非定型うつ病について(その27)

皆様、こんにちは。心療内科千里中央駅直結・千里セルシー3階)「杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
【続き→】●社会環境・家庭環境
現代の社会環境は、驚くほどの早さで日々変化しています。特に情報は、テレビやインターネット、携帯電話、新聞やラジオ等で、洪水のごとく流れてきています。知りたい情報は瞬時に手に入れることができ、買いたい物はどこに行っても手に入ります。労働環境も激変しています。大量の情報を処理し、スピード化と効率化と実績第一主義が求められ、企業は激しい競争に勝ち残っていかねばなりません。社員は息の詰まるような緊張感とプレッシャーのなかで、懸命にパソコンと向き合う日々です。また都会は、24時間どこへ行っても昼間のように賑やかで、若者たちにとっては昼夜逆転の生活も当たり前のようになってきました。確かに便利な世の中になってきましたが、反面私たちの生活にはゆとりがなくなって、こころは焦りと不安ばかりが募る殺伐とした社会になってきています。
一方、家庭においても同じです。核家族化が進み、子供も一人っ子の家庭が増え、父親は仕事でほとんど不在の日々が多く、家庭は母親と子供だけになっています。その母親も、昼間は働きに出かけ、子供への育児もままならず、食事も満足に食べさせていない家庭も少なくありません。このような家庭環境では、母親もストレスをかかえて生活し、こころを病んで、ついには子供への虐待を繰り返すようになります。また、最近多くなっている離婚や別居などが、子供のこころに大きな傷となって、強いストレスとなっています。こうしたさまざまな社会環境が激変するなかで、親も子供もこころのバランスを崩し、いつうつ病が発生してもおかしくない状況にあります。特に、今日の社会的な背景が、非定型うつ病を発生させる大きな要因になっていることは避けられないと思います。






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