心療内科 精神科、大阪府 豊中市・千里中央駅・千里ニュータウン「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワークプログラム」の24回目です。引き続き、リワークプログラム(職場復帰支援プログラム)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】◎情報の収集と評価
職場復帰の可否(リワークの可否)については、労働者および関係者から必要な情報を適切に収集し、さまざまな視点から評価を行いながら総合的に判断することが大切です。情報の収集については、労働者のプライバシーに十分配慮することが重要なポイントとなります。
定期的に労働者が管理監督者や産業保健スタッフ等と連絡を取りあっている場合には、職場復帰の意思(リワークの意思)や体調などさまざまな情報が得られるが、急に復職(リワーク)の申し出があった場合には、労働者の職場復帰の意思および就業意欲(リワークの意思および就業意欲)の確認から情報収集することが必要です。なかには、復職の意欲(リワークの意欲)がないにもかかわらず、経済的な理由や休職期間の満了を見据えてやむをえず復職を申し出る(リワークを申し出る)労働者もいます。復職支援(リワーク支援)を行うにあたっては、「職場復帰支援プログラム(リワークプログラム)」についての説明を十分に行ったうえで、十分な時間をかけて面談することが望ましいです。
■産業医等による主治医からの意見収集
診断書は傷病事由の休業に必要なエビデンスであることから、プライバシー情報に該当するような詳細な内容は記載されないことが多いです。しかし、すべてのケースが同じ状況にあるわけではなく、再発予防のためにはケースごとに病態や状況を把握し、主治医の意見を参考にしたうえで、より適切なリワーク支援を提供することが重要です。そのうえで必要な主治医との連携にあたっては、産業医等は労働者本人のインフォームドコンセントを得たうえで、主治医からの情報や意見を積極的に収集します。その際、労働者本人の職場復帰支援をする立場(リワーク支援をする立場)を中心としながら必要な情報交換が行われるよう努めなければならないです。
必要な情報とは、職場復帰支援に関して(リワーク支援に関して)職場で配慮すべき内容が中心であり、また、そのための理解を得るための必要最小限の病態や機能に関する情報です。治療状況および病状の回復状況の確認であり、具体的には、今後の通院治療の必要性、治療状況についての概要の確認、眠気など業務遂行に影響を及ぼす症状や薬の副作用の有無、休業中の生活状況、その他、職場復帰に関して(リワークに関して)考慮すべき問題点などです。必ずしも具体的な疾患名が必要とされるわけではないです。特に産業医等は専門的な立場からより詳細な情報を収集できる立場にあるが、主治医とスムーズなコミュニケーションが図れるよう精神医学、心身医学に関する基礎的な知識を習得していることが必要となります。この際には、「職場復帰支援に関する情報提供依頼書(リワーク支援に関する情報提供依頼書)」等を用いるなどして、労働者のプライバシーに十分配慮しながら情報交換を行うことが重要です。主治医に対して事業場内産業保健スタッフ等や管理監督者それぞれの立場や役割、傷病による休業や職場復帰に関する会社の規則(リワークに関する会社の規則)、プライバシーに関する事項等について十分な説明を行い、理解を得ることも必要です。治療に職場の理解や職場復帰支援がない(リワーク支援がない)場合、産業保健スタッフ等から説明することも必要です。
以上、心療内科、豊中市・千里中央駅直結・千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。
月別アーカイブ: 2016年1月
リワークプログラム(その23)
心療内科 精神科、大阪府 豊中市・千里中央駅・千里ニュータウン「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワークプログラム」の23回目です。引き続き、リワークプログラム(職場復帰支援プログラム)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●<第3ステップ>職場復帰の可否(リワークの可否)の判断および職場復帰支援プランの作成(リワークプランの作成)
主治医からの職場復帰許可(リワーク許可)を受けて、職場環境や業務を見据えた現実的な職場復帰(リワーク)の見通しをたて、安全で円滑な職場復帰支援(リワーク支援)をするための具体的な職場復帰プラン(リワークプラン)(以下、「職場復帰支援プラン(リワーク支援プラン)」)を作成したうえで、最終的な職場復帰の可否判断(リワークの可否判断)を行う必要があります。
このステップでは、事業場内産業保健スタッフ等を中心に、管理監督者、当該労働者の間で十分に話し合い、連携しながら進めていく必要があります。メンタルヘルス専門スタッフが配置された事業場においては、メンタルヘルス専門スタッフは、より専門的な立場から他の事業場内産業保健スタッフ等をサポートすることが望まれます。産業医が選任されていない50人未満の小規模事業場においては、人事労務管理スタッフおよび管理監督者等、または衛生推進者もしくは安全衛生推進者が、主治医との連携を図りながら、また地域産業保健センター、労災病院勤労者メンタルヘルスセンター等の事業場外資源を活用しながら検討を進めていくことが必要です。ケースによっては、最終的な職場復帰の決定(リワークの決定)までのプロセスを職場復帰判定(リワーク判定)委員会等の機会に同時にまとめて検討することも可能であるが、通常、職場復帰の準備(リワークの準備)にはある程度の時間を要することが多いため、職場復帰前(リワーク前)の面談等は、実際の職場復帰(実際のリワーク)までに十分な準備期間を設定したうえで計画・実施することが望ましいです。
以上、心療内科、豊中市・千里中央駅直結・千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。
リワークプログラム(その22)
心療内科 精神科、大阪府 豊中市・千里中央駅・千里ニュータウン「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワークプログラム」の22回目です。引き続き、リワークプログラム(職場復帰支援プログラム)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●<第2ステップ>主治医による職場復帰可能(リワーク可能)の判断
治療と休養によって症状が改善し、職場復帰時期(リワーク時期)についてある程度の目処がたつと、労働者本人は管理監督者に復職(リワーク)の希望を伝えます。管理監督者は職場復帰診断書(リワーク診断書)の提出を労働者に依頼するとともに産業保健スタッフ等に連絡し復職面談(リワーク面談)を調整します。職場復帰診断書の記載事項(リワーク診断書の記載事項)として、就業可能と判断される時期や就業上の配慮についても主治医に記載してもらうように助言しておきます。具体的には、「○年○月○日より就業可能と判断する。負荷の軽い業務から徐々に開始することが望ましい。」などです。労働者本人から職場に提出された復職診断書(職場に提出されたリワーク診断書)は、管理監督者経由で人事労務管理スタッフに提出します。
なお、現状では、主治医による復職診断書の内容(リワーク診断書の内容)は、病状の回復程度を中心に日常生活レベルにおいて記載されていることが多く、労働者や家族の希望が含まれている場合もあります。主治医は具体的な業務内容・職場環境・業務遂行能力・管理監督者の意見等すべてを把握することは難しいため、主治医の意見をもとに産業医等により最終的な復職の可否(リワークの可否)判断や業務内容や職場環境などの調整がなされるべきです。
主治医の就業許可なく本人の希望のみで職場復帰を許可(リワークを許可)した場合、病的レベルの改善が不十分であることから復職後(リワーク後)に再発する危険が大きいだけでなく、主治医も職場復帰を許可できない(リワークを許可できない)ほどの悪い健康状態である従業員を働かせているということから、悪化時などに安全健康配慮義務違反を問われる可能性もあります。また、主治医の許可のみで産業医等の判断がない場合、医学的判断をもとにした職場環境調整等が難しくなることから再発のリスクが高くなり、結果的にさらに長期の休業となる可能性もあります。
以上、心療内科、豊中市・千里中央駅直結・千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。
リワークプログラム(その21)
心療内科 精神科、大阪府 豊中市・千里中央駅・千里ニュータウン「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワークプログラム」の21回目です。引き続き、リワークプログラム(職場復帰支援プログラム)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】◎休業中のメンタルヘルスケア
主治医の診断書では休業期間の見込みについて明記してもらうものの、予測は難しいことも多く、1か月ごとに診断書を更新する場合が多いです。職場への適応障害的な要素が強い場合は、職場のストレス要因から離れることにより約3か月程度で比較的早く回復可能であるが、個人的な要素が大きい場合や他の疾病が併存する場合には、休業が数年にわたるケースもあります。休業前に産業保健スタッフ等が関与できれば、病態や症状などを勘案のうえ療養指導もある程度可能であるが、なかには産業保健スタッフ等に連絡がないまま休業に入ってしまうケースも少なくないです。治療につながらないだけでなく、一人暮らしでは安否さえ不安が残り、家族の復職支援(リワーク支援)も得られないため、休業時には原則的に家族とともに生活するよう指導し、寮生活を含めて一人暮らしを継続しないように指導します。ただし、家族関係のトラブル等により家族との同居で病状が悪化する可能性が大きい場合はこの限りではなく、会社や職場として安全健康配慮の判断に困惑する場合は、主治医の指示に従うことが望ましいです。
また、労働者本人が職場復帰(リワーク)のための適切な助言が得られず、必要以上に休業期間が延長している可能性があります。管理監督者教育などの機会を利用し、定期的な連絡など休業者に対する管理監督者の対応についての指導の徹底を行っておくことが必要です。ただし、休業開始当初少なくとも約1か月程度は療養を最優先に考え、面接や連絡はあまり積極的に行わないほうがよいです。休業中の労働者本人への連絡対応者は原則的に管理監督者であるが、管理監督者が長期出張中などで対応できない場合、または管理監督者自身との人間関係に支障がある場合は、管理監督者が指定する者が担当するのがよいです。また、会社と連絡を取りあうことが不適切である可能性の判断に困惑するような場合は、主治医の指示に従うことが望ましいです。
以上、心療内科、豊中市・千里中央駅直結・千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。
リワークプログラム(その20)
心療内科 精神科、大阪府 豊中市・千里中央駅・千里ニュータウン「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワークプログラム」の20回目です。引き続き、リワークプログラム(職場復帰支援プログラム)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】◎休業の開始
病気休業の開始においては、主治医によって作成された診断書を労働者から管理監督者に提出してもらいます。診断書には病気休業を必要とする旨のほか、職場復帰(リワーク)の準備を計画的に行えるよう、「約1か月の自宅療養が必要」などと療養期間の見込みについて明記してもらうことが望ましいです。
管理監督者は、病気休業診断書が提出されたことを、人事労務管理スタッフおよび産業保健スタッフ等に連絡します。休業を開始する労働者本人に対しては、休業の事務手続き・療養中の過ごし方・職場復帰支援の手順(リワーク支援の手順)・相談先等について説明し、安心して療養に専念できるよう療養指導を行います。
管理監督者および事業場内産業保健スタッフ等は、必要な連絡事項および職場復帰支援(リワーク支援)のためにあらかじめ検討が必要な事項については労働者本人に連絡を取ります。場合により、労働者本人の同意を得たうえで主治医と連絡を取ることも必要となります。
診断書は、通常は会社(人事労務管理部門)に提出され傷病欠勤処理されます。産業保健スタッフ等も休業者の把握ができるように、人事労務管理部門と連携して休業者の復職支援(休業者のリワーク支援)ができるようなシステムをつくることが望ましいです。
以上、心療内科、豊中市・千里中央駅直結・千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。
リワークプログラム(その19)
心療内科 精神科、大阪府 豊中市・千里中央駅・千里ニュータウン「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワークプログラム」の19回目です。引き続き、リワークプログラム(職場復帰支援プログラム)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●<第1ステップ>病気休業開始および休業中のメンタルヘルスケア
◎休業前メンタルヘルスケア
管理監督者は、職場における勤怠管理・気づき・自発的相談等において労働者の体調不良が認められた場合、事業場内産業保健スタッフ等に連絡を取ることが望ましいです。身体疾患や薬物等が影響している二次性のメンタルヘルス不調であることも少なくないため、産業保健スタッフ等は必要に応じて医療機関へ紹介するとともに、原因について検討することが望ましいです。睡眠時無呼吸症候群によるうつ状態が疑われれば呼吸器科・耳鼻咽喉科・専門外来へ、アルコールによるうつ状態や欠勤が疑われればアルコール専門外来へ紹介することが必要です。
身体疾患や薬物等の影響が否定的な場合には、体調不良の誘因や原因について、職場・家庭・個人レベルにおいてそれぞれ確認することがその後の職場復帰支援(リワーク支援)においても重要です。休業措置が必要な場合、あるいはすでに休業に入っている場合には、労働者本人あるいは管理監督者経由で療養指導を行います。急な欠勤で本人と連絡が取れない場合も想定されるが、電話連絡・メールなどによる手段で複数回連絡しても応答がない場合には自宅訪問を検討します。それでも連絡がつかない場合には、本人の身の安全を考慮すると、本人の承諾なしに直接家族に連絡することも安全配慮義務上必要であると考えられます。
以上、心療内科、豊中市・千里中央駅直結・千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。
リワークプログラム(その18)
心療内科 精神科、大阪府 豊中市・千里中央駅・千里ニュータウン「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワークプログラム」の18回目です。引き続き、リワークプログラム(職場復帰支援プログラム)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】職場復帰支援(リワーク支援)は要休業の診断書がでた時点から、休業中、復職前(リワーク前)の調整、復職後(リワーク後)のフォローアップにいたる一連のプロセスにおいて行います。厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(リワーク支援の手引き)」(復職ガイドライン(リワークガイドライン))には、「職場復帰支援の流れ(リワーク支援の流れ)」が示され(図1)、これは、各5つのステップにおける対応事項の詳細から構成されています。これに則り、人事労務管理スタッフ、産業保健スタッフ、上司など関与するメンバーの役割や職場復帰支援手順(リワーク支援手順)などの整備を行っておくことも大切です。
◇図1 職場復帰支援の流れ(リワーク支援の流れ)
●<第1ステップ>
病気休業開始及び休業中のメンタルヘルスケア
(→病気休暇届・診断書提出)
⇒イ.労働者からの診断書(病気休業診断書)の提出
ロ.管理監督者、事業場内産業保健スタッフ等によるメンタルヘルスケア
●<第2ステップ>
主治医による職場復帰可能(リワーク可能)の診断
(→産業医面談、リワークプログラム受講、主治医との情報交換、連携)
⇒労働者からの職場復帰の意思表示(リワークの意思表示)及び職場復帰可能(リワーク可能)の診断書の提出
●<第3ステップ>
職場復帰の可否の判断(リワークの可否の判断)及び職場復帰支援プランの作成(リワークプランの作成)
(→上司・人事・産業医面談)
⇒イ.情報の収集と評価
(ア)労働者の職場復帰に対する意思(リワークに対する意思)の確認
(イ)産業医等による主治医からの意見収集
(ウ)労働者の状態等の評価
(エ)職場環境の評価
(オ)その他
ロ.職場復帰の可否(リワークの可否)についての判断(疾病性より事例性)
ハ.職場復帰支援プラン(リワークプラン)の作成
(ア)職場復帰日(リワーク日)
(イ)管理監督者による業務上の配慮
(ウ)人事労務管理上の対応
(エ)産業医等による医学的見地からみた意見
(オ)フォローアップ
(カ)その他
●<第4ステップ>
最終的な職場復帰の決定(リワークの決定)
⇒イ.労働者の状態の最終確認
ロ.就業上の措置等に関する意見書の作成
ハ.事業者による最終的な職場復帰の決定(最終的なリワークの決定)
ニ.その他
●<第5ステップ>
職場復帰後のフォローアップ(リワーク後のフォローアップ)
⇒イ.症状の再燃・再発、新しい問題の発生等の有無の確認
ロ.勤務状況及び業務遂行能力の評価
ハ.職場復帰支援プランの実施(リワークプランの実施)状況の確認
ニ.治療状況の確認
ホ.職場復帰支援プランの評価(リワークプランの評価)と見直し
以上、心療内科、豊中市・千里中央駅直結・千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。
リワーク(復職)支援(その20)
心療内科 精神科、大阪府 豊中市・千里中央駅・千里ニュータウン「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク (復職)支援」の20回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖職場復帰における(リワークにおける)周囲のサポート〗
ア.休業前~休業中
休業中の労働者に対しては、療養に専念できるよう、また安心できるように配慮します。引継ぎに関しては状態によっては実施できないこともありますが、可能であれば最小限の引継ぎを行い、以後は業務に関する連絡はとらないように心がけます。休業中の経済的不安や将来に対する不安もできる限り軽減できるよう、傷病手当金制度や復職手順(リワーク手順)についてなどの情報提供を行います。休業中の連絡は、1~2か月に1回程度とし、診断書に記載されている要休業期間が終了するころに状況の確認をします。
イ.職場復帰前(リワーク前)
主治医により職場復帰可能(リワーク可能)の判断がなされたら、すぐに職場復帰を決定(リワークを決定)するのではなく、実際に業務遂行できる状態であるかどうか、また、復職に際して(リワークに際して)勤務時間の配慮や職場環境の調整を要するかどうか、などについて産業保健スタッフを中心に十分な情報収集と評価を実施した上で、復職する労働者(リワークする労働者)と管理監督者、人事労務管理スタッフを含めて十分に話し合いながら職場復帰プラン(リワークプラン)の作成を行います。産業保健スタッフがいない場合は、人事労務管理スタッフ、衛生管理者などが主治医や都道府県産業保健推進センター(従業員数50人未満の事業場の場合は、地域産業保健センター)などと連携をとりながら進めます。このステップは安全でスムーズな職場復帰のために(リワークのために)重要です。
ウ.職場復帰のめやす(リワークのめやす)
病気の回復過程において、回復期は調子がよい日と悪い日の波があることが多いため、その波が安定して、悪い日でも出社できる程度の状態になったら復職を検討(リワークを検討)できる時期です。さらに、規則正しい生活リズムになっていること、日中は外出して過ごす体力が回復していること、通勤電車に乗れること、読書やパソコン作業など集中してできること、人間関係においてある程度接触が可能であること、など、毎日出社して軽減業務程度ができる状態であることが必要です。最終的な復職のタイミング(リワークのタイミング)はあせらず、総合的に判断をして決定します。
エ.職場復帰後(リワーク後)
職場復帰に際して、周囲の方(リワークに際して、周囲の方)は自然な態度で迎えてください。根掘り葉掘り状況を聞くようなことは慎み、「おはようございます」といったあいさつや、「また一緒に働けてよかった」という自然な気持ちを伝えてください。
職場復帰後は時間短縮勤務、業務軽減(リワーク後は時間短縮勤務、業務軽減)などの措置を段階的に行いながら徐々に通常勤務へと戻す期間が必要となります。管理監督者は、同僚に対して、勤務上の配慮事項を明確に伝え、職場復帰した労働者(リワークした労働者)がスムーズに働けるように配慮します。
以上、心療内科、豊中市・千里中央駅直結・千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。
リワーク(復職)支援(その19)
心療内科 精神科、大阪府 豊中市・千里中央駅・千里ニュータウン「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク (復職)支援」の19回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖職場復帰支援(リワーク支援)の各段階における家族の協力〗
ア.病気休業開始及び休業中の家族の協力
療養中は、本人の現在の病気の状況を正しく理解するとともに、本人が治療に専念し、十分な休養が取れるように配慮することが必要となります。
●ポイント
1.メンタルヘルスに対しての基本的な知識を持つようにする。
2.主治医より発症の原因、病状、治療方針、処方薬の効能、副作用の注意、復職の見込み(リワークの見込み)等の説明を受ける。
3.定期的に主治医の診察に同席して、本人の家庭での生活状況、症状及び対応について情報を提供し、助言を受ける。
4.不安や悩みがある時は家族だけで悩まないように、相談内容に応じて主治医、会社担当者、相談機関等で相談をする。
5.単身者の療養で、食事、睡眠等の規則的な生活習慣の維持等に不安がある場合は、できるだけ実家等家族と同居する。
イ.主治医により職場復帰が可能と判断(リワークが可能と判断)された場合の家族の協力
主治医より、「回復傾向が見られるので、そろそろ職場復帰が可能(リワークが可能)」との判断が出たら、家族としても、復職が可能な状態(リワークが可能な状態)なのかを日常生活の上で観察してください。その上で、主治医と面談し、家庭での状況を伝えて、回復の状況、復職に当たって(リワークに当たって)の条件等を確認することが必要です。病状が回復しないことや、病状が変化することで、本人はとても不安となりがちです。家族は無理に対応を強要したり、復職を促したり(リワークを促したり)しないように見守ることも大切です。
●ポイント
1.家庭での本人の睡眠、服薬、食事、その他日常生活に問題ないかを観察する。
2.家事や買い物の手伝い、本人の趣味等日常の行動にゆとりが出てきているか確認する。
3.家庭で憂うつ感、不眠、食欲不振等発症時のメンタルヘルス不調の症状が改善され、職場復帰に対する(リワークに対する)やる気、意欲を感じているかを確認する。
4.家族として仕事の適応に不安がある場合は、本人、主治医と相談して、リワーク支援施設のリワークプログラムによるリワーク支援を検討する。
ウ.職場復帰可否(リワーク可否)の判断と家族の協力
安全でスムーズな職場復帰を支援する(リワークを支援する)ためには、会社での最終的な職場復帰決定(リワーク決定)の手続きの前に、必要な情報の収集と確認を行った上で、まずは家族が職場復帰の可否を適切に判断(リワークの可否を適切に判断)してください。その上で、職場復帰に合わせた(リワークに合わせた)家庭での復職支援プラン(リワークプラン)を準備しておくことが必要となります。
●ポイント
1.会社での職場復帰支援プランの作成(リワークプランの作成)に当たって、必要に応じて家族から希望を伝えて、リワークプランに反映してもらう。
2.メンタルヘルス不調の原因が改善されているか確認する。
3.会社での職場復帰支援(会社でのリワーク支援)の具体的リワークプラン及び最終的な職場復帰の決定(最終的なリワークの決定)に関わる内容を確認するため、できるだけ会社の復職支援会議(リワーク支援会議)等に本人と同席して説明を受ける。
エ.職場復帰後のフォローアップ(リワーク後のフォローアップ)と家族の協力
復職後(リワーク後)は、本人の家庭での状況について観察し、必要に応じて主治医、産業医、会社の関係者と情報交換をして、職場復帰が順調(リワークが順調)であるかを確認することが必要です。
●ポイント
1.家庭での本人の睡眠、服薬、食事、その他日常生活に問題ないかを観察する。
2.症状の再燃・再発の兆候や新しい問題の発生等がないか確認をする。
3.決められた服薬を勝手にやめていないか状況を確認する。
4.発症時と同じような症状または本人の体調、態度が急に変化したら、急いで主治医の診察を受けさせる。
以上、心療内科、豊中市・千里中央駅直結・千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。
新年のご挨拶
皆様、新年明けましておめでとうございます。
旧年中は色々お世話になり、誠に有難うございました。
さて、当クリニックも開業して、今夏で丸7年になります。ここまでやってこられたのも、皆様のお蔭と感謝しております。
「豊中市・千里中央、心療内科」と言えば、「杉浦こころのクリニック」と認めて頂けるよう、引き続き努力・精進して参りますので、何卒宜しくお願い致します。
医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック
理事長・院長 杉浦 正義