ウイルス性胃腸炎その4 まわりへの影響

嘔吐・下痢の本人にとっては、ウイルスの種類が何であっても、対策が変わったり、薬が変わるわけではありません。

「かぜを知ろう」でお話ししたように、ウイルスを直接やっつける薬はありませんので、検査をしてノロやロタと分かっても、本人には恩恵はありません。

(病院で検査をする重要な目的のひとつには、地域での流行の把握があります。ただし、ノロウイルス検査は3歳以上の児には適応がありません。)

何ウイルスによる胃腸炎かは、便の検査をしなければ確定はできませんので、特に大きい子や大人などおむつで便を持参できない患者さん達は、全てまとめてウイルス性胃腸炎として対策しましょう。

実際にはノロやロタは一旦はやり始めると、シビアな嘔吐・下痢症のほとんどがこれらのウイルス一色に染まるため、流行期には検査をしなくてもこれらのウイルスとして扱うくらいが適切です。

まわりのご家族は、全ての嘔吐・下痢はうつるという認識を持ったうえで、冬場の胃腸炎は「ノロの胃腸炎かも」、という前提で動きましょう。

特に寒い季節のくさーい下痢便はかなりあやしいでしょう。

うつらないようによく手洗いするのはもちろんのこと、ノロはアルコールに耐性ですから、嘔吐した床などの消毒は塩素を含んだ洗剤を用いて行います。

 

ノロからやや遅れて流行する胃腸炎に、ロタウイルス胃腸炎があります。

冬のノロ、春のロタとよく言われます。

嘔吐がしんどいノロに対して、下痢が長引きやすいのがロタの特徴です(これも個人個人で様々ですが)。

白っぽいクリーム色で、つーんとする酸っぱい匂いがあるとかなり疑わしいでしょう。

それ以外にも1年を通じて様々なウイルスが嘔吐下痢を引き起こします。

その中でもノロとロタが有名なのは、症状も感染力も強いからですので、冬から春にかけての嘔吐下痢は他の季節より、余計に注意ということになります。

 

集団生活の復帰に関しても、ウイルスの種類によって基準に差はありません。

嘔吐をしている間や、下痢がひどい間はまわりにまき散らす力が強いわけですから、何ウイルスだろうがお休みが必要です。

水のような大量の便の入ったおむつを持参されたお母さんの中には、便の検査でノロもロタも陰性という結果をお伝えすると、「よかった、これで休ませないで済む。」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、何ウイルスだろうと全てうつる訳ですから、下痢がひどい間は残念ながらお休みになります。

逆にノロやロタであっても、嘔吐が下痢が軽く順調に収まれば、比較的早期から集団生活には戻れることになります。

厳密には便には2,3週間にわたりウイルスが排泄されるので、本当に人にうつす心配がなくなるのには1か月近く休まなければならないことになりますが、これは現実的ではありませんので、実際には元気や食欲が戻り、そこそこの便になれば復帰してもらっています(うつす力がだいぶましになったら登園というイメージ)。

元気で食欲や便が改善している、というのは診察で分かるというよりは親御さんや先生の方が把握しやすい要素ですから、元気なのに登園許可証を取りに病院に来るのは本当はナンセンスではありますが、保育園によっては求められることもありますので確認をしておいてください。

なお、ロタ胃腸炎に関してはワクチンがとても有効です。(生後15週未満に開始する必要があります。)

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