日別アーカイブ: 2018年9月6日

復職支援(リワーク)(その98)

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援リワーク)」の98回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖リワーク(Re-Work)とは?〗(Ⅷ)
「復職支援手引き」の概要「リワーク手引き」の概要)と具体的な復職支援の進め方リワークの進め方)❻
⇒就業上の配慮は、事業者の安全配慮義務を履行する観点からも重要です。これは当該労働者だけでなく、上司をはじめとする周囲の労働者に対しても負っていることに注意が必要です。当該労働者への就業上の配慮が、結果として上司や同僚に長期にわたる過度のメンタルヘルス的負荷を与えてしまうことがあってはならないです。向精神薬が眠気、判断力・集中力などに及ぼす影響についても、慎重に検討すべきです。抗うつ薬をはじめとする向精神薬は、メンタルヘルス症状の再発や再燃の防止のために、職場復帰後リワーク後)も服薬を継続すべきであることが多いです。三環系抗うつ薬ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、運転作業に影響を与えるが、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)はほとんどその心配がないという報告や、抗不安薬の中でも種類によって影響が異なり、ベンゾジアゼピン系のジアゼパムはアザピロン系のタンドスピロンよりも急ブレーキ操作と関わる運転技能を障害するという報告があります。
また、うつ病などメンタルヘルス不調例への対応の注意として、「叱咤激励をしないこと」「頑張らせないこと」がよく強調されます。これらは、メンタルヘルス不調の悪化している時期や不安定な時期には重要であるが、職場復帰を検討リワークを検討)する段階でそれ一辺倒の対応をするのは、必ずしも適切とは言えないです。むしろ、多少の頑張りもできないようであれば、それはまだ職場復帰の時期リワークの時期)が尚早だと考えられます。職場復帰時リワーク時)および復職後の注意リワーク後の注意)として「頑張らせないこと」があるとすれば、当該労働者が性格傾向として周囲に気を遣い、自らに対して厳しい側面が強いために、復職後当初リワーク後当初)の復職支援プランリワークプラン)以上に無理をして仕事をこなそうとすることに対して、それが招く疲労の蓄積を回避すべく、自制を促すという意味からです。「頑張れないのに、頑張れと言われると、ますます本人を苦しませる」というメンタルヘルス不調の不安定期における意味とは異なります。
④<第4ステップ>
職場復帰が可能リワークが可能)と判断され、復職日リワーク日)、復職する職場リワークする職場)、就業上の配慮などを含む職場復帰プラン就業上の配慮などを含むリワークプラン)が決まったら、復職支援プランを書面にしてリワークプランを書面にして)一同で確認し、主治医(精神科医・心療内科医)にも伝えます。主治医(精神科医師・心療内科医師)の意見と異なった判断となった部分があれば、その理由も併せて報告するとよいです。
時間短縮勤務など、休業前と業務負荷が大きく変わる場合には、給与や賞与を減額するという対応も考えられるが、あらかじめ就業規則などに定めておく必要があります。復職支援手引きリワーク手引き)でも、その変更は合理的な範囲に留めるべきである旨が明記されています。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。