ウイルス性胃腸炎その1 経過

嘔吐・下痢の子どもが増えてきました。

今日は「お腹の風邪」と呼ばれるウイルス性胃腸炎について説明したいと思います。

「お腹の風邪」すなわち「ウイルス性胃腸炎」の中には、ノロウイルスによるものもあれば、ロタウイルスによるものもあります。

多くはその他たくさんの無名のウイルスによるものです。

すべての嘔吐・下痢はうつると考えるべきです。

胃腸炎の経過は、「お腹に入り込んだウイルスを体の外に排除する過程である」と考えると理解しやすくなります。

ノロウイルス性胃腸炎の典型的な経過をみてみましょう。

①嘔吐のphase

まず、口から入ったウイルスを、体は嘔吐という形で必死に外で追い出そうとします。

最初の数時間、何をしても嘔吐が止まらない時間帯があるのはこのためです。

私はこれを「マーラインオンの時間帯」と呼んでいます。

この間は薬などもほとんど効果がなく、またこの嘔吐は止めるべきでないという先生もいます。

一旦胃がからっぽになるとともに上手な水分の取り方をしていれば、嘔吐の多くは自然に止まってきます(だいたい6~12時間くらいです)。

②下痢のphase

出し切れなかったウイルスは、腸の中をどんぶらこと旅しながらお尻へ向かい、嘔吐からワンテンポ遅れて下痢がやってきます。

これは、残ったウイルスを今度は下痢で追い出そうという作業であると考えると自然な経過のように思えますね。

口からお尻までの腸という一本のトンネルを考えた時に、トンネルの上からあふれてしまう嘔吐という作業は、下から抜ける下痢という作業の開始ともに終焉を迎えることが多いので、順調に下痢が出るというのはある意味一番しんどいところを越えようとしているサインとも言えます。

下痢が順調に出だすと、吐き気はだいぶん楽になります。

下痢がどれだけ続くかは、かなり年齢によって差があります。

薬で止めるのではなく、悪いものを出し切ったら止まる、と思いながら経過をみましょう。

大きい子や大人では数日ですが、赤ちゃんでは10日や2週間ほど続くこともよく経験します。

大体の場合、下痢が完全に収まる前に徐々に食欲やミルクの飲みが回復しますので、口からの補給がある程度できていれば、下痢が長引いても大きな心配は不要です。

赤ちゃんで、よく食べれているが下痢が長引いている、という時期に一番気をつけるべきはおしりかぶれかもしれません。

様々なウイルスの種類によって嘔吐・下痢のバランスは異なり、嘔吐だけで終わったり、下痢だけで済むものもありますが、胃腸炎の経過は、「お腹に入り込んだウイルスを体の外に排除する過程である」という部分は共通しています。

ただし、強い腹痛や高熱が前面に出る場合、血便が出る場合などはウイルス性胃腸炎以外の病気も考える必要がありますので、一度受診する方がよいでしょう。

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