶対に必要なのです。それは性差別ではなく、必要な性区別なのです。丁 度、文語 体と口語体があるように、書けば「看護師」で、話せば「看護婦さん」でいいのです。書けば「医師」でも、誰もお医者さん本人に向かって「医師さん」とは言 わない でしょう。特に、ある程度怖さを漂わせる必要のある事もあるお医者さんに対して、ナースという存在は何となく甘えさせて欲しい存在で、それは決して「看護 師」ではなくて、「看護婦さん」の方が良いのではないでしょうか。例外として、精神科病棟などのように「男性看護士」のままの表現でいい場合もあります が。

 ちなみに、当院には「看護婦さん」しかおりませんので…。


血液ドロドロ?サラサラ?

 最近盛んに耳にする言葉ですね。一見分かりやすい表現のようですが、誰が言い出したのかこれが大きな間違いの元になることがあります。

 皆さんは血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪が多くなると血液がドロドロになると考えておられるでしょう。しかし、血液のドロドロ状態は決してそれらの値の高さで決まるものではありません。即ち、血液の粘張度は主に血球(赤血球、白血球、血小板)の多さと血清の蛋白質の多さによって決まるのです。従って貧血、栄養失調、結核、癌などと言った怖い病気になった時には血液は見事にしゃぶ しゃぶ、即ちサラサラになるのです。血沈の悪さはそのサラサラの程度を見る為にあるのです。逆に、健康そのものの人の血液はしっかりしていてドロッとしているのです。

 先日、そのドロドロという言葉の使い方でちょっとした行き違いまで起きてしまいました。私がある患者様を診察している時に、別の患者様から急ぎの用事とのことで割り込み電話が入りました。電話の向こうの患者様は「私がおたくで今もらっている薬には血液がサラサラになる成分が入っていますか?」と質問されました。私は目の前の患者様を待たせたまま急いで電話の患者様のカルテを探しに行き、その結果コレステロールを下げる薬が入っていることを確認しました。しかし再び電話の向こうの患者様にそれを告げようとした時に、むしろその患者様から、「今から胃カメラをするところなんで」と告げられました。最近の胃ファイバースコープは殆ど生検といって胃の一部をかじり取って検査をします。従ってその後に よく胃の中で出血が起きます。そこに前もって出血を長引かす薬(アスピリンが代表)を飲んでいると大出血になる事がある為に、その場合は胃カメラの検査は出来きません。ですからそこで私がうっかりその患者様に「貴方の飲んでおられる薬には血をサラサラにするものが入っていますよ」と言ってしまうとその患者様の折角の胃カメラ検査が出来なくなってしまいます。だからといって確かに世間で言われている「血をサラサラにする薬」は入っているのです。

 私は長時間待ってもらっている目の前の患者様を前に、はてどう答えたら良いのか困ってしまいました。しかし電話の向こうの患者様は胃カメラをする医師から「出血時間を長引かせる薬」または「血を固まらせにくくする薬」の確認を迫られたのだとやっとわかりました。

 そこで正しくその患者様に答えないといけないと考えた私は「コレステロールを下げる薬は入っていますが、この世に血をサラサラにする薬はありませんよ。もっと詳しいお話は来院された時にしましょう」と答えました。正解です。ところが、その答えが不満だったのかその患者様は「そうですか、もうこっちでどうにかしますわ」とおっしゃって、どうやら怒って一方的に電話を切ってしまわれました。それ以来、その患者様は二度と来られなくなってしまいました。

 血サラサラ・ドロドロといった世間の間違った表現がこのような悲劇を生むのです。 親切でしたり言ったりした私の好意が、結局は理解されずにその患者様の為にならなかったのです。医療とは永年のうちにはそのような報われない誤解をされてまうこともあるのかなと一種の悲哀を感じる一幕でした。


子供のお医者さんの選び方

皆さんはお子様のお医者さんをどのようにして選んでおられますでしょうか?先日ポリオの予防接種に出務してつくづく感じた事があります。それは毎年春と秋にはポリオの予防接種がある事は我々小児科医には常識の事であり、それに他の予防接種例えば三種混合やハシカ・風疹などの注射がひっかからないようにするのが当たり前なのですが、大変多くの来所者の方々が、それらを先に受けてしまっていた為にポリオを受けられずに帰られた事です。そのお母さん方に聞きますと殆ど例外なく本当の小児科医にかかっていなかったことがわかりました。

では、本当に子供の事がよくわかっているお医者さんはどう見分けるのでしょうか。まず一般的に言って小児科出身のお医者さんは殆ど例外なく看板に「小児科」を先に書いています。それが先に「内科」「外科」「耳鼻科」「産婦人科」などが書いてあり、その後に「小児科」が書いてあればおよそ「小児科」は「ついで小児科」と考えてよいでしょう。ましてや一番先に臓器例えば「消化器」「循環器」などと書いてあれば絶対に小児科はついでに書いてあるだけだと考えて間違いないでしょう。但し当院のように小児科の専門医であり、かつ内科の認定医である場合も非常にまれにはありますので、そのような情報はホームページなどで確認しましょう。

また医師会に入っていない院所には予防接種や市民健診また感染症情報などと言った地域医療に非常に重要な情報は一切入っていませんので、子供さんのみならず大人の方の診療にも何らかの不具合が生じる事は覚悟しておくべきでしょう。

いずれにせよお子さんの先生は真剣に選んであげる事が非常に大事な事だと思います。


痛くない注射のできる病院

痛くない注射と絶対に風邪をひかない薬を発明したらきっとノーベル賞がとれるでしょう。
それは遠い夢。しかし、もしも子供が注射されても泣かないとしたら、それはきっと大きな成果と言わなくてはならないでしょう。

先日私がオフの時間に公園の横を通り過ぎようとした時の事です。子供を遊ばせていたあるお母さんが私の姿を見るやいなや、いきなり「センセに注射してもらおか。」とその子供に冗談を飛ばしたのです。
その途端その子は突然火がついたように大声で泣き出し、母親の後ろに隠れてしまったのです。
そうです「痛い注射」はそこから始まっていたのです。

わたしの3人の子供たちは小さい時から注射が大好きでした。
「注射は味方、注射はサンタさんが見ていてそれでプレゼントを決めるんだ」と教育していたうちでは持って帰った予防注射を長男だけにしてやりますと、次男が「お兄ちゃんずるい。僕にもしてえ」と逆に泣く始末でした。
そうです。痛くない注射は決して器具や薬だけの問題だけではなかったのです。

当院では子供さんに注射しても、およそ泣くことはありません。
泣く子は注射をする前から泣いているのです。
たとえ泣い ていても、我々スタッフは皆で寄って子供の笑顔を引き出す努力と工夫をどこにもない方法でしております。
まだ呼んでもいないのに待ちきれずに勝手に診察室に入って来る。
母親が連れて帰ろうとすると、「まだ遊ぶ」といって逆にぐずって泣き出す。

明るい声と笑顔の絶えない病院。私たちはそんな「病院」を志しているのです。

※文章の流から「病院」と表現していますが、当院は「診療所」です。

◆Meiji 院長提案によるポスター
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