日別アーカイブ: 2015年8月12日

ABC朝日放送「おはよう朝日です」2015年8月12日放送に中里院長・理学療法士の中塚・診療助手の原が出演しました。

TV出演】 おはよう朝日 けさのクローズアップ
~えっ?折れてる?~“いつの間にか骨折”増加中!」

【要旨】
自分がわからないうちに骨折しているなんてことはありませんか?寝たきりや場合によっては死につながることもあるという「いつの間にか骨折」。その原因と予防法を見ていきます。150807_01

 【「いつのまにか骨折」とは】
●「骨折」というとポキンと骨が折れるイメージですが、この「いつの間にか骨折」というのは“圧迫骨折”つまり骨折により発生した骨の中で出血している血液、「骨挫傷」の圧力によって骨が「折れる」というよりも「潰れる」状態なのです。「骨挫傷」はレントゲンではわかりにくく、MRIを撮ってみて初めてわかる場合もあります。
●背骨というのは、ブロック状の骨が数珠つなぎになって構成されていますが、首から「頚椎」「胸椎」「腰椎」の3つのブロックに分かれます。主に胸椎と腰椎の間など力が加わるところで起きやすいです。この胸椎から腰椎といった背骨が大きな衝撃もなく変形してしまうのが「圧迫骨折」のことで、痛みがある場合もありますが、まったく自覚がなく折れたことに気が付かないことも少なくなく、そのまま放置してしまいます。するとどんどん筋力も低下して「心肺機能」にも影響が出てきます。心筋梗塞などのリスクも非常に高くなりますし、仮に骨は回復しても、神経性麻痺などの後遺症が残ることも多いです。

【「いつのまにか骨折」の原因】
●「いつの間にか骨折」の原因の多くはやはり「骨粗しょう症」です。運動不足や食生活の乱れなどによって骨が脆くなり、ちょっとしたきっかけで押し潰されるように骨が折れてしまうというような人が増えています。

【「骨粗しょう症」】
●若いときは骨も強く、よほど強い衝撃、例えばスポーツで強くぶつかりあったり、転落事故などでないと圧迫骨折は起こらないです。しかし若いころに運動せずに高齢になると、骨が脆くなります。
●そのベースには「骨粗しょう症」という骨密度つまり骨の密度が落ちてスカスカな状態があり、圧力に対して弱くなる、「脆弱性骨折」とも呼ばれます。主に胸椎や腰椎つまり背骨で起こります。
●骨が脆くなると、例えば尻もちをついた時、重い荷物を持った時、転倒した時に圧迫骨折が起こりやすいですが、中にはくしゃみで骨折する人もいます。くしゃみでの骨折は珍しいことではなく、衝撃、その瞬間に圧力がかかり潰れることがあります。150807_02

【「骨粗しょう症」になる原因】
●もちろん年齢的な変化ではありますが、大きくは運動不足と食生活の乱れという2つに集約されます。中でも運動で言えば「車を利用することが多く歩かなくなった」「エスカレーターばかり利用して階段を利用しない」などが骨を弱くしています。
●骨というのはそもそも「衝撃」によって強くなります。そしてその強さは若い時の「貯蓄」と言えます。若い時にしっかりと運動していれば骨密度のベースができているので、年をとってもそれほど骨折リスクは高くなりません。
●最近では30代でも骨粗鬆症になる人が増えています。「骨粗鬆症」は、それ自体が生命を脅かすようなものではないですが、骨粗鬆症から骨折を起こし、要介護になる人も多いです。さらに「骨折連鎖」といって一度折れる(潰れる)と同じところが再度骨折するリスクが5倍になるという報告もあります。要介護になってしまう人の8人に1人が背骨や股関節の骨折によるもの いずれも骨の脆さが関与しています。

自覚症状と男女での違い
●・身長が2cm以上縮んだ
 ・腰や背中に痛みや違和感がある・背中が丸くなったと感じる
 ・長い時間立っていられずにすぐに横になってしまう
  などがあれば要注意です。
●・閉経後の女性に非常に多い
 ・女性は閉経するとホルモンの働きが弱くなり、骨も脆くなる
 ・70代の女性の3人にひとりは圧迫骨折がすでにあるというデータもある
 ・男性でも若いころの運動量が少ない人は高齢になってなりやすくなる
 ・男女とも50歳を超えたら誰でもリスクがあると思ってもよい

【「いつのまにか骨折」にならない為の予防法】
●食事も大きく関係していて、やはりカルシウムを摂るのが基本ですが、同時にビタミンDやビタミンKといったカルシウムの吸収を助ける栄養素を同時に摂ることが良いでしょう。
・カルシウムは小魚やしらす、チーズなど
・ビタミンDはいわし、いくら、さんま
・ビタミンKは納豆、しそ、バジルなどに多く含まれています。
それらを何かひとつではなくてバランスよく摂取することが大切になります。
●骨の強さというのはどれだけ刺激、衝撃を受けたかで決まるので、骨を強くするにはやはりある程度運動が必要です。
・スクワット
・階段の昇降
・高齢者でもできる負担の少ない運動など
これらの運動が効率的に骨を鍛える運動です。
●「いつの間にか骨折」は老後の生活に大きく影響します。どの世代の人も今からでも遅くありませんので、骨の健康をしっかりと考えましょう。

 【リンク:ABC朝日放送 おはよう朝日(8月12日けさのクローズアップコーナー)】