日別アーカイブ: 2012年11月19日

「かぜ」を知ろうその3

かぜは自分の力で治るものとは言いながら、大量にウイルスを含んだ鼻水に徐々に押されていき、いよいよ奥へと侵入を許してしまう場合もあります。

喉の奥へ侵入を許せば気管支炎や肺炎へ、鼻の奥に侵入すれば副鼻腔炎(蓄膿)へ、耳の奥に侵入すれば中耳炎へ。

こうなると、一呼吸おいて細菌が騒ぎ始めます。

ん?突然細菌の話が出てきましたが、こやつら一体どこから来たのでしょう?

実はこの細菌、普段からずっとわれわれの体の中、鼻や喉で大人しく住んでいるのです。

いつもの場所にいるうちは無害なのですが、ウイルスが突破口を開くと便乗して違う場所に侵入し、ゆっくりと悪さを始めます。

細菌性肺炎や細菌性中耳炎の原因が、実は普段自分の中に飼っている細菌たちだと聞くと驚かれるでしょうか?

ほとんどのかぜは長引いてもかぜのまま治っていきますが、約5~10%はこのように途中から細菌が加勢していくパターンとなります。

細菌はウイルスと違い、適正な抗生剤で数を減らすことができます。

抗生剤の使用で病気を乗り越えた後、細菌はまた元の場所にだけいる状態へと戻り、その際必ず少しだけ耐性化(抗生剤に抵抗力を持つ)が進みますが、背に腹は代えられません。

抗生剤を乱用することは将来悪さをするかもしれない自分の中の細菌をどんどん鍛えてあげる作業ともいえます。

われわれ小児科医にとって、抗生剤の適正使用はこどもたちの未来を守るための急務です。

その4へ続く

 

 

 

 

 

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「かぜ」を知ろうその2

そんな無数にあるかぜのウイルスのひとつに「RSウイルス」があります。

珍しいウイルスでもなんでもなく、冬場にはその辺に大きい子や大人も含めてたくさんのRSウイルスのかぜがいます。

何回かかかっていくうちに症状が軽くなり、小学校に入るころにはふつうの鼻かぜ程度になっていくのですが、赤ちゃんが人生で初めてかかった、なんて時に、非常にしんどくなりやすいかぜのウイルスです。

RS肺炎で入院になる赤ちゃんが誰にうつされたかというと、つきそいで来た元気でぴんぴんしている鼻かぜの5歳になるお姉ちゃん、なんてパターンがあるわけです。

赤ちゃんで、多量の鼻水症状が長引くときや、気管支炎になっている時は敵の正体をはっきりさせて、今後の見通しを立てるためにも有用な検査かと思います(結果が陽性でも治療法が変わるわけではありませんが)。

「かぜ」ですんでいる段階では、検査をしても診断名が「かぜ」から「RSかぜ」に変わるというくらいしか恩恵はないかもしれません。

このRSウイルス、たしかにやっかいなかぜのウイルスですが、ややもすると迅速検査が一人歩きしすぎている感もあります。

「検査をしたら、かぜではなくRSだった。」というのは間違った説明で、これは「その1」でお話ししたように、いくらRSだろうが鼻と喉だけに留まっていれば、それはRSによるかぜなのです。

残念ながら、RSウイルスも直接やっつけるお薬はなく、かぜ薬による対症療法に加え、頻繁な鼻水吸引が有効です。

検査もインフルエンザ同様、鼻の奥に綿棒を入れる、こどもにとってはうれしくない検査ですので、必要な子にだけ行うよう私も心がけています。

その3に続く。

(医療保険上も外来では乳児(1歳未満)にしか適応はありませんが、かぜをこじらせて入院が必要になると、入院の部屋を決めるためにもRSかどうかの検査が必要になることもあり、外来のみの開業医よりも入院設備のある病院では1歳の枠を超えて検査をしている例が多いのが実情です。)

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