月別アーカイブ: 2018年3月

復職支援(リワーク)(その30)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援リワーク)」の30回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●職場復帰に向けたリワークに向けた)「メンタルヘルスのトレーニング」
今まで説明してきた生活リズムの正常化や身体機能やメンタルヘルス機能回復のためのトレーニングに関しては、職場復帰のための準備リワークのための準備)として無意識のうちに取り組まれている方も少なくないでしょう。しかし、このリハビリ期において、自分で意識的に取り組まなければならない大きな課題が、職場復帰に向けた大きな課題が、リワークに向けた)『メンタルヘルスのトレーニング』なのです。
仕事をしながら、うつ病などメンタルヘルス不調を患った方の多くは「仕事の量が多かったから」「自分の能力では与えられた業務をこなしきれなかったから」「職場の人間関係が悪くて」など、職場に何かしらの原因を感じていることでしょう。もちろん、職場は業務の遂行に伴う身体的疲労ストレスなどが、過度に蓄積して労働者のメンタルヘルスを損なうことがないよう注意する義務(これを「安全配慮義務」と呼びます)を負っているので、皆様が快適に健康で働けるような職場作りをする努力をしなければいけません。しかしながら、職場はあくまで労務提供の場ですから、労働者にとって快適な職場環境づくりに精力を注いで、本来の仕事がおろそかになるわけにはいかないのです。つまり、職場では何らかのノルマが課されることや一見自分の能力だけではこなしきれない仕事を任せられること、さらには、気が合わない人と一緒に仕事をすることなど、排除できないストレスが常にたくさん存在しているのです。
このように多くのストレスが当然のように存在している職場に復職する職場にリワークする)わけですから、再び職場でストレスにさらされたときに対応できるようなトレーニングを行わなければ、せっかく休養と薬物療法によって回復したうつ病などメンタルヘルス不調がぶり返してしまうことが予想されるのです。職場が変わってくれることはあまり期待できない以上、皆様が職場のストレスと上手に付き合えるように変わっていくしかありません。まさにそれが、「メンタルヘルスのトレーニング」と言えるものなのです。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


復職支援(リワーク)(その29)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援リワーク)」の29回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●メンタルヘルス機能回復のためのトレーニング
うつ病などメンタルヘルス不調の要治療期(治療専念期)には文章を読んだり書いたりすることが億劫であったでしょうし、また瞬時の判断を求められる場面も多くはなかったはずです。むしろ主治医(精神科医・心療内科医)からは、一つの物事を深く考えたり、重要な決断をしたりしないようにアドバイスをされていたことでしょう。しかしながら、職場復帰となればリワークとなれば)、書類をミスなく処理したり、会議でプレゼンテーションをしたり、ときには重要な決断を下さなければならないことだってあるはずです。つまり、療養中には使わないようにとアドバイスを受けていたはずのメンタルヘルス機能(集中力・持続力・記憶力・注意力・判断力など)が職場復帰する場面リワークする場面)では必要になってきます。人間ですので、ある程度の期間、使わなかった能力はどうしても錆びついてしまいます。だから、このリハビリ期に、その錆びついてしまったメンタルヘルス機能に潤滑油を注いで、スムーズに能力が発揮できるように脳のトレーニングをすることが重要になるのです。
そこでまずは、何かを読むことから始めてみましょう。最初は、漫画本でもスポーツ新聞でも自分の読みやすいものなら何でも構いません。何かを読むという単純な作業でも、ある程度の集中力や持続力が必要になりますから、これだけでもしばらく活字を読まなかった方にとっては、十分なトレーニングになるでしょう。それが苦にならずにできるようになったら、次は少し仕事に関係のあるものを読んでみましょう。もちろん、まだ仕事ではないので本格的な分厚い専門書を読む必要はありません。新聞の中で自分の仕事に関係のある記事や業界内の雑誌を読むことで十分です。この作業では、自分の読みやすい記事に比べて、より集中力や持続力が必要とされる上に、仕事に関連する最近の知識や情勢を把握することができるので、職場復帰をよりスムーズリワークをよりスムーズ)なものにする効果があります。
ここまでできるようになったら、次は文章を書いてみましょう。ここでの目標は、仕事に関係のある文章(もちろん新聞記事でも構いません)の要約ができるようになることです。と言っても、いきなり文章の要約をすることは難しいでしょうから、最初は文章を間違えないように丸写しをするだけでも構いません。手でペンを握って物を書くという作業は、脳を活性化させる刺激を与え、記憶力や注意力などメンタルヘルス機能の回復に重要な役割を果たします。そして、文章の重要な部分を簡潔にまとめられるようになってきたら判断力などメンタルヘルス機能が少しずつ回復をしてきた指標になります。そして、仕上げは、紙にキーワードだけを書き出し、一つの文章の要約をそのキーワードのみを見ながら声に出してみましょう。これがスムーズにできるようになれば、職場復帰に必要リワークに必要)なメンタルヘルス機能は十分に回復したと言えるでしょう。
メンタルヘルス不調が回復して職場復帰に向けた準備リワークに向けた準備)を始めてよい時期になった職場復帰を目指すリワークを目指す)方は、約1ヵ月間かけて徐々に「頭と身体とメンタルヘルスのリハビリ」を行う必要があります。生活リズム、身体的体力、思考能力の3つの能力の回復に加えてストレスを抱え込みやすい自分の性格への気づきも重要です。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


火曜日勤務の葛原です。

スギ花粉の飛散量が少し減って来たのか、くしゃみ、鼻水、眼の痒みが、一昨日夜から、少しマシです。しかし、これからヒノキ花粉の時期なので、まだまだ大変です。私も、マスクしたり、ヨーグルト飲んだりしていますが、酷いときは、やはり薬を飲んでいます。「世の中に、絶えて花粉の、無かりせば、春のこころは、のどけからまし?」(業平)
最近春が近づき、日中の気温が高い日もありますが、花粉症の方にとっては辛い季節です。体調不良が続くと、メンタルヘルスにも悪影響が出て、不眠不安イライラなどメンタルヘルス不調を来しやすくなるので、お悩みの方は、豊中市 千里中央心療内科杉浦こころのクリニック」へお越し下さい。


復職支援(リワーク)(その28)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援リワーク)」の28回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●身体機能回復のためのトレーニング
要治療期(治療専念期)において、うつ病などメンタルヘルス不調で休業中の方の多くは、外出することが億劫で自宅で過ごします。よって、通勤していたときと比較をすると、身体活動量も大幅に低下します。そのため、全身の筋肉や心肺機能が低下し、療養前よりも疲れやすくなったり、動悸や息切れを感じたりするようになります。実際、職場復帰をした後リワークをした後)で、1日の仕事に加え、通勤ラッシュや家と駅の往復など、さまざまな場面で体力を消費し、身体的な疲労からうつ病などメンタルヘルス不調をぶり返す方も少なくないのです。
そこで、このリハビリ期では、通常の勤務に適応できるような身体機能を回復させるためのトレーニングが必要となります。ただし、トレーニングといっても別にアスリートを目指すわけではないので、スポーツジムなどに通う必要はなく、日常生活の中で十分に回復を図っていくことが可能です。
ここでもまずは、現在の自分の身体活動量を客観的に把握することが、目標設定の中で非常に重要になってきます。そこで、私は万歩計を用いた身体活動量の計測を推奨しています。昨今の健康ブームにより、家電量販店に行けば、多くの種類の万歩計が売られています。値段も1000円以下の安価なものから多機能高性能の高価なものまでありますが、3Dセンサー内臓の万歩計(家電量販店で3000円ぐらい)がお勧めです。これだとわざわざベルトに着用する必要がなく、ポケットやかばんの中に入れておくだけで身体活動量が計測できるため、簡単に手間なく使用できます。
万歩計で1週間程度、歩数を数えてみて、1日平均8000歩程度動けているようであれば、身体機能としては十分に余裕を持った職場復帰が可能リワークが可能)となるでしょう。逆に、それより少ない場合には、職場復帰後リワーク後)に身体的な疲れを感じてしまう可能性がありますので、このリハビリ期に身体活動量を少しずつ増加させていくように心がけましょう。ただし、このリハビリ期の運動の大原則として、疲れるまでやり過ぎないことが重要です。乳酸と呼ばれる疲労物質が体内で産生されるまで運動してしまうと、倦怠感により億劫な気持ちになってしまうこともありますので、心地よいなと思える時点でトレーニングを終了するようにしましょう。
さて、具体的なトレーニング方法ですが、このリハビリ期に最適な運動としては一般的には適度な負荷と継続実施が可能なことより、ウォーキングが有効であるとされています。そこで、1週間ごとに1日平均1000歩(時間で約10分程度・距離で600~700メートル)程度の運動量の増加を目標として、1日平均8000歩程度が疲れを感じることなく歩けるようになれば、身体機能の回復としては十分に合格点です。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


復職支援(リワーク)(その27)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援リワーク)」の27回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】◎起床時間が遅くなってしまう方へ
朝になかなか起きられない原因としては、うつ病などメンタルヘルス疾患のメンタルヘルス症状による場合、睡眠薬などの薬剤による影響、さらには要治療期(治療専念期)に昼夜逆転型の生活習慣が身についてしまったことなどが考えられます。そもそも、うつ病などメンタルヘルス疾患という病気朝方にメンタルヘルス症状が強く出やすい病気ですから、メンタルヘルス不調の改善が不十分な段階では、どうしても朝方の億劫な感じが抜けずに床から離れられないことがあります。
また、逆に、うつ病などメンタルヘルス疾患メンタルヘルス症状が改善してきた場合には、当初、処方されていた睡眠薬では効果が強すぎてしまって、明け方まで睡眠薬の影響が残ってしまい、起きられない場合も多くみられます。睡眠薬は強く効くものから、効き方が弱いものまでいろいろなものがありますし、効果の持続時間も超短時間型睡眠薬と呼ばれる寝つきだけを助けるものから、長時間型睡眠薬と呼ばれる睡眠の維持を目的とするものまでたくさんあります。ですから、明け方になっても眠気が抜けないような場合には、主治医(精神科医・心療内科医)とよく相談し、睡眠薬を調整してもらいましょう。
そして、うつ病などメンタルヘルス不調メンタルヘルス症状がかなり回復をして、昼間には自分の趣味など十分に活動的な生活が送れているにもかかわらず、朝だけがどうしても起きられない場合には、要治療期(治療専念期)に昼夜逆転型の生活習慣が身についてしまった可能性が考えられます。よって、次のような方法で意識的に朝の生活習慣を改善していくことが重要です。
○朝、一度は太陽の光を浴びましょう
皆様は「体内時計」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?この体内時計により人間の生活リズムが整えられているのですが、上記うつ病などメンタルヘルス不調を患うと、この体内時計がずれてしまい、夜になっても眠れない、朝になっても目が覚めないという生活リズムの乱れを生んでしまうのです。この体内時計をつかさどっている脳内ホルモンの一つがメラトニンという眠りを誘うホルモンなのです。
メラトニンは脈拍・体温・血圧を低下させることによって、睡眠と覚醒のリズムを上手に調整し、自然な眠りを誘う作用があります。このメラトニンは脳の松果体と呼ばれる部分から分泌されますが、この松果体は目に入る光の量をもとにメラトニンの分泌量を決定します。太陽の光を浴びることによってメラトニンが体内から消退し、夕方になり目に入る光の量が減ってくると、それを感知した松果体がメラトニンを分泌します。また、メラトニンは太陽の光が目に入ってから15時間程度たたないと分泌されないという性質があります。つまり、外が明るい時間にはほとんど分泌されずに、夕方以降暗くなってくると分泌量が増加し、夜になるとさらに増えて午前2時ごろに分泌量のピークを迎えます。その後、朝に向かってだんだんと覚醒に近づくことになります。
そこで、朝に起きることが億劫に感じてしまう人の場合は、一度は起床して太陽の光を目に入れてみることから始めてみましょう。それにより、メラトニン分泌のリズムが正常化し、少しずつ通常の生活リズムを取り戻していくことができるようになるのです。
○いつまでも寝起きの格好で過ごさないことが重要です
起床後、太陽の光を浴びることができたら、次に着替えをするようにしましょう。療養中はついつい寝巻きやジャージといった寝起きの格好で1日を過ごしてしまいがちです。
しかし、1日中、そのような格好でいると、ついつい家の中でゴロゴロとしてしまい、長時間の二度寝や昼寝につながってしまいます。もちろん、まだスーツを着用する必要はありませんが、少なくとも近所に外出できるような服装に着替え、寝ぐせを直したり、軽くお化粧をしたりと、少しずつ外出する準備をしてみると良いでしょう。
○気分のいい日は午前中の外出を心がけましょう
朝起きると多くの方が、「もう少し寝ていたい」「会社に行きたくない」と元気なときでも感じてしまうものです。でも、いざ起床して朝食を取り、家を出るとそのような気持ちは吹き飛んでしまいます。
しかし、うつ病などメンタルヘルス不調の患者様の場合、朝方にメンタルヘルス症状が悪いという日内変動がつきものですから、どうしても午前中の外出は億劫になってしまうことが多く見られます。ですから、無理に午前中に外出する必要はありませんが、もし、朝方にメンタルヘルス症状が良く、外出をしても良いなと思えるのであれば、それはメンタルヘルス不調が快方に向かっているサインですから、積極的に外出してみるようにしましょう。
午前中に体を動かすことが、本来の生活リズムを取り戻すきっかけになることも多く、メンタルヘルス不調からの回復にもつながっていきます。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


復職支援(リワーク)(その26)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援リワーク)」の26回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】◎就寝時間が遅くなってしまう方へ
うつ病などメンタルヘルス不調の要治療期(治療専念期)では睡眠障害が現れることが多いので、夜になかなか寝つけないという経験をされた方や、今も寝つきが悪くてつらい思いをされている方も多いでしょう。会社を休んでいるときは寝つきが悪くても、起床時間を遅らせたり、昼寝で補ったりすることによって休養を確保することができますが、職場復帰を考えるリワークを考える)と、やはりできるだけ寝つきを改善させ、良質な睡眠を取れるように工夫をしていく必要があります。そこで、夜なかなか寝つけない場合には、主治医(精神科医・心療内科医)と相談し、睡眠導入剤などの処方を受けるとともに、以下のような点に注意し、自らの生活習慣や寝室環境を見直してみましょう。
○快適な眠りは、生活習慣の見直しが大切です
・就寝4時間前からのコーヒー・紅茶・緑茶などによるカフェイン摂取や就寝1時間前の喫煙は眠
 りの質を低下させてしまいます。就寝前に水分補給をするなら、ミネラルウォーターやカフェイ
 ンレスコーヒー(デカフェ)にしてみましょう。
睡眠薬代わりの寝酒は厳禁。睡眠の質を低下させ、飲酒量の増加にもつながります。
・38℃程度のぬるめの温度での入浴は血行が良くなり、自律神経のバランスを整えます。逆に42℃
 以上の熱いお湯は、覚醒作用があるので注意が必要です。
・就寝1~2時間前のリラックスが快眠の手助けになります。
 (例)軽い読書やヒーリングミュージックアロマテラピーやゆったりとしたストレッチなど、
    自分に合ったリラックス法を探してみましょう。
○寝室環境を見直して、良質な睡眠を確保しましょう
・寝室は事情が許す限り、睡眠以外には使用しないようにしてみましょう。
・間接照明や遮光カーテン・防音窓などの工夫で、静けさと暗さを確保することも効果がありま
 す。
・室温は25℃、湿度は50%が理想です。温度と湿度の調節にも気を配りましょう。
○昼寝の活用法
・眠気を感じたときには無理をせず、15~20分程度の時間に区切って、昼寝をしてみましょう。脳
 を少し休息させることで、その後の時間をスッキリと過ごすことができます。
・昼寝をするなら、午後3時までに起きること。それ以降の時間に昼寝をすると、夜間の睡眠の妨
 げになってしまいます。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


火曜日担当医の葛原です

ゲンキの時間で「涙活」の話をしていました。涙を流すことにより、ストレス解消、免疫力アップの効果があり、しかも、その効果は1週間続くとのことです。ただタマネギの涙はダメです。
皆様は普段日常生活で感動して涙を流すことがありますか?職場での人間関係によるストレス疲労不眠不安イライラなどメンタルヘルス不調を抱えている方は、映画やドラマで感動して涙を流すのもいいですし、メンタルヘルス不調から回復できない時は、豊中市 千里中央心療内科杉浦こころのクリニック」へお問い合わせ下さい。


復職支援(リワーク)(その25)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援リワーク)」の25回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●睡眠覚醒リズム回復のためのポイント
先述の「活動記録シート」を記入していただくと、多くの方が睡眠、覚醒のリズムが乱れていたのではないでしょうか?日中、昼寝をしてしまい、夜になっても眠気が訪れず、明け方になって寝ついたために、起床時間がお昼近くなってしまうという昼夜逆転に近い生活リズムの方もいたことでしょう。要治療期(治療専念期)ではそれでも大きな問題はありませんが、リハビリ期では、この生活リズムを職場復帰に向けてリワークに向けて)整えていくことが重要になります。
もちろん、リハビリ期では職場に行くときと同時刻に起床することまでを厳密に求める必要はなく、おおむね8時ごろまでに起床できていれば、合格点と考えてみましょう。また、遅くても23時ごろまでに就寝し、十分な睡眠時間を確保することも望まれます。リハビリ期では、少しずつ身体活動量も増え、疲労が蓄積されやすいので、少なくとも7、8時間程度の普段より長めの睡眠時間を確保するように心がけましょう。
●何時間眠れば、最適な睡眠と言えるの?
これにはかなり個人差があります。4、5時間で十分だという方もいれば、8時間は眠らないとメンタルヘルス症状が悪い方もいるでしょう。
一般的に、起床後に「よく寝たなぁ。気持ち良かった」と感じることができる時間がその人にとっての最適な睡眠時間であると考えられています。
ただ、人間にとって生理的に必要な最低限度の睡眠時間は5時間と考えられていますので、最低でも6時間程度の睡眠を確保することが重要です。
では次回から、夜の寝つきが悪い方と朝になかなか起きられない方向けに、それぞれアドバイスをしようと思います。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


復職支援(リワーク)(その24)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援リワーク)」の24回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●生活リズムを把握しよう
職場復帰を考えるリワークを考える)上で、生活のリズムを整えることが何より重要なことです。やはり職場復帰をするリワークをする)からには、出社時刻に間に合うように起床し、十分な睡眠が取れる時間には眠りにつけることが必要になってきますし、職場復帰後リワーク後)は自分のペースで昼寝はできないので、日中の過ごし方も要治療期(治療専念期)のように自分の気の向くままに過ごせるわけではありません。
そこで、このリハビリ期には、「活動記録シート」を用いて、自らの生活リズムを客観的に確認することから始めてみましょう。ここでのポイントは活動記録に加えて、その日のメンタルヘルス症状や日中の活動量、さらには食欲などを数値化して記入することで、1週間のメンタルヘルス症状の波や前の週と比較した全体的な変化などを視覚的に捉えることができ、職場復帰のための目標リワークのための目標)が明確になるのです。
もちろん、この段階で完璧に職場復帰ができるリワークができる)ような生活リズムである必要はありません。リハビリ期を通じて、少しずつ職場復帰に差し支えのないリワークに差し支えのない)ような生活リズムを確立していくことが重要なのです。このリハビリ期においては、今後で紹介する「身体機能回復のためのトレーニング」や、「メンタルヘルス機能回復のためのトレーニング」を実施することで、日中の活動量が増加し、夜間には質の良い睡眠ができるようになってくるので、焦らず、じっくりとリハビリに取り組むことが重要です。
●活動記録シートの使い方
①簡単にコメントを記載(すべてを書き込もうとしない)
活動記録シートは長期間に渡ってつけるものなので、細かな日々の生活を正確に再現することに神経質になっていると、負担になって、つけることが嫌になってしまったりする可能性があります。夜、寝る前に自分の1日の生活を簡単に思い返して、睡眠時間(前の日の夜から、その日の朝にかけての睡眠時間)や食事時間・外出時間などが大まかにわかるように記載してみましょう。
②自らを評価する
うつ病などメンタルヘルス疾患メンタルヘルス症状が良いときと悪いときの波がありながらも、少しずつメンタルヘルス不調が回復に向かう病気です。その日のメンタルヘルス症状や活動量・食欲などを1日の最後に振り返って、5段階評価でその日を評価してみましょう。
メンタルヘルス症状メンタルヘルス症状が非常に良かった日を5点、メンタルヘルス症状が沈んでしまった日を1点。
・活動量→よく動けた日を5点、家の中で寝てばかりいた日を1点。
・食欲→食欲があり、おいしく食事ができた日を5点、何も食べる気がしなかった日を1点。
これをつけることで、「最初は1点とか2点ばかりだったけど、最近は3点が増えたなぁ」といった具合にメンタルヘルス不調の回復を実感できるでしょう。
③備考欄を有効活用
何か自分が気になったことや、その日に感じたことなどは備考欄に残しておきましょう。言葉にすると自分の心の中でモヤモヤと感じていたものが整理できることもありますし、後で振り返ったときに「あのときは眠れなくて悩んでいたけど、今はそんなことはないな」など、メンタルヘルス不調の回復を感じることもできるでしょう。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


復職支援(リワーク)(その23)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援リワーク)」の23回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】それではこのリハビリ期には一体何をすべきなのでしょうか?この「リハビリ」はあくまで職場復帰に向けたリワークに向けた)リハビリなので、職場環境に適応できるようにメンタルヘルスのコンディションを整えることが目標になります。そのため、療養が中心だった要治療期(治療専念期)とは異なり、リハビリ期では治療期に衰えてしまった身体的な体力や集中力・注意力・持続力のような職場で働くために必要なメンタルヘルス機能を回復していくためのトレーニングが必要になるのです。ちまたでは、うつ病などメンタルヘルス疾患の患者様に対して「頑張れ」と言ってはいけないということばかりが独り歩きをしてしまっていますが、実際に職場復帰実際にリワーク)は患者様が頑張らなくては成し遂げることができません。もちろん「頑張れ、頑張れ」と過度に励ますことは好ましくありませんが、メンタルヘルス不調の改善がある程度は認められるリハビリ期では、職場復帰に向けて具体的な目標リワークに向けて具体的な目標)を掲げながら、リハビリを行っていくことが重要になります。
例えば、マラソン選手が軽い捻挫をした場合と疲労骨折をした場合ではリハビリに必要となる期間が異なってきますが、うつ病などメンタルヘルス疾患の場合も同様で、要治療期(治療専念期)にどの程度の時間を要したかによって、このリハビリ期の期間にも個人差が生じるのです。だから、1人で気負いすぎることのないように、主治医や家族と相談しながらリハビリ期の目標設定を行っていくと良いでしょう。
さらに、このリハビリ期ではメンタルヘルス疾患の再発予防のための「こころのトレーニング」も重要です。多くの方が休業に入る前と同じ職場に戻ることになりますので、ある程度、ストレスに耐えられる心作りをしておかなければ、結果として休業前と同様のストレスにさらされたときに、再び休業を余儀なくされてしまいます。もちろん、職場復帰に際してリワークに際して)職場側にある程度の配慮を求めることは重要ですし、職場も可能な範囲でそれに応えることが望まれます。しかし、職場はあくまで労務提供の場であり、会社という組織自体が営利を目的とする組織であることからすれば、職場の配慮に過度な期待をすることは禁物です。例えばこの時期に、何でも完璧を求めすぎてしまい、いつも職場を出るのが最後になってしまうという自分の行動パターンを見直さなければなりません。そして「うつ病などメンタルヘルス疾患になりやすい考え方や行動パターン」を修正し、うまく「仕事というストレスと付き合える力」を身に付けられるように心がけましょう。
この期間は体力面やメンタルヘルス面ではメンタルヘルス不調になる前の自分を取り戻すことを目標とし、上記うつ病などメンタルヘルス疾患を再発させないための新たな自分を獲得するための時期と考えて良いでしょう。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。