月別アーカイブ: 2013年10月

免疫とアレルギーその2

免疫はこのように様々な病気から私たちを守ってくれる有難い存在でありますが、実はアレルギーの原因になるのも何を隠そうこの免疫なのです。

土を耕し、川で魚を捕まえ、家畜を育てる生活をしていた頃の人間の免疫は、自然界の中に存在するおびただしい量の雑菌が体に侵入するのを防ぐためにいつも大忙しでした。

これらの病原菌の中には免疫の防御をすり抜けて、たくさん人々の命を奪う疫病として広がってしまうものもありました。

時は流れ、下水が整備されたきれいな家に住み、清潔な水を飲む生活をするようになった現代では、怖い感染症は激減しました。

その結果として、体を守る免疫は以前に比べずいぶん仕事が減って暇になりました。

軍隊の仕事が減るのはもちろんよいことですが、いかんせん軍隊とは常に戦いを求めるもの。

じっと静かにしていることはできず、敵を探し始めます。

それでも清潔になった今の私たちの生活では、中々敵は見つかりません。

とうとう免疫は、本来なら戦う必要のないような花粉やダニ、ほこりなどにその矛先を向けるようになりました(これを衛生仮説と呼びます)。

これがアレルギーです。

本来体に害をなすものではなく、無視しておけばいいようなものに対して、免疫がけんかをふっかけて大騒ぎするということです。

例えば花粉症で言えば、相手にする必要のないスギの花粉に対して免疫が過剰に反応して、出さなくてよい鼻水を勝手にどばどば出しているという、何ともありがた迷惑な話です。

ところで、体には無数の細菌が常にうじゃうじゃいて(これを常在菌といいます)、免疫がそれらが悪さをしないように目を光らせていますが、抗生剤の乱用はこの常在菌を不必要に損なうことになり、結果として敵を失った免疫の暴走によりアレルギーの発症を増やすことになります。

私たちが子供だった時代と比べ、今の子供たちのアレルギーの割合は深刻なほど増加しています。

これは清潔な環境と、抗生剤の普及という、望ましい変化に伴う副作用とも言えます。

以前の「かぜを知ろう」でもお話ししたように、抗生剤は使うべき時にしっかり使い、必要のないところでは使わないということが、アレルギー発症の観点からも重要であることがお分かりいただけるでしょう。

また、深刻な感染症、例えば結核や麻疹、髄膜炎などは予防接種でしっかり防ぐべきですが、病気を恐れてあまり清潔な環境の中に閉じこもったままでいる、というのは長い目でみるとアレルギーの心配を増やすことにもなります。

小さい頃から土をいじったり、公園に遊びに行ったり、適度に雑菌に触れることは、分別ある免疫を育てるために重要なことと言えます。

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免疫とアレルギーその1

風邪やワクチン、アレルギーを語る上で大切な「免疫」というものについて、大ざっぱにお話しをしてみたいと思います。

免疫とはすなわち、「病気から体を守る軍隊」であります。

オギャーと産声を上げた赤ちゃんの頃は、自分の軍隊はまだまだ弱小で、お母さんから生まれる時にもらった「借り物の軍隊」に守ってもらっている状態です。

さて、生後半年くらいすると、だんだんお母さんからもらったこの「借り物の軍隊」も減っていき、いよいよ自分の軍隊が主役になっていきます。

最初は軍隊といっても町内会のパトロール程度。

免疫とは、最初から強いわけではなく、たくさんの敵と戦うごとに戦い方を覚えて強くなっていくものなのです。

特に、保育園や幼稚園に行き始めると、みんなどんどんと風邪をひきます。

風邪をひとつひくたびに、その風邪に対して一回り免疫が強くなります。

集団生活は、今まで体験したことのない敵たちと出会う絶好のチャンスであり、風邪をひくことで、その風邪との戦い方を覚えていくのですね。

逆に、保育園や幼稚園のうちに一通りの風邪を経験して、軍隊を鍛えておかないと、小学校に入ってから頻繁に休むというはめになってしまうかもしれません。

「風邪をひいた」、「また熱が出た」と、特にお仕事をお持ちのお母さんは、お子さんの心配だけでなく、仕事の心配も毎度しなければならずうんざりすることもあるかと思いますが、「風邪のひき損はない」という言葉を胸に、必ず終わりが来ると信じて頑張っていただきたいと思います。

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1年目の区切り

1年前の今日、くぼこどもクリニックはこの場所でスタートを切りました。

目の前にいる子が自分の息子であったら、娘であったらどうするか。

ただその一点、それだけに重きを置いて考えることが小児科医に与えられた使命であると信じて。

自分の何気ない言葉が、お母さんの心を包む大きな鎧にもなれば、時に心をえぐるナイフになってしまうということも常に忘れないように。

 

そして、ネット予約の不備、プリンターの故障、ワクチンの不足、思い出せばいろいろなトラブルを乗り越えてまがりなりにも何とか1年間やってこれたのは間違いなくスタッフのおかげでした。

精神的にも本当に支えてもらいました。

心に余裕のある人間は人に優しくできるということを、毎日感じさせてくれるスタッフ達。

我がクリニックの心臓であり、誇りです。

 

これからもくぼこどもクリニックは貝塚のこの場所でがんばります。

最強の子育て地域を目指して。

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