免疫とアレルギーその2

免疫はこのように様々な病気から私たちを守ってくれる有難い存在でありますが、実はアレルギーの原因になるのも何を隠そうこの免疫なのです。

土を耕し、川で魚を捕まえ、家畜を育てる生活をしていた頃の人間の免疫は、自然界の中に存在するおびただしい量の雑菌が体に侵入するのを防ぐためにいつも大忙しでした。

これらの病原菌の中には免疫の防御をすり抜けて、たくさん人々の命を奪う疫病として広がってしまうものもありました。

時は流れ、下水が整備されたきれいな家に住み、清潔な水を飲む生活をするようになった現代では、怖い感染症は激減しました。

その結果として、体を守る免疫は以前に比べずいぶん仕事が減って暇になりました。

軍隊の仕事が減るのはもちろんよいことですが、いかんせん軍隊とは常に戦いを求めるもの。

じっと静かにしていることはできず、敵を探し始めます。

それでも清潔になった今の私たちの生活では、中々敵は見つかりません。

とうとう免疫は、本来なら戦う必要のないような花粉やダニ、ほこりなどにその矛先を向けるようになりました(これを衛生仮説と呼びます)。

これがアレルギーです。

本来体に害をなすものではなく、無視しておけばいいようなものに対して、免疫がけんかをふっかけて大騒ぎするということです。

例えば花粉症で言えば、相手にする必要のないスギの花粉に対して免疫が過剰に反応して、出さなくてよい鼻水を勝手にどばどば出しているという、何ともありがた迷惑な話です。

ところで、体には無数の細菌が常にうじゃうじゃいて(これを常在菌といいます)、免疫がそれらが悪さをしないように目を光らせていますが、抗生剤の乱用はこの常在菌を不必要に損なうことになり、結果として敵を失った免疫の暴走によりアレルギーの発症を増やすことになります。

私たちが子供だった時代と比べ、今の子供たちのアレルギーの割合は深刻なほど増加しています。

これは清潔な環境と、抗生剤の普及という、望ましい変化に伴う副作用とも言えます。

以前の「かぜを知ろう」でもお話ししたように、抗生剤は使うべき時にしっかり使い、必要のないところでは使わないということが、アレルギー発症の観点からも重要であることがお分かりいただけるでしょう。

また、深刻な感染症、例えば結核や麻疹、髄膜炎などは予防接種でしっかり防ぐべきですが、病気を恐れてあまり清潔な環境の中に閉じこもったままでいる、というのは長い目でみるとアレルギーの心配を増やすことにもなります。

小さい頃から土をいじったり、公園に遊びに行ったり、適度に雑菌に触れることは、分別ある免疫を育てるために重要なことと言えます。

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