復職支援(リワーク)(その84)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援リワーク)」の84回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖「心の健康問題(メンタルヘルス不調)により休業した労働者の職場復帰支援リワーク支援)の手引き」(復職ガイドラインリワークガイドライン))〗(Ⅱ)
■<第1ステップ>メンタルヘルス疾患休業開始および休業中のメンタルヘルスケア
⇒労働者から管理監督者に主治医(精神科医・心療内科医)によるメンタルヘルス疾患休業診断書が提出されたときから復職支援が始まりリワークが始まり)ます。管理監督者は人事労務担当者や産業保健スタッフにメンタルヘルス疾患休業診断書が提出されたことを連絡します。人事労務担当者等は労働者がメンタルヘルス疾患休業期間中に安心して療養に専念できるよう、有給休暇の残り日数、社内のメンタルヘルス疾患休暇・療養制度、傷病手当金など経済的な保障、休業の最長(保障)期間、不安・悩みなどのメンタルヘルス相談先の紹介、公的または民間の職場復帰支援サービスリワーク支援サービス)(リワーク事業)などについて情報提供を行います。本人が一人暮らしの場合は家族にも連絡し、万が一にも自殺する危険性があることを考慮して家族のもとでの療養を勧めます。
メンタルヘルス疾患休業診断書が出ているにもかかわらず、「引き継ぎが必要」「周りに迷惑をかけられない」「戻る場所がなくなっては困る」などの理由で仕事を続けようとする労働者に対しては休職命令を出し、しっかり休んでもらうことが健康配慮義務上も重要です。本人に対して「会社に迷惑をかけている」というように感じさせるような言動は職制のみならず職場全員の心がけとして厳に慎みたいです。メンタルヘルス専門医師精神科医師・心療内科医師)らの研究によると、メンタルヘルス不調で休業復職を2回繰り返したリワークを2回繰り返した)214人については平均休業日数が1回目107日に対して2回目157日に長くなっていました。再休業に至る労働者の1回目の休業日数が十分ではなかった可能性が示唆され、労働者本人が焦って復職焦ってリワーク)を急がなくてもいいように十分な休養を勧めることが重要です。休業中は月1回程度労働者からの連絡を受けることが望ましいし、産業医が選任されている場合は産業医面談という形で会社に来てもらい、状況確認をするのもよいです。
管理監督者・人事労務担当者は休職前の勤務状況について整理しておくことが望まれます。具体的には、時間外勤務状況とメンタルヘルス不調の発生理由および会社としてのメンタルヘルスケア対策(業務の平準化への取り組みなど)、職場の人間関係の問題(特にパワハラセクハラモラハラの有無)、本人の業務遂行能力や熱意、問題行動(身なりや雰囲気の変化、会話量・内容の変化、独り言・独り笑い、場にそぐわない言動、対人関係のトラブル、職場での孤立など、いわゆる事例性)の有無などについて同僚・上司・家族からも情報収集し、産業医・産業保健スタッフと情報共有しておきます。
■<第2ステップ>主治医(心療内科医・精神科医)による職場復帰可能リワーク可能)の判断
⇒休業中の労働者から事業者に対して職場復帰の意思リワークの意思)が伝えられると、事業者は労働者に対して主治医(心療内科医師・精神科医師)による職場復帰可能の診断書リワーク可能の診断書)の提出を求めます。復職可能の旨の診断書リワーク可能の旨の診断書)には単に復職可能単にリワーク可能)というだけではなく、就業上の配慮に関する主治医の意見を具体的に記入してもらうことが必要です。そのためにはあらかじめ主治医とコンタクトをもち、職場で必要とされる業務遂行能力や勤務制度に関する情報を提供し、労働者のメンタルヘルス状態が就業可能なレベルにまで回復していることを復職診断書リワーク診断書)に記載してもらうことが理想ではあります。ただし、職場と主治医との情報共有については本人の同意を得ることが必須で、そのうえで職制が本人の診察に同伴するか、可能なら別に時間枠を設けていただくなどして主治医から意見を求めます。本人の同意なしに行動すると、主治医としての守秘義務のために当然ながら情報は得られないです。産業医が主治医にコンタクトをとり、特にメンタルヘルス疾患の疾病性に関して意見交換することがより望ましいです。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。






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