②下痢のphaseの考え方
嘔吐・下痢に実際かかると、戦いの場が上から徐々に下にうつっていくのを実感できます。
嘔吐で出し切れなかったウイルスは、発症から数時間たって、ちょっとづつ動きを取り戻した腸の流れに乗って下へ下へ移動していきます。
下痢が出始めると、吐き気が楽になり、水分を少量ずつtryしやすくなります。
嘔吐せず水分がいければ少しづつ量を増やしていきましょう。
本人が食べたいというまで、食事は急ぐ必要はありません。
2,3日食事が取れなくても、水分や塩分がある程度取れていれば大きな問題はないでしょうし、吐き気や腹痛がつらい間は、食べると言っても消化の良いものが楽でしょう。
しかし、ひとたび食欲が戻ってきてからは、下痢があってもむしろ普通の食事にできるだけ早く戻すことが大切です。
以前は、下痢の間は食欲があってもお腹を休ませるためにひたすらおかゆだけ、などという指導をしていましたが、腸炎の時には腸粘膜が回復するためには早く栄養を届けることが必要であることが近年分かってきました。
無理やり食べさせる必要はありませんが、下痢はあるけれど食べられるという場合には制限せずにしっかり食事を取るようにしましょう。
また、腸の粘膜は水分だけを吸収することが苦手で、実は塩分とセットでしか吸収ができません。
このため、胃腸炎の際の水分の補給は水やお茶よりも、塩分のしっかり入った水分が適切です。
市販のスポーツドリンクは想像よりかなり塩分が薄く、理想はドラッグストアなどにあるOS-1ですが、結構まずいので、好みによってはうどんのおつゆなどでもよいでしょう。
さらに、ミルクを薄めるという指導も以前はしていましたが、塩分が薄まったミルクを飲ませることは腸での水分の吸収を悪くしてさらに下痢を長引かせるため、最近のガイドラインでもミルクは薄めずに与えるようにと指導されています。
最後に、下痢止めは、悪いものを出すのを邪魔するという観点から、今では禁忌、つまり使うべきではない薬に位置付けられています。
一方で、整腸剤は悪いものを出す時に一緒に出て行ってしまう善玉菌の補充を目的として投与され、下痢の期間を少し短くするというはっきりしたデータがあるため、嘔吐が止まったらしっかり内服するのがよいでしょう。