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リワークプログラム(その39)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワークプログラム」の39回目です。引き続き、リワークプログラム(職場復帰支援プログラム)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】厚労省傘下の高齢・障害・求職者雇用支援機構により都道府県に少なくとも1か所置かれている地域障害者職業センターでは、公共職業安定所と連携しながら、職業相談から就労・復職支援就労・リワーク支援)および職場適応までの一貫した職業リハビリサービスを提供しており、うつ病休職している労働者に提供されるサービスが「リワーク支援」です。民間企業に在籍するうつ病休職者職場復帰リワーク)と職場適応、および事業主を復職支援事業主をリワーク支援)していく職業リハビリプログラムが復職支援プログラム職業リハビリプログラムがリワークプログラム)で、目的は職場適応と事業主の復職支援職場適応と事業主のリワーク支援)であり、治療によるメンタルヘルス不調の回復を目的としていない点が医療機関の復職支援プログラム医療機関のリワークプログラム)との最も大きな違いであり、これを「職リハリワーク」と呼んでいます。
一方、「医療リワーク」は医療機関で行われる治療で、うつ病の再休職予防を目的としたリハビリテーションが医療リワークプログラムです。健康保険制度の下、厚生労働省が定めるリワーク施設基準のあるデイケアや作業療法あるいは集団精神療法などで、リワーク施設利用者本人の自由意思に基づき行われ、費用の一部は自己負担となります。
これらのリワークのほかに、企業内で行われる復職支援企業内で行われるリワーク支援)のための復職支援プログラムリワークプログラム)などを「リワーク」と呼ぶ場合があります。これは企業が社員に対し、安全な復職を果たすリワークを果たす)ための復職支援リワーク支援)で、厚労省が「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引きリワーク支援の手引き)」(復職ガイドラインリワークガイドライン))で示した指針に盛り込まれた“試し出勤”や“リハビリ出勤”もこれに当たります。背景には、主治医(精神科医・心療内科医)の発行する復職可能リワーク可能)とする診断書どおりに復職しても再休職リワークしても再休職)が多いという現実があり、これに対応する措置です。
うつ病患者様の休職中に行われるため業務はさせないが、出勤が可能かを確認でき、職場での様子を観察することにより、復職させてリワークさせて)安定した就労ができるかを見極めることを大きな目的としており、これを「職場リワーク」と呼んでいます。
以上、千里中央駅直結・千里セルシー3階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


リワークプログラム(その38)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワークプログラム」の38回目です。引き続き、リワークプログラム(職場復帰支援プログラム)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖リワークプログラムの背景と役割〗
リワークプログラムとは
「リワーク」という言葉を、新聞や雑誌、学会等で最近よく目にします。英語で書けば“re-work”、日本語では“復職”という意味です。地域障害者職業センターで行われている「リワーク支援」の復職支援プログラムリワークプログラム)が2002~2003年度(平成14~平成15年度)に障害者職業総合センター(千葉市)研究部門で開発された際に、「リワーク」という言葉が初めて用いられました。
復職を支援リワークを支援)する復職支援プログラムの前身リワークプログラムの前身)は、1997年(平成9年)にNTT東日本関東病院で始められた職場復帰援助リワーク援助)プログラムです。
その後、リワーク関係者らも積極的に普及啓発運動を展開し、「リワーク」は新聞、テレビ、雑誌などに取り上げられてきました。しかしながら近ごろでは、「リワーク」という言葉が随所でさまざまな意味に使われ、概念が混乱しています。
3つのリワーク
このようなことから、リワーク関係者らはリワークを、地域障害者職業センターで行う「職リハリワーク」、医療機関で行う「医療リワーク」、企業内や従業員支援プログラム(employee assistance program;EAP)などで行われる「職場リワーク」に分けて考えています。これら3つのリワークの違いを表1に示します。
◇表1 3つの「リワーク」の違い
職リハリワーク(行政系)
<実施機関>地域障害者職業センター
<費用>労働保険
<対象>うつ病休職者、事業主
<主な目的>復職支援プランリワークプラン)に基づく復職支援リワーク支援+リワークプログラム
医療リワーク(医療系)
<実施機関>医療機関
<費用>健康保険
<対象>うつ病休職
<主な目的>精神科治療、メンタルヘルス疾患の再休職予防
職場リワーク(民間系)
<実施機関>企業内、EAPなど
<費用>企業負担
<対象>うつ病休職者
<主な目的>労働させてよいかの見極め
以上、千里中央駅直結・千里セルシー3階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


リワークプログラム(その37)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワークプログラム」の37回目です。引き続き、リワークプログラム(職場復帰支援プログラム)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●休業復職支援プログラムリワークプログラム
T社では、就業規則上、「引き続き1週間以上、メンタルヘルス不調で会社を休む場合には、医師(精神科医・心療内科医)の診断書に欠勤届けを添えて提出」します。
休業した労働者本人にとっては、休業というのは人生においての初めての大きな出来事であることが多いことから、安心して療養に専念できるよう、休業の手続き・療養中の過ごし方・休業制度・給付金(傷病手当金)制度・職場復帰リワーク)の方法・相談先などが記載された「療養のしおり」を配布し、休業中も必要に応じて復職支援リワーク支援)することとしています。
メンタルヘルス疾患による病欠期間が2週間を超えた場合(年休処理を含む)、職場復帰面談リワーク面談)が必要となります。手続きを明確にする目的で、復職希望日リワーク希望日)の2週間前までに1回目の復職面談1回目のリワーク面談)を行い、メンタルヘルス確認および復職支援プランリワークプラン)の試案を作成し、1週間前~当日までに2回目の復職面談2回目のリワーク面談)を行うことを原則としています。産業医等が主治医と連携を取るツールとして、現状では「職場復帰に関するリワークに関する)情報提供のご依頼」を利用しているが、主治医の復職許可リワーク許可)診断書と情報提供書の2通を要する煩雑さから、これらを一体化させた「職場復帰診断書リワーク診断書)」に改定し、利用予定です。職場復帰の可否リワークの可否)および職場復帰支援プランに関するリワークプランに関する)話し合いの結果については、「職場復帰チェックシートリワークチェックシート)」等を利用して記録にまとめ、リワーク関係者がその内容を互いに確認しながらその後の職場復帰支援を進めるリワーク支援を進める)予定です。
T社では、リハビリ出勤制度は導入していないです。復職に求められるリワークに求められるメンタルヘルス状態が回復していない段階で半日程度出勤させるリハビリ勤務だと、メンタルヘルス疾患の再発のリスクが高まるだけでなく、安全を担保できず、周囲への影響も大きいです。さらに、勤務取扱いの判断やリハビリ出勤中の労働災害の取扱い等実務上の問題も多く残っていることから、検討課題としては上がるものの導入を見送ってきています。よって、職場復帰判断基準リワーク判断基準)としては、フルタイム勤務が可能なメンタルヘルス水準を要し、全般的に7~8割程度のメンタルヘルス不調の回復を目安としています。しかし、復職日リワーク日)からフルタイム勤務を求めるものではなく、1日最大2時間までの時間短縮勤務制度を活用しています。時間短縮勤務は、職場復帰が許可できるリワークが許可できる)ものに対して、復職当初リワーク当初)の3~6か月程度を期間の目途として30分単位で適用可能です。メンタルヘルス不調の回復状況は個々により異なるため、適用期間の定めは設けずにメンタルヘルス状態に応じて対応可能となっています。当然、勤務時間の問題だけでなく、内容的にも業務負荷軽減措置・職場調整など、職場復帰支援を利用リワーク支援を利用)し、行っています。
また、産業保健スタッフが使用する職場復帰支援ツールリワーク支援ツール)として、生活リズムの評価としての「日常生活リズムチェック表」、復職判断リワーク判断)としての「職場復帰チェックシート」も必要に応じて「リワークチェックシート」も必要に応じて)利用可能です。
職場復帰支援を円滑に進めるリワーク支援を円滑に進める)ためには、メンタルヘルス一次予防から三次予防まで含めた産業保健活動の一環として位置づけることが必要であり、そのためには事業主の理解と職場間の協力体制が必要です。また、事業場内だけでなく、労働者本人をとりまく家族も含めた包括的な復職支援包括的なリワーク支援)が必要です。
構築された産業保健システム等は、産業保健プロジェクトによるマネジメント等を利用し、定期的な見直しを図っています。
以上、試案中の資料も含まれるが、これまでの経験を踏まえた職場復帰支援ツールとして広く利用可能リワーク支援ツールとして広く利用可能)であり、多くに検討される価値があると考えます。
T社は、労働者のメンタルヘルス状態に適した労働を提供することだけでなく、労働者自身が生き生きと業務ができ、企業がさらなる発展を続けられるよう産業保健活動を行うことを理想としていることを明記しておきたいです。
以上、千里中央駅直結・千里セルシー3階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


リワークプログラム(その36)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワークプログラム」の36回目です。引き続き、リワークプログラム(職場復帰支援プログラム)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●T社の職場復帰支援プログラムリワークプログラム
T社では、安全衛生・メンタルヘルス管理に関する基本方針を示した『T社グループ安全・メンタルヘルス基本方針』を策定し、安全とメンタルヘルスを経営の重要課題と位置づけ、「人を大切にします」という経営理念に基づき、「安全で快適な職場環境づくりとメンタルヘルス保持増進」を推進することを明確にしています。復職支援プログラムは、厚生労働省に先駆けリワークプログラムは、厚生労働省に先駆け)、2003年(平成15年)から導入しています。厚生労働省の復職ガイドラインリワークガイドライン)同様に、職場復帰時リワーク時)の復職支援リワーク支援)に特に力を入れ、メンタルヘルス疾患の再発防止に貢献することができているが、2007年度(平成19年度)より復職支援プログラムを拡大リワークプログラムを拡大)し、休業前からのより早期のメンタルヘルスへの介入により、休業期間の短縮とメンタルヘルス疾患の再発防止対策に力を入れ、メンタルヘルス疾患の一次予防・二次予防へもつながるように復職支援プログラムの見直しリワークプログラムの見直し)を行いました。
◇図1 メンタルヘルス不調者休業復職支援プログラム休業リワークプログラム
『1.メンタルヘルス不調休業開始に際して
(1)メンタルヘルス不調休業診断書の提出の説明
(2)職場管理者、人事勤労担当、産業保健スタッフによるメンタルヘルスケア
休業中の生活指導、復職支援プログラムの存在リワークプログラムの存在)、定型復職診断書リワーク診断書)の説明(産業保健スタッフ)
休業中の身分保障、傷病手当金等経済的支援の説明、家族との連絡等(人事勤労)
休業中の安否確認の方法について決めておく(職場管理者)』
⇩ 休業中安否確認の連絡について
⇩  概ね、月1回の職場担当者による安否確認
⇩  家族が可能な限りこれに関わるよう心がける
⇩  エビデンスを残す(異常があれば産業医に連絡)
『2.主治医による復職可能リワーク可能)診断書の提出』

『3.第一次復職支援面談第一次リワーク支援面談) ※復職予定リワーク予定)2週間以上前までに
(1)情報の収集
・休業者の復職意志リワーク意志)および就業意欲の確認、復職の仕方リワークの仕方)における希望等(チェックリスト)                                                        ↓
・主治医の意見(労働者の同意を得て意見を求める)                                 ↓
↑ 職場復帰に際してリワークに際して)の診断書兼情報提供書作成のご依頼(別資料)           ↓
・職場管理者の意見(復職者リワーク者)に対する要望、提供できる復職支援対策リワーク支援対策)) ↓
・人事勤労担当の意見                                                    ↓
(2)職場復帰可否リワーク可否)についての判断⇒復職支援一次リワーク支援一次)・二次面談記録(別資料)』

『4.復職支援プランの作成リワークプランの作成)(産業医・職場管理者・人事勤労)
(1)職場復帰の日リワークの日
(2)復職場所リワーク場所)・職種・勤務体制の各種制限
(3)就業時間負荷考慮の要否
(4)職場管理者による就業上の配慮の件
(5)人事勤労的対応の確認(就業ルールとの整合性確認)
(6)産業保健医療的立場からの意見
(7)職場復帰後リワーク後)フォローの計画と見通し(総合的復職支援期間総合的リワーク支援期間)の予測)
(8)その他、必要な配慮事項
復職支援一次・二次リワーク支援一次・二次)面談記録(別資料)』

『5.第二次復職支援面談第二次リワーク支援面談) ※第一次復職支援面談後リワーク支援面談後)約1週間の後に
(1)必要に応じて、職場管理者、人事勤労担当等の同席、意見の呈示を求める
(2)休業者が適切な日常生活リズムに戻っているか再度の確認
(3)復職支援プランリワークプラン)(上記)を提示、概ね予測される復職支援期間リワーク支援期間)も含め、本人、職場、人事の同意を得る
(4)復職可否の最終決定リワーク可否の最終決定)⇒復職支援一次・二次面談リワーク支援一次・二次面談)記録(別資料)   メンタルヘルス管理措置意見書 の発行
(5)必要に応じて主治医へ復職状況リワーク状況)報告(本人の同意を得て)』
⇩ 職場管理者への復職支援に関わるリワーク支援に関わる)啓蒙教育の実施(確認)
『6.職場復帰リワーク)』

『7.職場復帰後フォローリワーク後フォロー)面談
(1)必要に応じて、職場管理者、人事勤労担当等の同席、意見の呈示を求める
(2)通院・治療状況の確認
(3)復職後の健康状態リワーク後の健康状態)の確認、メンタルヘルス不調等の再燃・再発、新たな問題発生の有無
(4)就業状況や業務遂行能力と、職場期待との整合性を評価する
(5)復職支援プラン自体リワークプラン自体)の評価と見直し
復職支援面談リワーク支援面談) 経過記録(別資料)、メンタルヘルス管理措置意見書
(6)必要に応じて主治医との情報交換(本人の同意を得て)』
以上、千里中央駅直結・千里セルシー3階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


リワーク(復職)支援(その43)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク(復職)支援」の43回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】『○復職リワーク)判定基準
復職判定リワーク判定)に際してメンタルヘルス不全に関しては客観的判断基準がないために「主治医の主観的判断に依らざるを得ない」との回答が66.2%であり、この主治医の主観的判断が「患者様の意向に添う傾向があり、患者様に甘くなる」との回答が85.8%であった。』
主治医の85.8%が、復職判定に際してリワーク判定に際して)、「患者様の意向に添う傾向があり、患者様に甘くなる」と回答しています。主治医は患者様に寄り添うことが求められるということからすると、至極当然の結果です。この回答結果から、主治医の復職診断書リワーク診断書)には、ほとんどの場合、「労働者や家族の希望」が含まれているということが分かります。つまり、労働者や家族が「復職したいリワークしたい)」と言えば、「復職可リワーク可)」という復職診断書を書くリワーク診断書を書く)こともありえるということです。
『○復職条件リワーク条件
主治医である精神科医・心療内科医のほとんど(96.2%)が「寛解状態」つまりメンタルヘルス疾患の再発・再燃の可能性はあるものの日常生活上支障のない治癒状態で良いと考えているのに反して、職場関係者からは「完全治癒」を要求された事が多い(74.3%)との結果であり、両者の想定する復職条件に大きな格差リワーク条件に大きな格差)がある事を示していた。
このせいか、復職後リワーク後)に再燃した場合、「(復職させた)主治医の判断(リワークさせた)主治医の判断)が甘かった」と職場関係者から問責されたとの回答が20.0%あった。』
主治医の判断は、あくまで「日常生活上支障のない治癒状態」であれば、復職可と判断リワーク可と判断)しています。しかし、企業は、「完全に治癒したこと」=「職務が遂行できること」を復職の条件としているリワークの条件としている)ことが分かります。
労働契約は、労働者が「債務の本旨に従った履行」をすることが求められています。職務を遂行できなければ、労働契約上の義務を果たしていないことになります。企業が「完全治癒」を求めるのは当然です。
もうひとつ留意しなければならないことがあります。それは、主治医の意見だけで復職させた場合リワークさせた場合)に、復職後に「再発のおそれ」リワーク後に「再発のおそれ」)があるということです。企業には「安全配慮義務」が課せられています。復職後に再発リワーク後に再発)した場合、「主治医の判断だったから復職させたリワークさせた)」としても、それで企業が負う安全配慮義務を全て免れることはできないということです。
以上、千里中央駅直結・千里セルシー3階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


リワーク(復職)支援(その42)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク(復職)支援」の42回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖主治医の復職リワーク)診断書 復職可否リワーク可否)の判定は、85.8%が「患者様の意向に沿う傾向」がある〗
厚生労働省が中央労働災害防止協会(中災防)に委託して作成した「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援リワーク支援)の手引き」(以下:「復職ガイドラインリワークガイドライン)」)では、労働者の職場復帰労働者のリワーク)を5つのステップに分けています。その第2ステップは、「主治医による職場復帰可能リワーク可能)の判断」です。
この中で、主治医の職場復帰可能性の可否リワーク可能性の可否)の判断について、以下のように記述されています。
『ただし現状では、主治医による復職診断書リワーク診断書)の内容は、メンタルヘルス不調の回復程度によって職場復帰の可能性を判断リワークの可能性を判断)していることが多く、復職可能性の可否の判断リワーク可能性の可否の判断)はただちにその職場で求められる業務遂行能力までメンタルヘルス不調が回復しているか否かの判断とは限らないことにも留意すべきである。また、労働者や家族の希望が含まれている場合もある。』
この中の、「労働者や家族の希望が含まれている場合もある。」というのは、具体的にはどのようなことを指しているのでしょうか?簡単に解説しましょう。
日本職業・災害医学会会誌(Vol 53)に、「メンタルヘルス不全者の職場復帰支援に関するリワーク支援に関する)調査研究」と題する記事が掲載されています。この記事は、関西労災病院心療内科・精神科による「事業場外資源(精神科医・心療内科医など)への質問紙調査」の結果を取りまとめたものです。
職場復帰支援に関する調査リワーク支援に関する調査)の目的は、
メンタルヘルス不全者職場復帰は極めて困難リワークは極めて困難)な問題を抱えている。第一に、職場復帰判定リワーク判定)が客観的基準を持たず、第二に、メンタルヘルス不全は完全治癒が少なく寛解状態での復職が多い事リワークが多い事)が予想される。本研究はこれら諸問題の実態を明らかにする事を目的としている。』
とされています。
復職支援に関する調査の対象リワーク支援に関する調査の対象)と方法については、
メンタルヘルス専門医心療内科医精神科医)を対象とし、合計846名から回答を得た。』
となっています。かなり規模の大きい調査だと言えます。
以上、千里中央駅直結・千里セルシー3階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


リワーク(復職)支援(その41)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク(復職)支援」の41回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖うつ病から職場復帰リワーク)する~復職後リワーク後)に気を付けること〗
うつ病で職場を休職した後、復職したときリワークしたとき)、気を付けるべきことがあります。
慎重に復職慎重にリワーク)をしなければ、またメンタルヘルス疾患が再発してしまいます。
うつ病はとても再発が多いと言われるメンタルヘルス疾患です。
復職を軽くリワークを軽く)考えずに、主治医や上司・産業医などとともに、慎重に進めましょう。
復職後に気を付けるリワーク後に気を付ける)べきこと
≪焦らずメンタルヘルスを慣らしていく≫
復職したリワークした)からといって、すぐに週5日フルタイムで働けるわけではありません。
最初は、出勤時間に出社して帰る→週3日2時間ずつ軽い仕事をする→毎日2時間仕事して帰る→午前中勤務→フルタイム勤務
というように、数か月かけて徐々に体を慣らしていきます。
また、仕事内容も簡単なものからはじめていきます。
休職前と比べると、「物足りない」と感じてしまったり、焦って「早く多くの仕事を与えてもらいたい」と思うでしょう。
しかし、メンタルヘルス疾患で休んでいる間、思った以上に脳も体も休んでいましたから、無理してしまうと、あなた様の処理能力は容量オーバーでパンクしてしまいます。
メンタルヘルス不調が回復したと自分で判断しない≫
復職が上手くリワークが上手く)いった場合、“自分はもう大丈夫”と勝手に判断して、通院を止めたり服薬を止めてしまったりすることがあります。
うつ病の回復は、良くなったり悪くなったりを繰り返して徐々にメンタルヘルス不調が回復していきます。
良くなったとおもって服薬を止めてしまうと、悪くなった時にうつ病が再発しやすくなるのです。
復職後もきちんと通院リワーク後もきちんと通院)・服薬は続けましょう。
≪その他≫
●無理せず、出来ないことは出来ないと言う
ストレスを溜めこまず上司に相談する
●規則正しい生活を送る
●栄養バランスのとれた食生活を送る
●休みの日に運動するなど、ストレスを発散できる趣味を持つ
メンタルヘルス疾患が再発しないためにも、考え方を変えてみよう
うつ病などから復職したあとリワークしたあと)は、当然、仕事量は以前のうつ病休職前より減っています。
また、新たに代わりの人員が補充されていて、まるでお客様扱いのようにされることもあります。
時には心無いことを言われて傷つくこともあるでしょう。
当然、大事な仕事を任せてもらえないので、以前のような発言権はありません。
このような復職後の職場リワーク後の職場)の状況を、
●のけ者扱いされている
●仕事をさせてもらえない
●やりがいを感じない
●いつも腫物を触るように扱われる
●嫌味を言われる
以上のようなマイナスの受け取り方をしてしまうと、うつ病を再発してしまいやすくなります。
考えてもみてください。あなた様がうつ病で休職している間、まわりの社員はあなた様の仕事のしわ寄せを受けていたのです。
また、復職後、あなた様が減った分の仕事リワーク後、あなた様が減った分の仕事)は誰かが受け持ってくれています。
あなた様の負担を減らすために、なるべく責任のある仕事を任せないように気を使ってくれています。
復職後しばらくリワーク後しばらく)は、仕事にメンタルヘルスを慣らすためのリハビリ期間です。
焦る気持ちもわかりますが、まずは自分を追い込まずに、ポジティブに物事を受け取れるようにしましょう。
●嫌味を言われたら→その人からの叱咤激励・愛のむち・自分の代わりに頑張ってくれていたのか
●仕事をもらえない→自分のメンタルヘルス不調をおもってくれている
●お客様扱いされる→気を使ってくれている
まわりの社員も、あなた様が復職する前リワークする前)に、うつ病についての教育を受けているはずです。あなた様同様、まわりも戸惑っているし頑張っているということを忘れてはいけません。
以上、千里中央駅直結・千里セルシー3階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


リワーク(復職)支援(その40)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク(復職)支援」の40回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖うつ病から職場復帰するリワークする)~休職から復職リワーク)まで〗
うつ病と診断されたら、多くの人が“仕事辞めるべき?”と考えるでしょう。
しかし、「辞めるのではなく休む(休職する)事」が大事です。
“休んだらみんなに迷惑かけるから無理だよ…”と、うつ病になるくらい責任感があってまじめなあなた様は思ってしまうでしょう。ですが、うつ病と診断された時点で、本来の業務をすることが難しくなっている状態であり、すでにまわりの人たちに迷惑をかけてしまっていることを自覚しましょう。
うつ病という病気は、仕事を続けながら良くなるような、簡単なメンタルヘルス疾患ではありません。
思い切って休職することで、療養に集中できるので、仕事を続けるより休んだ方が、早くメンタルヘルス不調から回復できることが多くなっています。
◎就業規則に「休職」の規定がなかったら?
それほど大きくない企業では、うつ病休職者を雇い続けるのは、現実的に難しい場合が多いです。
そういった企業では、就業規則に休職についての規定がない場合もあります。しかし、規定がないからといって、すぐにクビということはありえません。もしも解雇されたら、労働基準監督署に相談しましょう。
復職のタイミングリワークのタイミング)は?
うつ病で休職した場合、難しいのが復職のタイミングですリワークのタイミングです)。
うつ病を発症する人は真面目で責任感が強い人ばかりですから、“いつまでも休んでいられない”“早く復職早くリワーク)しなくちゃ”と、焦ってしまいがちです。
しかし、メンタルヘルス疾患が回復しないまま復職してしまうリワークしてしまう)と、さらにうつ病が悪化してしまったり、再発を繰り返してしまう恐れがあります。
うつ病には「急性期」「回復期」「寛解期」「維持期」があります。
寛解期~維持期になったとき、“そろそろ働きたいかも”と思ったら、主治医に相談してみましょう。
主治医から、復職OKリワークOK)の診断書を書いてもらい、復職診断書リワーク診断書)を職場に提出します。
産業医による診察や主治医・労働者からの聴取など確認した上で、復職に向けたリワークに向けた)話し合いがもたれることになります。
復職支援リワーク支援)やリハビリ制度を利用する
主治医から復職OKの指示リワークOKの指示)が出ても、いきなり週5日フルタイムの労働は無理があります。
リワーク支援とは、厚生労働省が支援する職場復帰支援であり、リハビリ制度とは、休職を終えた社員が徐々に仕事に慣れるようにメンタルヘルスを慣らしていく制度です。
こういった制度を利用している期間は、正式な職場復帰正式なリワーク)とはみなされず、傷病手当金を受けている期間内でおこなうことがほとんどです。
職場によっては、アルバイトとして時給で賃金が支払われる企業もあるようです。
自分の会社にこういったリハビリ復職制度リワーク制度)がないのなら、公的な復職制度を利用リワーク制度を利用)してメンタルヘルスを慣らしていきましょう。
◎もしも休職期間内に復職出来なかったらリワーク出来なかったら)?
会社には就業規則に休職期間が定められています。
その期間内に復職可能リワーク可能)までメンタルヘルス不調が回復することができなかった場合は、休職期間満了時が雇用契約満了となり、自動的に退職となる場合が多いようです。
しかし、その会社の就業規則によりまちまちですので、必ず確認しましょう。
退職扱いとなってしまっても、雇用保険に2ヶ月以上加入していれば、傷病手当金を1年6ヶ月まで継続してもらい続けることができます。
その際、任意継続手続きが必要ですので、忘れずにおこないましょう。
以上、千里中央駅直結・千里セルシー3階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


リワーク(復職)支援(その39)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク(復職)支援」の39回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖うつ病から職場復帰リワーク)する~うつ病と休職
うつ病が発症してから休職までの流れ
1.うつ病と診断される
精神科心療内科を受診したときに「うつ病」と診断されます。
このまま働きながら治療するのは難しいと診断された場合、医師(精神科医心療内科医)から診断書を書いてもらいましょう。
また、診断書はうつ病で休職中の時に傷病手当金の申請にも必要になります。
2.上司に相談する
まずは精神科医の診断書心療内科医の診断書を持って職場の上司に相談しましょう。
しかし、中には上司からのプレッシャーやストレスが原因でうつ病が発症してしまった方もいるでしょう。
そういった場合は、人事部や産業医に相談しましょう。
3.休職前に引き継ぎをおこなう
うつ病と診断されましたので明日から休みます”
こんな風にいきなり今の若者は休んでしまうそうです(新型うつ病)。
しかし、本来うつ病になってしまう方は責任感が強い方ですので、まわりに迷惑がかかることは避けたいものです。
休職すると決まったら、しっかりまわりへの引き継ぎなど、やることはやってからにしましょう。
なぜなら、中途半端で休職してしまうと、無責任に仕事を投げ出した罪悪感が残ります。
また、休職中に確認の電話がかかってきてしまうので、本当の意味でメンタルヘルス疾患からの回復に専念できなくなります。
それに、同じ会社に復職するリワークする)のですから、周りへの迷惑は最小限に抑えなければ、のちのち復職したときリワークしたとき)に人間関係が上手くいかなくなってしまいます。
うつ病で辛い時に引き継ぎをするのは、とても大変な作業ですが、ゆっくり休むためにはしっかりと引き継ぎをしておきましょう。
4.必要書類を揃える
●休職願い(会社によって書式が違います)
精神科医の休業診断書、又は心療内科医の休業診断書
●産業医の診察(会社による)
5.休職期間に入る
※休職中と復職の流れリワークの流れ)は次回以降にて詳しくご紹介します。
◎最近話題の新型うつ病とは何?
最近の若者に多く問題となっているのが、「新型うつ病」と呼ばれているメンタルヘルス不調です。
従来からのうつ病と違うのは、従来のうつ病とされる症状には、何をするにもやる気が起きず、以前楽しんでいた趣味も出来なくなってしまうというものです。
対して新型うつ病は、仕事に対してのみやる気が起きずうつ症状を発症するというものです。
なので、趣味や遊びに対しては思いっきり楽しむことができ、また、本人も医師(精神科医師心療内科医師)から楽しむことがメンタルヘルス不調の回復に良いと教えられます。
新型うつ病で休職中に、ハワイ旅行の様子をブログにアップして問題になるというケースは、本人からすれば、“こんなに良くなったよ”というアピールなのでしょうが、
仕事のしわ寄せを受けている他の社員にとっては、到底納得できないことですよね。
実際、うつ病学会では、この新型うつ病うつ病とは認めていません。
また、名前にうつ病と入れていることも、ほんとのうつ病に苦しんでいる方々に失礼だという声もきかれます。
新型うつ病になりやすい人
●自己愛が強くナルシスト
●自分はコツコツ働かなくても、いずれ大きなことが出来るという根拠のない自信がある
●親に甘やかされて育った
●今まで挫折を経験したことがない
●自分の失敗はすべてまわりの責任
●ゆとり教育世代
新型うつ病と診断されると≫
本人は、“お金ももらえて仕事も休めてラッキー♪”
と思っているかもしれません。
しかし、うつ病と診断されると、
●生命保険に加入しにくい
●住宅ローンなどのローンが組みにくい
●就職に不利になる
など、
うつ病は再発のリスクが高く、将来の見通しが立てにくいので、以上のような不利益が出てくるのです。
以上、千里中央駅直結・千里セルシー3階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


リワーク(復職)支援(その38)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク(復職)支援」の38回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】◇メンタルヘルス不調者が現れる原因として事業者側が認識しているのは、
本人の性格の問題      67.7%
職場の人間関係       58.4%
仕事量・負荷の増加     38.2%
◇過去3年間でメンタルヘルス不調者のその後の状況としてもっとも多いパターンについては、
休職を経て復職リワーク)している   37.2%
休職を経て復職後リワーク後)、退職した   9.5%
休職を経て退職した   4.8%
休職せずに退職した   9.8%
休職せずに通院治療等をしながら働き続けている  14.1%
長期の休職または休職・復職を繰り返しリワークを繰り返し)ている  8.2%
休職・復職問題リワーク問題)が根深いのが見て取れます。結果的に退職に至った割合は24.1%となっています。
うつ病休職者職場復帰するリワークする)際、問題となったことについては、
どの程度仕事ができるかわからなかった  59.9%
本人のメンタルヘルス不調について、正確な医学的情報が得られなかった  33.7%
本人に合う適当な業務がなかった  21.1%
復職支援リワーク支援)に関しても、様々な問題が浮かび上がっています。復職可能リワーク可能)かどうかの復職判定リワーク判定)が難しいことが分かります。
メンタルヘルス対策に取り組んでいるかどうかについては、
何らかのメンタルヘルス対策に取り組んでいる  50.4%
取り組んでいない   49.6%
約半数の事業所では、メンタルヘルス対策に何も取り組んでいません。
メンタルヘルス対策に取り組んでいない事業所で、取り組んでいない理由については、
メンタルヘルス対策の必要性を感じない   42.2%
メンタルヘルスの専門スタッフがいない   35.5%
取り組み方が分からない   31.0%
となっています。
さて、皆様の事業所ではいかがでしょうか?
以上、千里中央駅直結・千里セルシー3階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。